【World Topics】子どものメンタルヘルス CDCがレポート
公開日時 2013/07/22 05:00
アメリカの3歳から17歳までの子どもの13~20%程度が毎年精神疾患を経験しており、その治療には少なくとも年間247ビリオンドル(約15兆円)が費やされている。しかも、罹患率は年々増加している。5月17日に米国CDCが発表した調査レポート(Mental Health Surveillance Among Children-United States, 2005-2911)が全米を驚かせた。
CDCが初めてまとめた子どものメンタルヘルスに関するレポートである。
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/su6202a1.htm?s_cid=su6202a1_w
レポートの一部を要約すると、メンタルヘルス上の問題を経験する子どもは年齢があがるにつれて増加する傾向にある。もっとも多い疾患はADHD(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder) で(推定6.8%)、女子よりも男子に多く、次いで行動異常(3.5%)、不安神経症(3%)、鬱病(2.1%)、自閉症(1.1%)であった。思春期の女子は男子よりも鬱やアルコール等の依存症にかかりやすく、一方、思春期の男子は女子よりも自殺率が高い。
CDCも明記しているが、本レポートは独自の包括的な調査に基づくものではなく、さまざまなリソースからデータを寄せ集めた解析に基づく推定の数字も含んでおり、解析の基本データには子ども自身の自己申告だけでなく、両親やその他の保護者による申告に基づく診断も含まれていたり、一方、抑うつ症などについては十分なデータが把握されていないなどの問題があり、その意味で限界がある。
たとえば6.8%というADHDの出現率は、たとえば健康聞き取り全国調査(National Health Interview Survey : CDCが毎年実施している電話調査)などのデータを元にした推定であるが、この調査では無作為抽出で調査対象に選定した子どもに「自閉症であるか」「ADHDがあるか」を問う質問を含んでいる。
CDCはホームページ上で、本調査報告を紹介し、メンタルヘルスが多くの子どもにとって他人事ではないことを指摘し、同時に、適切な治療を受ければ,大半は治癒することを強調し、専門家から一般までの啓発につとめている。
http://www.cdc.gov/Features/ChildrensMentalHealth/