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【esc特別版】DEFUSE2 急性期脳卒中患者の再灌流療法施行 予後特定にtarget mismatchが有用

公開日時 2012/05/28 06:57

早期の再灌流療法施行により、転帰が良好であることが期待できる患者の特定に、MRIの灌流強調画像(PWI)と拡散強調画像(DWI)を完全自動で解析する“RAPID”を活用し、血流が低下しているものの組織障害がない、いわゆる“target mismatch”を同定することが有用である可能性が示唆された。5月22~25日まで、ポルトガル・リスボンで開催された第21回欧州脳卒中学会議(esc)で、23日に開かれたLarge Clinical Trials(RCTs)セッションで、DEFUSE2 investigatorsを代表して、Maarten G.Lansberg氏が報告した。(望月英梨)


試験は、MRIのPWIとDWIから、脳の損傷の程度などを完全自動で解析するMRI解析プログラム“RAPID”を臨床医が緊急時に用いることで、再灌流療法の施行で、良好な転帰を得る可能性がある患者を同定できるかどうか、検討する目的で実施された。9施設で、前向きに実施されたコホート研究で、登録期間は2009年~11年までの2年間。


急性期脳卒中の治療としては、t-PAをはじめとした、再灌流療法の有用性が報告されている。一方で、この適応としては、血流が低下しているものの、組織障害がない“target mismatch”を対象に再開通療法を行うことの有用性が報告されてきた。一般的に、PWIでの低灌流域がDWIの高信号域(組織障害部位)よりも広いことが知られており、target mismatchは、PWIでの低灌流領域であって、DWIの高信号域(組織障害部位)と合致していない部分を指す。

試験は、target mismatchがみられた患者では、そうでない患者に比べ、血管内再灌流療法の治療成績が良好との仮説に基づき、実施された。


対象は、血管内虚血性脳卒中治療を実施する予定で、動脈内療法を施行する90分前以内に、MRIを測定でき、脳卒中重症度スケールであるNIHSSスコアが5点以上の患者138例。このうち、MRIを測定できた104例を解析対象とした。target mismatchは78例、このうち再灌流療法施行例は46例、非再灌流施行例は32例だった。一方、 target mismaychがみられなかったのは26例で、再灌流療法施行例は12例、非再灌流療法施行例は9例だった(測定不可能症例:5例)。

患者背景は、平均年齢が66歳(標準偏差(SD):15)、NIHSSスコア(中央値)が16(11~19)、経静脈的血栓溶解療法(i.v. t-PA)を事前に施行していた症例は、53%だった。DWI(中央値)は15ml(IQR:5-32)、PWI(中央値)は79ml(IQR:43-115)、発症から動脈内治療の施行までの平均時間(中央値)は5.9時間(IQR:4.0-7.7)だった。
動脈内治療施行後、再灌流についてMRIを活用して確認するほか、治療から5日後(FLAIR)にも測定する。また、30日後に転帰についてNIHSSスコアとmodified Rankin Scale(mRS)を用いて評価した。


◎画像、臨床転帰ともにtarget mismatchの再灌流療法で良好な結果示す


その結果、再灌流療法の有無とデジタル画像(FCR)での転帰との関連性を検討したところ、target mismatchがみられた症例では、オッズ比が5.0(1.9~13)だったのに対し、target mismatchがみられなかった症例ではオッズ比が0.2(0.0~1.4)で、有意にtarget mismatchがみられた症例で、有意に良好で、強い関連性を示した(p=0.004)。年齢とDWIで補正しても同様に、target mismatchがみられた症例では8.8(2.7~29)だったのに対し、target mismatchがみられない症例は0.2(0.0~1.6)で、target mismatchがみられた症例で強い関連性を示す結果となった(p=0.003)。

予後が良好とされる、90日後のmRSで自立(mRSで0~2点)がみられたのは、target mismatchで再灌流を実施した57%が最も高く、target mismatchで再灌流療法を施行しなかった患者では31%だった。これに対し、target mismatchが認められず、再灌流療法施行では25%、再灌流療法非施行では22%だった。

target mismatchと梗塞の進展との関連性についても検討したところ(5日後のFLAIR volume-ベースライン時のDWI)、target mismatchがみられた症例では、非再灌流療法施行で73(32-127)に対し、再灌流療法施行例では30(5-67)で、非再灌流療法で有意に梗塞が進展しており、関連性がみられた(p=0.005)。一方で、target mismatchがみられなかった症例では、再灌流療法施行例と非再灌流療法施行例との間に有意差はみられなかった(p=0.21)。

これらの結果から、Lansberg氏は、「target mismatchがみられない症例では、早期の再灌流療法の施行と、良好な転帰との関連性がみられないのに対し、target mismatchの患者では、臨床的、画像的に良好な転帰を得る可能性が増加する」と述べ、target mismatchの患者への再灌流療法施行の有用性を強調した。


◎サブ試験 治療開始が6~12時間でも再灌流療法は有用に

25日に開かれたLarge Clinical Trialsセッション(RCTs)では、サブ試験として、time window(治療可能時間)を過ぎたtarget mismatchがみられた患者への再灌流療法の有用性を検討した結果がGreg Albers氏から報告された。

サブ試験では、6時間以内に治療を開始した患者(36例、中央値:4.8時間)と、6時間以降に治療を開始した患者(42例、中央値:7.9時間)とに分け、予後良好との関連性を検討した。その結果、オッズ比は、6時間以内に治療を開始した患者の2.9[0.7-11.4]に対し、6時間以降の患者では8.5[2.1‐35]で、有意差はみられなかった(p=0.28)。年齢やDWI値で補正した結果も同様に有意差はみられなかった(p=0.20)。mRSにより転帰を評価した結果も、再灌流の有無で差はみられるものの、治療開始時間による大きな差はみられなかった。

そのほか、梗塞の進展は、再灌流療法施行例では、6時間未満で平均41ml[2-73]だったのに対し、6時間以降では26ml[7-67]で、差はみられなかった。ただし、6時間以降での非再灌流療法施行例では、108ml[45-185]で、再灌流療法の有無によって有意差がみられた(p=0.005)。

Albers氏はこれらの結果から、「発症から6~12時間以内に治療を開始し、早期に再灌流が得られたtarget mismatch症例では、梗塞の進展が少なく、臨床転帰もより良好だった」との見解を示した。

なお、これらの結果を受け、発症から12時間までのtarget mismatch症例を対象に、血管内治療施行の有用性を検討する「DEFUSE3」が実施中であることも明らかにされた。

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