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【ERSリポート】COPD治療に関する最新の知見が報告される

公開日時 2011/10/07 06:01

9月24~28日までオランダ、アムステルダムで開催された欧州呼吸器学会(ERS)では、肺疾患医療における最近の動向をテーマとしたシンポジウムが25日に開かれ、その中でフランスParis Descartes大のNicolas Roche氏が、COPD治療に関して、気管支拡張薬を初めとする薬物療法から、運動療法やリハビリテーションに及ぶ広い視点から、最新の知見を報告した。


まず初めに強調すべき重要点として、気管支拡張薬への急性反応が、長期的な臨床反応を予測するものではないことを、再度確認すべきであるとした。急性気管支拡張反応は、信頼のおける表現型ではないため、COPDの処方を判断する指標として扱ってはならない。


β2刺激薬は肺機能と臨床効果を向上させるが、さらにその効果を増強させる簡単な方法として、ビタミンCのアスコルベイトを追加する療法が検討されている。近年動物モデルでイソプロテレノールやエピネフリン、アルブテロールとの併用が検証され、気管支拡張反応の有意な向上が示されており、臨床試験の実施が待たれるところである。
気管支拡張薬は様々な併用が検討されているが、特に臨床転帰をより向上すると期待されるものに、チオトロピウムとサルメテロール、チオトロピウムとホルモテロールの併用がある。


一方、COPDの増悪予防では、抗菌薬のアジスロマイシンが長期的な増悪予防に有効的であるとする結果が、今年ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌で発表された。多くが増悪歴があり長期的に酸素療法を受ける重症患者(1142人)が対象で、標準治療に加えてアジスロマイシンを投与した被験者群では、1年間の追跡の結果、プラセボ群より増悪頻度が有意に約30%低かった。また抗生物質のエリスロマイシンを検討した別の試験では、増悪抑制効果が見られただけでなく、喀痰における好中球エラスターゼの減少も現れた。


◎増悪リスクのあるCOPD患者の同定も重要


増悪抑制の治療法と同様に、増悪リスクのあるCOPD患者の同定も重要である。COPDの進行指標を3年間の追跡で検討したECLIPSE試験では、1年目から頻繁に増悪した患者は3年間の追跡期間中ずっと増悪リスクが高いことがわかり、増悪の最も重要な因子は、過去の増悪歴であることが明らかになった。3年間で年に2回以上増悪した患者の割合は13%で、これらの患者には特別な増悪予防措置が取られるべきであることが示唆された。
抗炎症薬に関する領域で興味深いのは、スタチンがCOPD関連のイベント抑制と関連する可能性である。これまでスタチンを扱った試験のメタ解析の結果、スタチンは死亡、入院、増悪、肺機能低下といったCOPDイベントを抑制することが示唆されている。これらの臨床試験は主に心血管疾患患者を対象としたもので、COPD患者でのスタチンの効果を検討したものではない為、解釈には注意が必要だが、現在COPD症例に特化した試験が進行中であり、結果報告が待たれている。


薬物療法と同様にCOPD治療の中核をなす運動療法やリハビリテーションでは、大腿四頭筋に対する磁気刺激療法やノルディックウォーキング、太極拳、電気鍼療法、認知行動療法などの研究が進んでいる。特に大腿四頭筋の磁気刺激療法は、小規模試験ではあるものの6分間歩行距離や強度、持久力の改善だけでなく、QOLの向上も示され、またノルディックウォーキングをFEV1が平均48%の被験者に3ヶ月間継続させ、9ヶ月間追跡した試験では、6分間歩行距離が対照群と比べて79m長くなったことがわかった。電気鍼療法においても6分間歩行距離とQOLの向上を示した報告がある。またリハビリ中のCOPD患者に認識行動療法を18ヶ月間で4セッション実施した試験では、パニックアタックと不安を低減させ、呼吸症状の認識向上が示唆されている。

 

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