オバマ大統領のヘルスケア改革の製薬業界への影響について、短期的には、メーカーの支出を余儀なくさせる施策もあることから痛みが大きいが、長期的には保険カバレッジが拡大、医薬品の使用の増大も見込まれることから、メリットがあるとの見方が一般的なようだ。
議会予算局(CEO)は、ヘルスケア改革で2010年から2019年までに1430億ドルの予算削減が可能と見込んでいる。その理由は、メディケイド(低所得者保険)における製薬会社が政府に支払うリベートの引き上げやメディケア(高齢者保険)パートD(薬剤給付プラン)での医薬品価格50%引きなどの実施によるものを見込んでいる。コンサル会社Avalere Healthは、メーカーの負担は当初10年間で800億ドルと予想されていたが、1050億ドルに上ると見ている。
保険カバレッジ拡大は2014年からだが、新規保険加入者の半分は要件を緩和したメディケードへ、残りが保険取引所を通じ、民間保険に加入すると見込まれる。しかし、メディケードの加入者が増加しても価格への圧力が強まり予想通り市場拡大につながるかは未知数。しかも、政府は削減策が順調に進まなかった場合、何らかの製薬業界に犠牲を強いる追加策を講じる可能性もある。そのような観点から業界は、一層の削減策、再編、業務多角化を強いられる展開も考えられる。
しかし、Ernst & Youngのアナリスト、David Womelsdorfは、「人口が増加すれば、製品の売上は増加し売上は伸びるので、改革の展開次第で業界は利益を上げることが出来る」と一縷の望みを託している。
The Pink Sheet 4月12日号