中医協総会 16品目の薬価削除を了承 承継・代替新規で「供給の懸念特段ない」 経過措置に7月頃移行
公開日時 2025/06/19 04:51
中医協総会は6月18日、薬価削除の簡素化プロセスを活用して16品目の薬価を削除することを了承した。新たなスキームで薬価削除される品目が報告されるのは初めて。削除されるのは、ベバシズマブBS点滴静注400mg「第一三共」やセフカペンピボキシル塩酸塩錠100mg(沢井製薬)などで、いずれも承継もしくは代替新規が理由。7月頃に経過措置に移行する予定で、経過措置期間は26年3月末まで。厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の水谷忠由課長は、「いわゆる名称を変更しただけ、あるいは承継した企業によって、同等の品目が間を置かずに供給される。供給に関する特段の懸念はないものと考えている」と述べた。
後発品の安定供給に焦点が当たり、その要因の一つと指摘される少量多品目構造の適正化が求められるなかで、厚労省は供給停止、薬価削除プロセスの明確化、一定条件下でのプロセスの簡素化を図った。薬価削除するケースは、①医療上の需要がなくなる等の理由により、製造販売業者が供給の停止及び薬価基準からの削除を希望する場合、②承継、代替新規又はG1撤退に伴い薬価削除が必要な場合-がある。
今回、厚労省が報告した16品目は、承継または代替新規を理由に、24年12月から今年5月末までに薬価削除願が提出された品目。代替新規とは、組成、剤型・規格および製造販売業者はそのままにした上で、販売名の変更を行うもの。水谷課長は、「例えば局方収載の日本名別名の変更に伴うものであったり、屋号の変更に伴うものであったり、いわば技術的なものがここに含まれている」と説明した。
◎医療上必要なく薬価削除品目は10月頃に中医協に報告、翌月経過措置に
医療上の需要がなくなる等の理由により、製造販売業者が供給の停止及び薬価基準からの削除を希望し、薬価削除が必要になるケースについて水谷課長は、「少量多品目構造の是正のための薬価削除」として、「今まさに少量多品目構造の改善ということで、業界においても様々な取組みを進めていただいているところだ。見込みとしては、10月頃の中医協にご報告をさせていただいき、翌月経過措置に移行し、翌3月に薬価削除という流れが想定される。当然、こうしたことについても、中医協にご報告をさせていただきながら、進めてまいりたい」と述べた。
◎診療側・森委員 経過措置期間を「最終ロットの使用期限に」 製薬企業、行政に対応求める
診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「昨年薬価削除プロセスが整理されたことで、少量生産の品目も削除しやすくなったものと思う。後発医薬品企業の少量多品目生産がより早く適正化に向かうことを期待している」と述べた。
診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「医薬品の供給問題が発生して、4年以上経つが、改善していない。現場では患者さんへの必要な医薬品の調達に大変苦労をしている。こうした状況の中、経過措置期間満了で使用期限が残っているのにもかかわらず、医薬品が使えなくなるということは貴重な資源を無駄にし、さらに医薬品提供体制を悪化させることにもなり得る」と指摘。「医薬品への患者アクセスの確保、薬局医療機関の経営への影響から、経過措置品については、最終ロットの使用期限を経過措置期間としていただきたい。
使用期限内の医薬品が自動的に削除とならないよう、配慮をいただきたい」と製薬企業と厚労省に対応を求めた。
なお、通知では、留意事項として「経過措置期間は通常最大1年間(10月頃に中医協への報告を行った場合、当該年度の3月末まで、2月頃に中医協への報告を行った場合、翌年度の3月末まで)であるが、製造販売業者は、経過措置期間の延長申請の活用も含め、使用期限の残存する医薬品が薬価削除されることにより医薬品流通当事者が被り得る不利益等に対して、適切に対応すること」とされている。
承継されたベバシズマブBS点滴静注100mg「第一三共」、同・400mgの2品目。代替新規品目は、セフカペンピボキシル塩酸塩小児用細粒10%「SW」、セフカペンピボキシル塩酸塩錠75mg「SW」、同・100mg(沢井製薬)、セフジトレンピボキシル小児用細粒10%「SW」、セフジトレンピボキシル錠100mg「SW」(沢井製薬)、プロチレリン酒石酸塩注射液0.5mg「サワイ」、プロチレリン酒石酸塩注射液2mg「サワイ」、イマチニブ錠100mg「ヤクルト」(高田製薬)、ボルテゾミブ注射用3mg「ヤクルト」(高田製薬)、セフカペンピボキシル塩酸塩細粒小児用10%「TW」(東和薬品)、セフカペンピボキシル塩酸塩錠75mg「TW」、同・100mg(東和薬品)、乾燥ガスえそ抗毒素「KMB」(KMバイオロジクス)、乾燥はぶ抗毒素「KMB」(KMバイオロジクス)―。
◎第一三共・越後氏が専門委員に
同日の総会では、中医協薬価専門部会と費用対効果評価専門部会の専門委員に越後園子氏(第一三共渉外部渉外部長)が就任することが了承された。