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【AHAリポート】ROCKET-AF 高リスク心房細動患者の脳卒中発症抑制でワルファリンへの非劣性を証明

公開日時 2010/11/16 11:07

ファクターXa阻害剤・リバロキサバンは、ワルファリンに比べ、高リスク心房細動患者において脳卒中の発生を有意に21%抑制することが分かった。これにより、リバロキサバンのワルファリンに対する非劣性が証明された。一方、大出血のリスクは2剤に有意差がみられないことも分かった。同剤の臨床第3相試験「ROCKET AF(Stroke Prevention Using the Oral Direct Factor Xa Inhihbitor Rivaroxaban Compared With Walfarin in Patients with Nonvalvular Atrial Fibrillation)」の結果から明らかになった。米国イリノイ州シカゴで開催されている米国心臓協会(AHA)の2010年学術集会の「Late Braking Clinical Trials セッションII」で、Duke大学のKenneth W. Mahaffey氏が11月15日、発表した。


試験は、多施設前向き二重盲検比較試験として、脳卒中の発症リスクが高い非弁膜症性心房細動患者を対象に、血栓塞栓性イベントの発症予防効果におけるリバロキサバンのワルファリンへの非劣性を証明することを目的に実施された。


対象は、塞栓症リスクが中等度~重度で、抗凝固療法が推奨される非弁膜性心房細動患者。登録基準は、脳卒中、TIA、全身の塞栓症の既往または脳卒中発症リスク(心不全、左室駆出率(LVEF)≦35%、高血圧、75歳以上、糖尿病)を2つ以上持つ患者とした。


45カ国1178施設から登録された患者を、14日以内に、①リバロキサバン20mg1日1回経口投与(クレアチニンクリアランス(CCr)30~49mL/min/1.73m2の患者では1日15mg)7081例②ワルファリン1日1回投与(INR値:2.5を目標に調節[2.0-3.0])7090例――の2群にランダムに割り付け、治療効果を比較した。主要複合評価項目は、脳卒中または非中枢性(CNS)塞栓症の発生率。


試験開始時の患者背景は、ともに年齢が73歳、女性が40%など、両群で差を認めなかった。またCHADS2スコア平均値はリバロキサバン群3.48、ワルファリン群3.46、脳卒中/TIA/塞栓症既往がいずれも55%など、高リスク患者が対象となっているのが特徴だ。


◎非劣性証明も優越性は示せず


非劣性は、被験薬を服用していた患者を対象に、On Treatment解析(薬剤投与~薬剤投与終了2日後までのイベントが対象)を用いて検討した。


その結果、主要評価項目の発生率は、リバロキサバン群は1.71イベント/100人・年で、ワルファリン群の2.16イベント/100人・年に対する非劣性が証明された[ハザード比:0.79、95%CI; 0.66~0.96、P値<0.001]。


ただし、非劣性が示された場合に予定されていた優越性については、ITT解析(試験開始時~試験終了時までのイベントが対象)を用いて検討したところ、リバロキサバン群の2.12イベント/100人・年に対し、ワルファリン群は2.42イベント/100人・年で、リバロキサバン群で良好な傾向はあったものの、有意差は認められなかった[ハザード比:0.88、95%CI; 0.74~1.03、P値=0.117]。


◎出血リスク ワルファリンと有意差なし


一方、安全性の評価項目については、大出血+大出血ではないが、臨床上問題となる出血がリバロキサバン群で14.91イベント/100人・年に対し、ワルファリン群では14.52イベント/100人・年で、両群間に有意差はみられなかった[ハザード比:1.03、95%CI:0.96~1.11、P値=0.442]。


大出血も、リバロキサバン群3.60イベント/100人・年、ワルファリン群3.45イベント/100人・年で両群間に大きな差はみられなかった[ハザード比:1.04、95%CI:0.90~1.20、P値=0.576]。


なお、出血リスクに関しては、リバロキサバン群で2g/dL以上のヘモグロビン濃度低下(2.77%対2.26%、P値=0.019)や輸血を要する出血(1.65%対1.32%、P値=0.044)が有意に多かった。


Mahaffey氏はその一方で、懸念された頭蓋内出血(0.49%対0.74%、P値=0.019)、致死性出血(0.24%対0.48%、P値=0.003)はリバロキサバン群で少なかったと説明。「リバロキサバンは、中等度から高リスクの心房細動患者において、ワルファリンの代替となる薬剤だ」と結論付けた。


また共同研究責任者でDuke大学のRobert M. Califf氏も記者会見で、「リバロキサバンは、INRモニターを必要としない1日1回投与の薬剤で、リスクを高めることなく、少なくともワルファリンと同等の効果を得られる貴重な薬剤だ」との見解を示した。
 

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