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諮問会議 塩崎厚労相 GE数量シェア2020年度末までに80%以上へ 総合戦略今夏策定

公開日時 2015/05/27 03:52

厚生労働省の塩崎恭久大臣は5月26日、政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、2020年度末までに後発医薬品(GE)の数量シェア80%以上とする新目標を設定する方針を示した。現在のGE数量シェア60%以上の目標達成時期も1年前倒しし、2016年度末とする。一方で、医薬品産業が、政府の成長戦略のひとつの柱として位置づけられていることから、革新的新薬創出に向けた医薬品・医療機器・再生医療産業のイノベーションの推進やエッセンシャルドラッグの安定供給の推進、流通の振興なども含めた総合戦略を今夏にも策定する。流通改善も課題となるが、医療用医薬品の流通改善に関する懇談会で今夏にも提言をとりまとめ、総合戦略に反映する方針だ。


GEは今後数年間、ブロックバスターの特許切れなどで、市場の拡大が見込まれる。ジェネリックメーカーも生産体制強化や設備投資を急ぐが、早急な目標設定は欠品や医薬品の品質管理など安定供給を妨げる可能性もある。そのため、これらを勘案し、“ギリギリのタイミング”として2020年度末に設定した。5年計画である「後発医薬品のさらなる使用のためのロードマップ」の新たな策定も視野に入れる。


具体的なGE使用促進策として厚労省は、①保険収載価格の適正化など薬価・診療報酬制度、②品質確保対策とその周知、③後発医薬品産業の健全な発展、④保険者の評価指標にGE使用割合の導入などの普及促進策—の4本柱としてあげた。


一方で、イノベーションの推進策としては、臨床研究・治験の活性化や産官学の連携強化、国際展開・アウトバンド支援とならび、流通改善・安定供給の確保をあげた(図参照)。昨年から未妥結減算が導入され、妥結率が上昇した一方で、単品単価取引が増加していることも指摘されている。薬価制度が市場実勢価格を反映した制度であることから、「単品単価取引が推進されること」の重要性を強調し、流通適正化の重要性を盛り込んだ。


厚労省試算によると、GE目標値引き上げによる医療費削減効果は、仮に現在GEシェア80%とした場合は1.0兆円(足元値)、2020年時点では1.3兆円とした。

 

 

◎薬局再編 門前薬局から“かかりつけ薬局”へ

 

医薬分業をめぐっては、薬局のあり方を見直す。これまで、大病院の前にあったいわゆる門前薬局から、ひとりの患者が服薬する薬剤を一元管理する“かかりつけ薬局”へと再編をうながす。塩崎厚労相も諮問会議で、「全国5万7000の薬局、すべてを残すわけではない」と発言している。


複数の医療機関にかかっても、患者が自身で決めた“かかりつけ薬局”を訪れるメリットを感じてもらうことで、患者の行動変容をうながす。残薬による無駄な医療費は年間約500億とも試算されるが、医療費の適正化だけでなく、薬物療法の安全性・有効性向上も見込む。


調剤報酬上でも、これまでの処方箋枚数に応じた評価システムを見直し、①在宅での服薬管理・指導や24時間対応などチーム医療の実施、②かかりつけ医と連携した服薬管理、③処方薬の一元的・継続的管理、④薬剤師の専門性を生かしたGEの使用促進—を評価する方針だ。また、厚労省は年内には、”患者のための薬局ビジョン〜「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ〜”を策定し、薬剤師のあるべき姿を打ち出す考えだ。


そのほか、保険者機能を強化し、健康づくりを推進することも盛り込んだ。データ分析に基づいた糖尿病性腎症の重症化予防をすることで2000億円、C型肝炎に対する医療費助成を通じた重症化予防は1000億円の医療費削減効果を見込む。

この日の厚労省提案では、社会保障費全体の抑制額を明確にせず、医療の質向上を含めた社会保障の充実・強化に取り組む施策であることが強調された。これに対し、民間議員からはさらなる削減を求める声も出たとしており、今後省庁間での調整が行われるとみられる。

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