ベーリンガーインゲルハイム 抗凝固剤ダビガトランの生産能力3倍増へ
公開日時 2010/04/20 04:01
日本ベーリンガーインゲルハイムは4月19日、次期主力品候補の新規の経口抗凝固薬ダビガトラン(一般名)の世界的な需要増を見込んで、ドイツの生産設備を拡充すると発表した。投資額は1億1900万ユーロ(約149億円、1ユーロ=125円換算)で、2011年までに同剤の生産能力を現在より3倍増の年間15億カプセルに引き上げる。同剤は日本では、「心房細動起因の脳卒中1次予防」の適応症で、09年12月時点で申請準備中と発表していたが、現時点では「開示できない」(同社広報部)としている。同剤が日本でも承認・上市されれば、今回拡充するドイツの生産設備から日本に供給される可能性が高いという。
ダビガトランは、血液の凝固過程で主要な役割を担うトロンビンの働きを特異的に阻害することで抗凝固作用を発揮する新世代の薬剤。人工股関節や人工膝関節の全置換術を受けた成人患者の静脈血栓塞栓症の一次予防として世界50か国以上で承認済み。大きな医療ニーズのある心房細動患者の脳卒中発症予防では、日本を含む全世界で開発が進んでいる。
心房細動は最も頻繁に見られる不整脈。心房細動患者では血栓症の発症リスクが上昇するため、脳卒中が惹起されるリスクが5倍に高まるとともに、重症化する傾向にある。現在の治療の選択肢はビタミンK拮抗剤で、新たな治療は50年以上確立されていない。