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武田薬品 組換えタンパクワクチン「汎用性ある」 プラットフォーム確立でパンデミック発生時に意義

公開日時 2024/09/20 04:51
武田薬品パンデミックグローバルプログラムチームヘッドの大久保吉男氏は9月18日、新型コロナウイルスワクチンに関する講演で、組換えタンパクワクチンの特徴について「既存ワクチンの技術が用いられており、汎用性がある」と述べた。その上で、新たなパンデミックが発生した場合も「プラットフォームが確立していることで、標的抗原の遺伝子配列さえわかれば、同じような製造方法を組み合わせることができる」と意義を強調した。

武田薬品では、2009年の新型インフルエンザ流行を教訓にした政府の財政支援事業により、10年度以降計約335億円の助成金を受けて生産設備を整備。ワクチンを主要製造品の一つとする光工場(山口県光市)ではワクチン製造エリアの拡張を18年に完了させていた。こうした設備を活用することで、今回は20年6月のプロジェクト立ち上げから21年12月には商用生産開始までこぎつけた。大久保氏は、ノババックス社からの技術移管や日本での開発、薬事承認まで「通常4年以上かかるところを1年余りの短期間で成し遂げた」とスピード感を語った。

◎新型コロナワクチン・ヌバキソビッド 国内追加接種検証試験結果も紹介

武田薬品の新型コロナウイルスワクチン「ヌバキソビッド筋注1mL」は、オミクロン株JN.1系統に対応した1価ワクチンで、1回0.5mL接種2階分のバイアル製剤。抗原であるSARS-CoV-2の組換えスパイク蛋白質(rS)と、免疫の活性化を促進するMatrix-Mアジュバント(Matrix-AおよびMatrix-Cの混合物)から構成される。

メディアラウンドテーブルでは、国内の追加接種者を対象とした検証試験(TAK-019-3001試験)の結果も紹介。追加免疫接種後7日以内に発現した局所性特定副反応が74.0%(111/150例)で報告され、このうち圧痛は68.0%(102/150例)、疼痛は53.3%(80/150例)などだった。全身性特定副反応は48.0%(72/150例)で、このうち倦怠感が26.0%(39/150例)、筋肉痛が19.3%(29/150例)などだった。いずれも重症度はGrade2(中等度)以下だった。また、追加免疫接種後7日間以内に発現した副反応で日常生活に何らかの支障があったとの報告は4.7%(7/149例)だった。

なお、国内追加接種検証試験は日本においてmRNAワクチンでの初回免疫接種から6~12か月間が経過した健康成人男女150例が対象。免疫原性と安全性を主要評価項目として実施。探索的評価項目として、追加接種後7日以内に発現した有害事象による労働損失日も調べた。

◎東京大医科学研究所付属病院・四柳教授 新型コロナワクチン「特徴を踏まえ選択する時代」

この日は東京大学医科学研究所付属病院感染免疫内科の四柳宏教授も登壇し、新型コロナ感染症の現況や10月から始まる定期接種について解説。65歳以上および60~64歳で重症化リスクの高い人を対象とした定期接種では「いくつかのワクチンが出ており、それぞれの特徴を踏まえてどのワクチンを打つかを選択する時代にきた」と述べた。

また、ワクチンの有効性に触れ、23/24年シーズンに用いられたオミクロン株対応ワクチン(XBB.1系統)では国内で60歳以上の入院予防効果が44.7%に上ったとの報告を示し、「(今シーズンの流行株である)JN.1系統のデータはまだないが、推定として疾病負荷が半分くらいには落とせるのではないか」との見解を示した。ワクチンごとの違いでは「医学的な有効性に関して言えば、全てJN.1系統に対応し、中和抗体の誘導があるのはわかっている。ワクチンごとに短期で言えば副反応、長期で言えば免疫の持続性などに特徴はあるが、判断はあくまでケースバイケースになる」と述べた。
 
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