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薬価研・藤原委員長 26年度薬価改革「カテゴリーごとの解像度上げ具体化進める」 新創品の改定除外も

公開日時 2025/06/16 06:15
日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会の藤原尚也委員長(中外製薬執行役員渉外調査担当)は6月13日の記者会見で、26年度薬価制度改革に向けて「カテゴリーごとの薬価制度の解像度を上げて、具体化を進めていく」と意欲をみせた。新薬創出等加算品と基礎的医薬品を薬価改定の対象から除外し、シンプルに薬価を維持する仕組みにすることなどを訴えていく考え。長期収載品には選定療養が導入されたことから、G1・G2ルールの撤廃なども求める。藤原委員長は、「今はまだコンセプトベースのところがある。カテゴリーごとに具体的にどんな薬価制度が必要なのか、制度設計をしっかりと詰め、具体的なものを提案していく、実現していくことが今年一番大きな課題」と話した。

◎革新的な新薬の迅速な導入、医療上必要性高い医薬品の安定供給実現に必要

カテゴリーごとの薬価制度について藤原委員長は、「革新的な新薬を迅速に患者さんにお届けする。医療上必要性の高い高品質な医薬品を安定的にお届けする。この2つを実現するために、カテゴリーごとの薬価制度は不可欠ではないかと思っている」と意義を強調する。

提案する薬価制度のカテゴリーは、新薬、特許が切れた医薬品、医療上の必要性の高い医薬品-の大きく分けて3カテゴリー。藤原委員長は、「製薬企業にとって、ビジネスモデルが違う。それぞれのカテゴリーごとにしっかりとルールを決めてもらい、それが安定的に運用されれば、予見可能性は高まると思っている」と説明。現行の薬価算定ルールを「もう一度再整理しながら、よりシンプルにして予見性を高めたい」と強調した。

◎新薬創出等加算の改定対象除外は累積額控除なく 「特許切れ後の薬価セットで提案」

新薬については、「値付けの時は価値に見合った価格がしっかり付いて、その価格が特許期間中は薬価が維持されるというところを目指している」と説明した。

新薬創出等加算については、25年度薬価改定では平均乖離率以内の品目は改定対象とならず、市場拡大再算定により薬価が引下げられた品目を除くと91.1%の薬価が維持された。また平均的な加算率が減少している。これらの状況を踏まえ、現行の市場実勢価格に基づく薬価引き下げ後に加算する仕組みから、新薬創出等加算品目を改定の対象から除外する仕組みへと転換することを求めた。

新薬創出等加算品を改定の対象から除外することで、特許切れ後の累積額控除による薬価引下げが起きないこととなる。現行制度と考え方が異なることになるため、藤原委員長は、「新薬創出等加算を薬価改定の対象外にするのであれば、特許が切れた後の薬価をどうするかと、セットでしっかりと提案していく必要があると思っている」と強調した。ただ、「具体的なところはまだ検討できていないので、これから検討していく」と述べるにとどめた。

◎市場拡大再算定「使用実態が著しく変化した場合は何か」 本質的な議論を

新薬の薬価算定において類似薬の対象範囲拡大など、新薬の価値が適切に薬価に反映される仕組みの構築に向けた検討の必要性を指摘した。特許期間中の薬価維持の重要性も強調。これを妨げる仕組みとして、市場拡大再算定と、費用対効果評価が大きな課題と指摘。市場拡大再算定については、類似薬効比較方式で算定された品目は「使用実態が著しく変化した場合」とされている。藤原委員長は「効能追加は治療選択肢が増えることで、患者さん、医療の質向上に貢献するものだと思っている。小児やオーファンなどの効能追加を使用実態の著しい変化とみなすのか。それでは、ドラッグ・ラグ/ロスの助長につながっていく可能性があるのではないか」と指摘。「使用実態の著しい変化とは何かという本質的な議論が必要ではないか」と述べた。

特例拡大再算定については年間販売額と市場規模拡大率のみで薬価が引下げられることから、「再算定の基本的な考え方と整合性が取れていないのではないか」として、見直しを求めた。

このほか、市場拡大再算定の共連れについては、類似品から除外される品目が限定的であることから、領域の特定方法などの議論の必要性を指摘した。

◎長期収載品 G1・G2ルールの廃止を 選定療養導入で後発品は浸透

特許切れ後の長期収載品については、「特許が切れたら後発品に道を譲るというのは日薬連としてずっと言い続けているところだと認識している」と表明した。そのうえで、24年10月に長期収載品の選定療養が導入されたことに触れた。長期収載品の選定療養は長期収載品と後発品の価格差の一部を患者負担とすることで後発品の浸透を図る仕組みと説明。一方で、G1・G2ルールは市場実勢価格によらず長期収載品の薬価を後発品に近づける仕組みであることから、「アプローチが違うのではないか。選定療養を進めていくのであれば、G1・G2ルールはもう撤廃してもいいのではないか」と述べた。先発メーカーの長期収載品の撤退をめぐってはG1の撤退スキームを活用する事例は少なく、企業の意図で撤退することが難しいことから、運用の見直しを求める姿勢も示した。

◎医療上必要性高い医薬品 基礎的医薬品は改定除外を、年数要件適用の検討も

医療上必要性の高い医薬品については、薬価を下支えする基礎的医薬品、不採算品再算定、最低薬価について「3つの相互の関係も踏まえた上で、充実に向けた対応を行う」必要性を指摘する。

基礎的医薬品についてはすでに薬価を維持できる仕組みとなっていることから、改定から除外することを主張した。基礎的医薬品は収載後15年が年数要件となっているが、収載後15年未満でも不採算品再算定が適用されている事例があることなどを踏まえて対象範囲拡大を訴える考え。不採算品再算定については、適用に際し、組成、剤型区分・規格が同一の類似薬要件を満たす必要があるが、この要件のあり方について引き続き検討すべきなどとしている。最低薬価は、まだ設定されていない剤型が存在することに問題意識を表明した。
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