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日米欧製薬3団体 特許期間中の薬価維持を要望するも具体案に欠く 診療側「類Ⅱの収載可否検討も」

公開日時 2025/07/10 07:00
日米欧製薬3団体は7月9日の中医協薬価専門部会で、「革新的新薬の特許期間中の薬価維持」を要望した。日本製薬工業協会(製薬協)の宮柱明日香会長は特許期間満了後に「薬価を一定程度引き下げることが前提」との見解を示した。ただ、薬価の引き下げ幅や方法などには言及せず、具体案に欠くことを指摘される場面もあった。このほか、製薬業界から革新的新薬に対する収載時の薬価上の評価を求める声が上がる中で、診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「真に新規性の高い医薬品の評価を充実していくことを基本として考えていくべき」と表明。類似薬効比較方式Ⅱについて「評価の見直しのみならず、薬価収載自体の可否についても検討すべき」との考えを示した。

◎製薬協「26年度は現行制度をベースとした改善、28年度は抜本的な制度改革を」

この日の意見陳述で製薬業界は、24年度薬価制度改革を評価したうえで、これをさらに進める改革を求めることを要望した。製薬協の宮柱会長は、「私たちは予見性の高いシンプルな薬価制度の構築を目指しており、26年度は現行制度をベースとした改善を行いつつ、28年度の抜本的な制度改革に向けて、今後さらなる議論を行っていきたい」と述べた。

◎特許後の引下げ幅に言及せず 支払側・松本委員「具体案がないということで承知した」

製薬業界の要望は、特許期間中の薬価維持に集まった。製薬協の宮柱会長は、「現在は新薬創出等加算品について、実勢価改定による引き下げ分を加算することで、薬価を維持しているが、もとより引下げのない薬価維持の仕組み、つまり予見性が高く、シンプルな制度への転換を提案する」と述べた。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「特許期間が満了した場合、具体的にどのような基準・指標で薬価を下げることを考えているのか」と質した。

製薬協の宮柱会長は、「現時点で我々としては革新的新薬の特許期間中の薬価を維持すべきということが提案。特許期間が満了して後発品が収載される際には、現行制度と同様に薬価を一定程度引き下げることが前提であると考えている。具体的にどのぐらい下げるかというところに関しては、今後詳細な議論を是非させていただきたい」と述べた。これに対し、支払側の松本委員は「現段階では具体的な提案があるわけではないということで、今後の議論ということで承知した」と応じた。このほか、特例拡⼤再算定の廃⽌、市場拡大再算定における共連れの廃止も要望した。

◎収載時の評価で類似薬の柔軟な選定求める 

革新的新薬収載時の薬価について、評価拡充も求めた。製薬協は、「新規モダリティ等の⾰新的新薬の価値をより適切に評価できる新たな仕組みの導⼊」を要望した。革新的新薬は原価計算方式で算定されるケースが多いが、「本来の価値が十分に反映されていないケースが見られる」と指摘。「疾患特性や製剤特性などを総合的に踏まえた、柔軟な類似薬の選定」を提案した。これにより、「革新的新薬がその価値に見合った適切な評価を受けることが可能になり、日本での導入、そして上市がより迅速に進む可能性が高まると考えている」と訴えた。

製薬業界は原価計算方式をめぐる課題認識について診療側の森委員に問われる形で、表明した。「我々が巨額を投じて研究開発し、投資に対する配慮がうまくなされないというのが最大の欠点」(日本製薬団体連合会(日薬連)・安川健司会長)、「医薬品を作るのにいくらかかっているかをベースに薬価を決める仕組みが原価計算方式。革新的な新薬の価値を測るイノベーションの適切な価値評価は含まれていない」(製薬協・宮柱会長)、「現状の原価計算方式では、価値が評価されていない医薬品のケースもたくさんある。それをどううまくマネージしていくかが課題」(欧州製薬団体連合会(EFPIA)岩屋孝彦会長)と説明した。

これに対し、森委員は、「今後原価計算方式で適切な評価をどうすれば良いのかについて議論していかなければいけないのではないか」との認識を示した。

◎類Ⅱの収載可否検討に日薬連・安川会長「許容しがたいリスク」

さらに、類似薬効比較方式Ⅱの評価についても、森委員は言及。「新規性の乏しいものや、他の薬剤で代替できるもの等については、評価の見直しのみならず、薬価収載自体の可否についても検討すべき」との見解を示し、業界としての認識を質した。

日薬連の安川会長は、研究開発に伴う数百億から数千億円にのぼる投資の裏付けとして、規制当局やPMDAに治験相談を行うと説明。「投資をした後に収載しないとなってしまうと、企業としては許容しがたいリスク。少なくとも、前々から企業と対話の場があって、企業が納得したリスクの上で、こういう措置に踏み切るかどうかという配慮は最低限必要であると考える」と述べた。

診療側の森委員は、「真に新規性の高い医薬品の評価を充実していくっていうことを基本として考えていくべきではないか」と応じた。

◎企業の開発動向の変化に関する追加調査 行動変容に結び付いていると報告

薬価制度改革の効果検証を迫られるなかで、2024年度薬価制度改革による企業の開発動向の変化について追加調査の結果も報告された。調査は、製薬協、PhRMA、EFPIAの合同調査で、加盟企業のうち35社(内資系10社、外資系25社)を対象に、今年6月に実施。治験内容等についてPMDAに相談を実施したのが27製品、治験に着手(治験完了後薬事申請)しているのが16製品など、具体的な行動変容に結び付いていることを報告した。

製薬協の宮柱会長は、「日本での開発申請時期の前倒し、小児適応の新規開発、あるいは新たな成分・適応症の開発など、制度改革が我が国におけるドラッグ・ラグ/ロスの解消につながる変化をもたらしていることが、今回明らかになった」と強調した。PhRMAやEF’PIAからも24年度薬価制度改革を前向きに受け止める声があがった。

一方で、米国研究製薬工業協会(PhRMA)在日執行委員会のシモーネ・トムセン委員長は「国内のPhRMA加盟企業の約半数において、グローバル本社が25年度中間年改定の実施を、24年度薬価制度改革の動きと逆行するものと受け止めている。日本市場への投資や、新薬開発の優先度の評価に、マイナスの影響が生じる可能性が出ているという回答があった。26年度の制度改革において再び前向きな方向で改革の議論を進めていただくことが、大変重要だ」と強調した。

◎長島委員 薬価に基づく対応と、産業政策に基づく対応はきちんと切り分けて示すべき

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「薬価の評価による効果との関係を明確にするとともに、公的医療保険制度の一部である薬価に基づく対応と、産業政策など薬価以外の方法に基づく対応はきちんと切り分けた上で教えていただきたい」と指摘する場面もあった。


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