NBI 新規抗凝固薬やDPP-4阻害薬を14年までに発売
公開日時 2010/04/28 04:00
日本ベーリンガーインゲルハイム(NBI)は4月27日、東京都内で09年業績の記者会見を開き、次期主力品に位置付ける経口抗凝固薬ダビガトラン、2型糖尿病治療に用いるDPP-4阻害薬リナグリプチン、非小細胞肺がん治療薬の「BIBW2992」と「BIBF1120」の4剤について、14年までに日本での発売を見込んでいることを明らかにした。NBI医薬事業統括のジェラード・マッケナ氏(写真)は、いずれの品目もファースト・イン・クラスかベスト・イン・クラスのポテンシャルがあると強調し、「上市の成功が最重要テーマ」と語った。同社は、ダビガトランとリナグリプチンは日本でそれぞれフェーズ3、「BIBW2992」はフェーズ2、「BIBF1120」はフェーズ1/2の段階としている。
ダビガトランは心房細動起因の脳卒中予防で開発中。日本で上市されれば約50年ぶりの新規の経口抗凝固薬となる。心房細動患者1万8113人(うち日本人326人)を対象に脳卒中予防を検討した大規模臨床試験「RE-LY」では、治療域に維持された既存薬ワルファリンと比較して、脳卒中などの発症リスクを有意に減少させた初めての抗凝固薬と確認された。マッケナ氏は、「大きなイノベーションを起こせそうな薬剤。世界で年間100万人の脳卒中予防が可能になる」と話した。
リナグリプチンについては、フェーズ3試験の結果を6月の米国糖尿病学会年次総会(ADA)で発表予定だが、NBI医薬開発本部長のトーマス・クーナー氏は同剤の特徴について、▽24時間にわたってDPP-4活性を80%以上阻害する▽血糖コントロールに関する有効性は同種同効薬と同等▽主に胆汁中に未変化体で排泄される(肝臓でほとんど代謝されない)唯一のDPP-4阻害薬▽腎機能障害患者でも用量調節を必要とせず、肝機能のモニタリングも必要としない――と説明し、「ベスト・イン・クラスを狙う」と語った。同社は、糖尿病に加えてがん領域も初参入の領域のため,専門性の高い人材育成を進める方針も示した。
NBIの09年業績は売上高が1615億円で、03年から6年間で売上高が倍増した。特に主力製品のARBミカルディスやCOPD治療薬スピリーバが業績拡大に大きく貢献した。一方、09年の利益は日独間の移転価格税制に関する財務処理で2ケタ減益となった。
【NBIの業績】
売上高 1614億8300万円(前年比2%増)
営業利益 51億2000万円(69%減)
経常利益 75億3000万円(58%減)
純利益 64億8600万円(33%減)
【主力品の国内売上高(薬価ベース)】
スピリーバ 160億円(14.1%増)
ミカルディス 786億円(10.4%増)
ビ・シフロール 134億円(4%増)
おことわり
下線部のミカルディスの伸び率について、同社から修正の申し入れがありました。