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【WSCリポート】クロピドグレル  loading dose投与も出血性合併症みられず

公開日時 2010/10/15 06:02

日本人虚血性脳血管障害患者(脳梗塞とTIA(一過性脳虚血発作))に対し、クロピドグレルを初回に大量投与しても、出血性合併症はみられず、脳卒中の再発を抑制した――。杏林大学医学部神経内科・脳卒中センター准教授の西山和利氏が、同院でクロピドグレルの“loading(初回大量投与)”を行った20例を対象に、レトロスペクティブ(後ろ向き)に解析した結果から分かった。韓国・ソウルで開催されている第7回世界脳卒中学会(WSC)のポスターセッションで10月14日報告された。(韓国・ソウル発 望月英梨)


クロピドグレルは初回投与から効果発現に時間がかかることが指摘されており、循環器領域ではこれを補うために、loading が一般的に行われている。その一方で、脳卒中の治療に際しては、現在のところloading の安全性・有効性は確立されていないのが現状だ。


西山氏らはこのような状況を受け、虚血性脳血管障害に対するクロピドグレルのloading の安全性をレトロスペクティブに検討した。クロピドグレルの投与量は、150~300mgで、追跡期間は平均11.6カ月。


対象は、同院で何らかの理由により、常用量を上回る用量を投与した脳卒中患者20人。期間は2006年5月~2010年8月までの約4年間。なお、この期間に7511人の患者が同院を受診している。患者の内訳は、アテローム血栓性脳梗塞8例、TIA6例、BAD(branch atheromatous disease)2例、ラクナ梗塞1例、奇異性脳塞栓1例、網膜中心動脈閉塞症とアテローム血栓性脳梗塞を合併が2例。


その結果、懸念された出血性の合併症を発症した症例はなかった。有害事象として、肝機能値の緩やかな上昇が3例報告された。ただし、クロピドグレルの投与を中止することなく、回復している。


一方、脳卒中の再発は全例で抑制され、神経学的所見からみた脳卒中症状の進展は73%で抑制されている。


西山氏はこれらの結果から、「この観察研究は、アジア人の急性期虚血性脳卒中患者に対するクロピドグレルのLoadingは、安全ということを示唆している。」と結論づけている。
西山氏は本誌取材に応じ、「今回の研究結果ではLoading法の有効性までは証明できておらず、効果の面に関しては今後の前向き大規模研究が重要であろう」と述べている。

 

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