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CAS、CEA、開頭外減圧療法などの位置づけを明記

公開日時 2010/05/13 09:00

GL改訂のインパクト

 ―脳神経外科医のための脳卒中治療ガイドライン2009―

 

 

 

 長崎大大学院医歯薬学総合研究科病態解析・制御学講座神経病態制御学の永田泉教授は4月16日、サノフィ・アベンティスとSTROKE2010共催のモーニングセミナー「EBMによる脳卒中治療Update―脳神経外科医のための脳卒中治療ガイドライン(GL)2009」で、外科医の立場からGLの改訂ポイントについて解説した。

 

 永田氏は、脳梗塞の急性期治療の変更点として、血栓溶解療法(静脈内投与)と、開頭外減圧療法などを解説した。


血栓溶解療法(静脈内投与)は、発症3時間以内の症例に対するrt-PA(アルテプラーゼ)の投与が推奨されている(グレードA)。ただし、大動脈解離を合併する脳梗塞では禁忌(グレードD)とされている。永田氏は、代表的な症状である胸痛や背部痛などがなくても、大動脈解離を合併している患者がいると説明し、rt-PAの投与に際しては、頚部エコーや胸頚部CTA検査を実施して禁忌症例を見極めることが重要とした。


一方、開頭外減圧療法は、メタ解析の結果などを踏まえ、中大脳動脈灌流域を含む一側大脳半球梗塞において、発症後48時間以内に行うことが推奨された(グレードA)。

 小脳梗塞については、これまで同様「効果に対する十分な科学的根拠はない」(グレードC1)とされているが、永田氏は自験例を引き合いに、「比較的梗塞が広範に及び、発症後早期に意識障害が出現する症例では、開頭外減圧療法と開頭内減圧療法を併用する」ことの有効性も紹介した。

  

 


  TIAの項目を新設 ABCD2スコアの活用でリスク評価を

 

 “一過性脳虚血発作(TIA)”の項目が新設されたのも新たな点だ。永田氏は、TIA患者では脳梗塞の発症リスクが高いと説明した。発症リスクは、「ABCD2スコア(A:年齢、B:血圧、C:臨床症状、D:発作持続時間、糖尿病)」を活用したリスク評価を行い、特に頚動脈狭窄によるTIAは脳梗塞発症率が高いことを考慮して治療に当たることが重要とした。


頚動脈の狭窄度が中等度・高度のTIAには頚動脈内膜剥離術(CEA)が推奨されている。ただ、中等度の狭窄の場合には、性別や年齢などリスクとベネフィットを勘案した手術適応が重要とした。
また、急性期の症候性頚動脈狭窄に対してアスピリン+クロピドグレルの併用を行うことの有効性が臨床試験で示されていることも紹介し、期待感を示した。

 

 

 

  CAS CEAの危険因子を持つ症例にグレードB

 

 慢性期脳梗塞への治療としては、CEAが中心となる。無症候性頚動脈狭窄症に対しては、薬物療法により、最近では脳梗塞の再発率が1%程度にまで抑制できると永田氏は説明。無症候性頚動脈狭窄では、まず内科治療を考慮し、狭窄が進行したりプラークが不安定な症例については、外科治療を考慮するとした。


また、頚動脈ステント留置術(CAS)が今回初めてGLに記載され、CEAの危険因子を持つ症例に対して推奨された(グレードB)。これまでの臨床試験結果からはCEAに比べ、治療成績が劣ると報告されているが、中期予後の治療成績は両者に差がないと永田氏は説明。合併症のリスクが少ない患者を見極めた上でのCASの適応に期待感を示した。


永田氏は、「GLの内容を知らないで治療を行うのは大きな間違い」とした上で、GLはあくまで大多数(マス)に当てはまる治療方針を示したものであると説明した。個々の症例を治療する上では、「日々の経験などを踏まえて判断しないといけない」と述べ、GLと実臨床での経験を融合させて治療方針を立てることが重要との見解を示した。

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