大塚HD 上場後初の11-13年度中期経営計画 成長ドライバーのアリピプラゾールは売上4000億円超に
公開日時 2011/05/17 04:00
大塚ホールディングスは5月16日、上場後初となる第一次中期経営計画(11-13年度)を発表した。統合失調症治療薬アリピプラゾールが米国などで引き続き成長ドライバーとして伸長するなどして、13年度の目標売上高は10年度比22.0%増の1兆3300億円、うち医療関連事業の目標売上高は17.4%増の8470億円。このうち、主力の統合失調症治療薬アリピプラゾールのグローバル売上高は4000億円超になるとの見通しを示した。
同社は医療関連事業の10年度から13年度の売上増額分(1256億円)の半分にあたる628億円はアリピプラゾールの売上増となる見通し。最も貢献度の高い米国では持続性注射剤(IMデポ、4週間に1回製剤)の上市や合剤などの市場浸透、そのほかの適応拡大などによるライフサイクル・マネジメントによる価値の最大化、パートナーであるBMS社との利益配分の改善(10年度は大塚が42%→13年度は約60%に改善)により、継続した伸長を計画している。
同日記者会見で説明した同社の樋口達夫社長兼CEOは、持続性注射剤に関して、米国の統合失調症経口剤治療患者300万人のうち、コンプライアンス悪化や症状悪化により治療をあきらめている人が約20万人いるとしたうえで、「持続性注射剤は従来薬で治療をあきらめている患者に対する新しい治療の提案。そのような患者さんの朗報になる」として、20万人への市場拡大の余地があるとの期待を示した。
日本国内はアリピプラゾールの適応拡大(双極性障害、うつ病の追加適応症)や抗悪性腫瘍剤アブラキサン、抗てんかん剤イーケプラ、バソプレシンV2受容体拮抗剤サムスカなどの既存薬の伸長や、ムコスタ点眼(申請中)や13年度に上市予定のロチゴチン(パーキンソン病、むずむず脚症候群)などの新薬で収益拡大を図る。国内では新薬(輸液を含む)の売上高は10年度の140億円から13年度に500億円規模に拡大する見込み。
同社は13年度以降にアリピプラゾールの米国での特許切れに直面するものの、この影響を克服し、2020年度に目標売上高1兆5000億円とする長期事業戦略も明らかにした。