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ミクス・病院薬剤部調査 コロナ禍の情報提供「必要に応じ面談」6割、「MRと会う機会減らした」4割弱

公開日時 2021/12/15 04:52
ミクス編集部は、コロナ禍における製薬企業のMRによる情報提供について全国の病院薬剤部を対象に調査した。その結果、「必要に応じて面談で対応している」との回答が58.7%を占め、最多となった。次いで、「必要な場合は、メールや電話、FAXなどで対応している」が56.0%だった。一方で、「MRに会う機会を減らしている」は37.6%。「DM(ダイレクトメール)や一斉メールが送られてくる」は36.7%となり、ともに4割近くの医療機関が選択した。編集部に寄せられたコメントでは、「Webの上手な活用」や「Webとリアルのハイブリッド」を求める意見が見られた。

調査は、全国の病院薬剤部にインターネットおよび郵送で調査票を送付し、回答を求めたもの。調査期間は2021年9月15日~10月30日。有効回答は109施設。内訳は大学病院3施設、国立病院機構9施設、自治体立病院16施設、準公的病院14施設、民間病院67施設だった。医療機能別にみると、高度急性期5施設、急性期74施設、回復期リハ21施設、療養21施設、精神・がんなど専門病院10施設だった。

新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数は11月以降減少傾向を示しており、これまでMRの訪問自粛要請を行っていた病院の一部に解除の動きが見えている。ただ一方で、オミクロン株の動向や第6波の感染拡大に備える医療機関も多く、病院薬剤部に従事する薬剤師の多くが、コロナ以前のMR活動には戻らないとの認識を抱いている。ミクス編集部は、新型コロナの感染拡大の経験を踏まえたMR活動を検討する材料とするため、全国の病院薬剤部から製薬企業からの情報提供やMR活動についての意識や、具体的なコメントなどを求めた。

◎編集部に寄せたコメント 訪問減少は「非常に残念」 Web講演会の視聴会場設置を

調査を通じて編集部に寄せられたコメントを紹介したい。「私はMRさんからの情報提供はとてもありがたく思っていたので、(MRの訪問が減っていることは)非常に残念です。 Web講演会も家や職場ではなかなか視聴できない(環境的理由)ので、視聴会場を設けて頂ければありがたいです」というものや、「コロナの影響で訪問活動を制限しているため、受動的に得られる情報量が減った。ホームページやコールセンターではなくMRによる情報提供も重要なので、コロナが解消した後は、以前のような情報提供活動の再開を望んでいる」という意見に目を引いた。

◎「リモートと対面のハイブリッドが効率的」、「Webを上手く使用した情報提供を」


ただ、一方で、「リモートと対面のハイブリッドが効率的ではないか」や、「Webを上手く使用した情報提供をもっと利用してもらいたい」、「コロナ後も製品紹介はWebを活用してください」、「メールでのやりとりも併用するようになって、お互い時間のロスは減ったと思います」など、コロナ禍を経験したことによるMR活動への変化に期待する声が多いことは見逃せない。

すでに多くの製薬企業がリアルとリモートを組み合わせた「ハイブリッド型」の導入を進めている。これまで1年半のコロナ禍で経験した内容を、MR自身がさらに発展させるためのスキルの習得や、医師や薬剤師へのアクセス手段としてのデジタル活用に取り組む必要性が改めて認識できたといえる。

◎「必要性を感じない」というコメントに耳を傾けてみる

一方で懸念点も明らかになった。「MRからの情報提供についての必要性を感じていない」との回答は9.2%に上った。なぜMRからの情報提供に必要性を感じていないのか―。この選択肢を選んだ施設から編集部に寄せた意見を見てみると、「添付文書に書かれている事としか情報提供できないとの事なので、MRの必要性を感じない。そのような情報ならネットからで十分」、「営業活動的な宣伝は必要なく、使用者に必要な情報提供を行ってほしい」などのコメントが散見された。コロナ禍によって、「MR・企業の必要な情報提供の判断力の差が浮き彫りとなった」、「来なくなっても困らないと気づいた」と回答した施設もある。

◎積極的に情報提供するMRとそうでないMRに「2極化」も

なにより編集部が気になったのは、「積極的に(情報提供を)行っているMRとまったく行わないMRとが2極化しているように感じる。直接面談する必要性も減っており、よく会うMR以外は、オンラインの面談のみでもよいと考えている」とのコメントだ。端的にコロナ禍のMR活動を薬剤師の目線でズバリ言い当てているように感じた。製薬企業の名前や製品のブランドが記されたDMやメールは頻繁に届くが、肝心のMRの姿を見ることはなくなった。これにより薬剤師が想起できるMRの数もコロナ以前に比べて極端に減っているように思う。よって、「MRも2極化」してくるという訳だ。

すなわちMRも峻別される時代を迎える。シビアな言い方になるが、MRにとっては死活問題になりかねない。コロナ禍で薬剤師も医師もMRとリモートでコンタクトすることに抵抗感が無くなりつつある。その分、MRも自身の価値を医療者に訴求できないと、自らが退場を命ぜられることにもなりかねない。アフターコロナは「医療者から選ばれるMR」になるための極めて厳しい戦いの場になることは言うまでもない。
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