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無症候性頚動脈狭窄症患者に対する迅速なCEAの実施で脳卒中リスクを低減

公開日時 2010/10/18 02:00

無症候性の頸動脈狭窄症患者において、直ちに頸動脈内膜剥離術(CEA)を実施することにより、その後10年間の脳卒中リスクが抑制されることが明らかになった。被験者約3000人を対象に、治療を遅らせた場合とで比較検討した大規模無作為化試験「ACST-1」の結果から分かった。英John Radcliffe病院のAlison Halliday氏らの研究グループが、学術誌「THE LANCET」9月25日号で報告した。


著しい頸動脈狭窄がありながらも神経学的症状を呈しない患者は、長期の虚血性脳卒中リスクが上昇する。CEAは動脈狭窄を取り除くことが出来る一方で、周術期での脳卒中や死亡リスクを伴う。


同試験は、1993~2003年までに30カ国、126施設の無症候性患者3120人を対象に、即座にCEAを行う被験者群か、より決定的な兆候が現れるまで処置を遅らせる被験者群に無作為に割り付け、2006~2008年まで追跡した。生存者での追跡期間中間値は9年。中間報告として、2004年にCEAのベネフィットが報告されている。


被験者は多くが、頸動脈の直径が最低60%低減しており、過去6ヶ月以内に脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)、その他の神経学的症状を発生していない患者。抗血栓、抗高血圧、脂質低下に対する長期薬物治療など、その他の治療決定は医師に委ねられた。主要評価項目は、周術期の死亡と病態悪化(30日以内の死亡と脳卒中)、非周術期脳卒中と設定した。



ベースラインの患者特性は両群で有意差はなかった。CEA群は無作為化から1カ月(中間値)で処置を受け、対照群では年間平均4%がCEAを受け、無作為化から10年以内に合計26%が受けていた。無症候の状態で1年以内にCEAを受けた割合は、CEA群89.7%に対し、対照群4.8%、5年以内ではそれぞれ92.1%と16.5%、10年以内で92.2%と23.5%であった。


30日以内の周術期での脳卒中または死亡のリスクは、3.0%(95%CI:2.4-3.9)。周術期のイベントと非脳卒中を原因とする死亡を除いた脳卒中のリスクは、5年目でCEA群が4.1%に対し対照群10.0%、10年目ではそれぞれ10.8%と16.9%。対照群に対する、CEA群の非周術期の脳卒中発生率の比率は0.54(95%CI:0.43-0.68, P値<0.0001)となり、CEA群に46%のリスク低減が示された。


全脳卒中と周術期の死亡のリスクを合わせた場合のネットリスクは、5年目でCEA群が6.9%に対し対照群は10.9%、10年目ではそれぞれ13.4%と17.9%であった。


薬物治療は両群とも似通っており、殆どが抗血栓治療薬と抗高血圧治療薬を与えられていた。CEAによるネットベネフィットは、脂質低下治療の有無に関わらず有意であり、また75歳未満では性別に関わらず有意であった。
これらの結果から研究グループは、75歳未満の無症候性患者に対するCEAは、10年間の脳卒中リスクを低減させると結論した。


 

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