起立性低血圧治療薬・プロアマチン 迅速承認の薬剤で初の市場撤退
公開日時 2010/08/19 04:00
米FDAは8月16日、必要とされた市販後調査が行われていないという理由でイギリスのShire社の起立性低血圧症治療薬プロアマチン(一般名・ミドドリン塩酸塩)の市場からの撤退を提案、これを受けて同社は9月30日付でのプロアマチンのアメリカ市場からの撤退を17日に発表した。同薬はFDAの迅速承認制度の下で承認されたが、同制度適応を受けた薬剤の市場撤退は今回が初めて。
プロアマチンは、迅速承認制度により96年に上市された。サロゲートエンドポイントである血圧値などのデータを承認されており、市販後調査で日常生活動作の改善などといった臨床上の有用性(クリニカルベネフィット)を証明することを求められていた。
同社は、今回FDAに対して必要な試験は終了していると主張したものの、FDAはShire社のの試験からは十分な結論は得られておらず、追加試験が必要との見解を崩さなかった。
FDAの提案によると、Shire社はFDAへのヒアリングを15日以内に求めることができ、プロアマチンの後発品を販売する各社に対しては30日以内にコメントの提出が可能としていた。先発品を発売するShire社が市場撤退を決めたことで、後発品を販売するApotex社、Impax Laboratories社、Mylan Pharmaceuticals社, Sandoz社、Upsher-Smith Laboratories社の対応が注目される。
FDAによると、09年時点でプロアマチンとその後発品を服用しているアメリカ内の患者数は約10万人。これらの患者に対してFDAは当面は服用を継続し、医師と代替治療について相談するよう求めている。