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MRが他社製品の事象を「異常事態」と表現 ”口コミ情報”で医師の不安煽る事例 厚労省監麻課・報告書

公開日時 2025/07/28 04:51
厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課は7月25日に公表した「2024年度医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業・報告書」で、主な疑義報告事例を公開した。事例の中には、MRが医師との面談に際し、他社製品の有害事象に関する口コミ情報を得たといい、「異常事態」という不安を煽る表現を用いて情報提供を行った事案が含まれる。このほか、経過措置期間終了の旧様式の添付文書を使用した院内説明会の事例や、企業主催の講演会で、演者作成のスライドの確認が不十分なまま、複数項目でガイドラインに違反する内容が含まれた講演会の事例が報告された。 

◎「異常事態」という不安を煽る表現を用いて情報提供 「不適切な情報提供」

「異常事態」という不安を煽る表現を用いて情報提供を行った事例は、他に分類されない代謝性医薬品A剤を担当するMRが、医師との対面での情報提供活動に際し、「(他社製品の)B 剤使用患者において有害事象が発生し、手術が必要になった患者が県内で2名も出たとの口コミ情報を得たと伝えに来院した」というもの。MRは医師に対し、「これは異常事態と考えられるので当社の A 剤に採用を変更してほしい」と情報提供した。

報告書では、他社製品で発生した事象を「異常事態」と表現し、自社製品への切り替えをアピールしたもので、「異常事態」という医療従事者の不安を煽る表現を用いており、不適切な情報提供だと指摘している。

◎経過措置期間終了の旧様式の添付文書を使用した資料をMRが製品説明会で配布

経過措置期間終了の旧様式の添付文書を使用した資料を提供した事例は、院内の製品説明会(2024年下期開催)で、担当MRが配布した資材が旧様式の添付文書の内容が掲載されたものであったというもの。医療用医薬品添付文書の記載要領は 2019 年 4月1日に改訂され、5年間の経過措置期間が設けられ、2024年3月31日に経過措置が終了している。この事案では、経過措置期間以降においても旧様式の添付文書が掲載された資材を運用していた。報告書では、ガイドラインでは「販売情報提供活動の資材等は、関係法令や本ガイドラインを遵守して作成されなければならず、最新の知見等を得たときは、適宜、更新・修正されること」と指摘。「経過措置期間満了後も、旧式の添付文書を使った製品説明資材を提供しているのは不適切である」を注意喚起した。

◎企業主催説明会 演者作成のスライドの確認が不十分 安全性の軽視、誇大な表現

企業主催の講演会(アレルギー用薬)で、演者作成のスライドの確認が不十分なまま行われた事例は、演者の医師が、本剤A剤について、承認された用法用量とは異なる短時間投与法や少量長期投与などを繰り返し紹介したというもの。また、他社製品B剤にも言及し、エビデンスを示すことなく、「A 剤と B 剤は全く同じものだから切り替えても安全」と説明し、他社製品 B 剤から本剤 A 剤への切り替え例などを示した。さらに、最後のスライドには、「A 剤は安全、簡単、患者メリット大」と記載され、安全性の軽視、誇大な表現ともいえる内容だった。

報告書では、演者作成の資料を、販売情報提供活動監督部門による事前の審査を経ないまま、希望する受講者に対して配信した。この原因としては、①ガイドラインについて演者の理解度を明確に確認できていなかった、②スライドレビューで、社内の複層的な確認体制が整備できていなかった、③講演会開催日までの期間が短かく、スライドレビューに十分な時間を確保できていなかった、④講演会の実施部署とスライドの審査部署との間の情報共有が主に口頭で行われていたため、文書による記録が残らず、認識の齟齬が生じた際の確認プロセスが不十分だった、⑤講演会当日のモニタリングの仕組みが適切に運用されていなかった―と分析。講演会運営に関する適切な知識の定着を図るため、研修内容の理解度確認を定期的に行う等の再発防止策を報告書に明記した。
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