日本イーライリリー・トムセン社長 25年度売上高2760億円 肥満症薬「不適切な処方は許容しない」
公開日時 2026/05/12 04:52

日本イーライリリーのシモーネ・トムセン代表取締役社長は5月11日、年次業績・社長記者会見に臨み、2025年度売上高が前年比25%増の2760億円となり、創業以来最高を更新したと発表した。新製品・成長製品群の売上が前年比57%増と大幅伸長した。トムセン社長は同社の2030年ビジョンに「製薬業界のリーディングカンパニーを目指す」を掲げ、研究開発・生産、AI、人財等への投資を継続すると力を込めた。戦略面では、肥満症や認知症など「医療アクセスの改善」に注力する考えを表明。自由診療市場への拡大と不適切使用が懸念される肥満症治療薬については、「我々は不適切な処方は許容しない」と強調。「適切な情報提供を医療従事者に行い、適切な選択を患者のためにして頂く」と約束し、規制当局や関係学会と連携しながら必要に応じて「警告や通知を出すこともあり得る」との見解を示した。
◎3年連続で2桁成長 疾患啓発や医療アクセス改善などの活動に手応え
トムセン社長は25年度業績について、新製品・成長製品群売上高が前年比57%、販売数量も59%それぞれ増加し、3年連続で2桁成長を遂げたと報告。業績伸長の背景として、疾患啓発や医療アクセスの改善に取り組んだと明かした。具体的には、肥満症啓発キャンペーン「その肥満、肥満症かも!」プロジェクトや、アンバサダーに女優を起用したアルツハイマー病の早期診断に関する啓発活動が功を奏したと紹介。産学連携パートナーシップでは、肥満症関連23学会で構成する「領域横断的な肥満症対策の推進に向けたワーキンググループ」と昨年10月に覚書を締結。さらに26年3月から、「肥満症情報サイト“その肥満、肥満症かも”」を通じて病院検索やオンライン相談へのアクセスできるようにしたと説明し、「弊社ウェブサイトを通じて、数千人がオンライン相談に関心を示している」と明かし、必要とする患者に、必要な治療を届ける環境づくりに貢献する意義を強調した。
◎医療従事者が高い倫理観と誠実性をもって処方して頂けるよう適切な情報提供に努める
ただ一方で、肥満症治療薬について、「我々のトッププライオリティは患者の安全を守ること。今後も不適切な処方は許容しない」と語気を強めた。記者との質疑においてトムセン社長は、「新しいシステムを導入した」と述べ、「処方を行う際は追加のサポートとしてタイムリーに情報提供できるようなシステムを構築した」と語った。さらに「患者さんのみならず医療従事者に対しても警告注意事項を出している」と説明。「有効性・安全性が認められている肥満症治療薬については、医療従事者の方々が高い倫理観と誠実性をもって処方して頂けるよう適切な情報提供に努める」と述べた。
◎対日投資継続 AIエージェント活用でMRのスケジュール作成、面談準備などに活用
このほかトムセン社長は、2030ビジョン到達に向けたKey Enablersとして、①国内2位の開発中プロジェクト数、②25年に70億円を投じ、さらに28年までに200億円の追加投資が決まった西神工場やAI/テクノロジーなど日本への投資、③成長の原動力となる人財活用-に取り組む考えを表明した。
特にAI投資では、AIエージェントを活用したMRのスケジュール作成、面談準備、フォローアップのサポートや、研究開発における文書作成支援などをすでに日本国内で実走していると紹介。グローバルでは26年1月から半導体メーカー最大手のNVIDIAとコ・イノベーションAIラボを開設し、AIと高速コンピューティングを活用した創薬、臨床開発、製造、サプライチェーンへの利用にも着手していると明かしてくれた。