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製薬4社協働「Healthcare Café」 がん経験者が発する言葉から製薬企業にできることを考える

公開日時 2022/12/12 04:47
協和キリン、参天製薬、武田薬品、第一三共の製薬4社が協力して患者との対話の機会を設ける「Healthcare Café」が12月6日に開催された。第一三共主催で行われた今回のテーマはがん。参加した社員は、2人のがん経験者が赤裸々に話した実体験を聞き、がんになっても自分らしく生きる世界の実現に向けてできることについて考えた。一連の取り組みは、患者の視点やニーズをより深く理解することで、患者のニーズに即した革新的な医薬品創出の実現につなげることが狙い。(写真提供:第一三共)

会場では、NPO法人がんノートの代表理事で、自身もがんの闘病経験がある岸田徹さんを相手に、2人のがん経験者が実体験を語った。6年前に小腸がんと診断された坂井広志さん(52)は、診断された当時を「腰が砕け散るような思いだった」と振り返る。診断されたのが12月だったことから、今でも同じ月がやってくると、当時のことがフラッシュバックするといい、涙を流した。特に当時1歳だった一人娘については、「娘が父の記憶がないままに死んでしまうことが耐えられないと感じた」と話し、成長を見守りたいという気持ちで毎日を過ごしてきたという。現在は、抗がん剤の副作用である足のしびれが辛くなったため、治療を中断して経過観察が続いている。岸田代表理事から、「治療の中断に不安はなかったか?」と尋ねられると、「不安は不安だが、他の疾患の薬も合わせると、朝夕10錠ぐらい飲むことになり、気がめいってしまっていた。副作用云々っていう前に、10錠の薬を飲むことから解放される喜びが大きかった。抗がん剤は耐えられないものだ」と打ち明けた。

2人の体験談は、発言や感情などを文字やイラスト、図解などで対話を見える化する「グラフィック・ファシリテーション」という手法を用いて、参加者に提示された。参加した製薬企業の社員は、3人1組になって、印象深く感じたところや心に残った言葉に対して、線を引いたり、コメントを書き込んだりして、理解を深めた。

◎経験談で新たな気づき

社員からは、「薬を毎日飲むことの精神的な辛さが副作用と同じぐらい辛いとは知らなかった」、「副作用に対する考え方が変わった」、「残された家族が心配だという話に共感した」などのコメントが寄せられた。

会の冒頭、主催者が参加者に対し、「病気を持っている人達がより自分らしく生きられる世界の実現のイメージ」について尋ねたところ、「考えたことはあるがイメージできていない」と答えた人が約8割に上っていたが、2人の体験談を聞いた後は半減し、「イメージできている」と回答した人が約6割で、最多となった。

◎第一三共・眞鍋社長「病気でも豊かな生活を送るために何ができるのか

「Healthcare Café」の冒頭、第一三共の眞鍋淳代表取締役社長兼CEOがあいさつし、入社3年目に病理学を学んだ自身の経験を振り返り、「薬を作ること自体が目的でなく、薬を通じて患者に貢献することが目的と考えるようになった」と強調した。そのうえで「自分たちが生み出そうとしている薬が、患者にどのように貢献できるのか、 今一度、医療現場や患者の視点に立って考えてみる必要がある。また病気に罹患中であっても、豊かな生活を送るために製薬会社は何ができるのか、どのように貢献できるのか、改めて考える時代になってきた」と指摘し、同取り組みへの期待感を示した。次回は参天製薬が主催し、視覚障害がある同社社員との対話を通じ、インクルーシブな社会や企業活動について考える場にしたいとしている。

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