【有識者検討会 1月13日 議論その2 ベンチャー支援等に関するヒアリング後のディスカッション】
公開日時 2023/01/16 06:23
厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の7回目の会合が1月13日に開催された。この日は、ベンチャー支援等に関する有識者、関係企業等からのヒアリングを行った後にディスカッションを行った。本誌は「議論その2」では、ヒアリング後のディスカッションの内容について発言要旨を公開する。
遠藤座長:芦田構成員からは非常に素晴らしいご報告をいただいておりますので、もしご質問等があれば、後ほどお答えいただければと思いますと同時に、この分野に大変詳しい構成員の1人として他の発表者に対してご質問ご意見等おっしゃることも自由でございますので、そのようなお立場でよろしくお願いいたします。
はい。それではいかがでございましょうか。それでは、芦田構成員お願いいたします。
芦田構成員:はい、ありがとうございます。事務局が示されている論点とは違うが、先ほど、アミカス・セラピューティクスの海老原さまのご発表の最後にあった部分について少しコメントさせていただきたいと思う。
最後に、アメリカと日本でバイオベンチャー、バイオスタートアップが上場するステージが違うというお話があった。アメリカは、パイプラインの開発段階にかかわらず上場している、日本はパイプラインが整って他の会社との提携が進んだ後に行われるという話だった。これデータでも示されているように事実だと思う。
これは、どうして起こるかということについてコメントだけさせていただきたい。これは、アメリカと日本の証券市場の仕組みの違いに起因すると考えている。アメリカはでは基本的にはいわゆる投資銀行、アンダーライターと言うが、彼らが、このスタートアップを、上場させようと考え、投資家がつくと考えれば上場させるということになる。すなわち上場するかしないかについて、市場が何か判定するわけではないということになる。
一方、日本は基本的に東京証券取引所が審査をして上場するかしないかを決める。日本でバイオベンチャーの上場がこのような形になっているのは、東京証券取引所が創薬系バイオベンチャーの上場にかかわる要件のガイドラインというものを出されている。これは数年前に1回、改定されているが、基本的にはまず、複数のパイプラインがあること。最も進んでいるパイプラインが臨床POCを取得している。有効性が示唆されるデータでもいいが、そういう段階でかつ、製薬企業との提携ができていること、というようなガイドラインを示している。
どうしても先ほどアミカスの資料にあったような形にならないと上場できないということになっている。ここからは私見だが、やはり日本の東京証券取引所はグロース市場も含め、基本的に上場している会社は、黒字のスタートアップか、もしくは黒字が見込めるスタートアップとなっている。もちろんバイオスタートアップの場合はなかなか黒字ということではないが、かなり保守的な状況のガイドラインを設けていることもあり、そこに至らないと上場できてないというのが日本の現状で、アメリカとの大きな違いになっているということかと思う。補足コメントさせていただいた。
遠藤座長:どうもありがとうございました。それではオンラインで井上構成員が手をあげられておられますので、よろしくお願いいたします。
井上構成員:はい、井上でございます。ご発言の機会をいただきましてありがとうございます。芦田構成員に質問が一つあるのと、私も東工大で東京医科歯科大学との統合を最近発表し、いま学部長として、急遽、生命を含めての医工連携を強力に推進しているとこで、いくつかの課題意識を持っており、そこからも発言させいただく。
最初に芦田構成員への質問だが、資料6ページ、またご発言の中でもあったが、日本の創薬スタートアップのアライアンス契約のうち、大型契約は主に外資系に集中しているというようなご指摘があった。この辺の理由がどういうところにあるのかということについてうかがいたい。日本の製薬メーカーが資金に制約があって契約はできない、ということではないのではないか。むしろ高評価であるとかそうしたところに依存しているのではないかと思うが、大型契約が割と外資に集中しているということの理由について、もしその要因についてご見解があればうかがいたいというのが最初の質問だ。
遠藤座長:芦田構成員、コメントをお願いします。
芦田構成員:はい、ありがとうございます。理由はなかなか一つということではないとは思う。強いて言うのであれば、一つにやはりアメリカ、海外メガファーマと日本の製薬企業での一つの違いはやはり企業規模だと思う。やはり技術を導入する、それからスタートアップに対して大きな契約を結ぶということは、ある意味リスクを負っているわけだ。そうすると、技術ライセンス契約に対してもアセットに対しても、早い段階であれば必ず新薬が承認される、上市できるというわけではないので、開発のリスクを負っているわけだ。そうすると資金制約というより、売上高や収益の規模でどれだけのリスクを負えるかということに違いが出てくるだろうと思う。一つの見方としてはそこにあるのかなというふうには考えている。お答えになったでしょうか。
井上構成員:はい、わかりました。最近の企業側のリスクテイクの問題があるが、そもそも規模の問題でリスクテイクの量が制約されていて、なかなか逆に成功例ではなかなか日系企業とベンチャーの間のシーズの受け渡しが難しくなっているということですね。はい、わかりました。
芦田先生の資料も大変参考になり、そのなかで、どれが原因でどれが結果かというと全部が同時に負のスパイラルになっていて、我々の業界で同時決定というか、何が原因かということがなかなか特定できないというようなご指摘があったかと思う。私自身もそこの部分が非常に問題だと思っている。そうした問題について一つひとつ解きほぐしていく必要があると思っているが、きょうの論点のなかで、いわゆるアカデミアとの連携というところについて、一応工学系大学、理工系大学のものとして一言を述べさせていただく。現状、非常に産学連携というものを大学も国立大学法人も非常に積極的に進めている。特に我々もメディカルエンジニアリング、それからバイオと医工連携ということをいま行っている。どうしても大学の場合は、伝統的に研究した範囲での研究が多い。そうすると、大型化がしづらい、なかなかできなかったことと、研究室が個別のものが多かったということ、大学というのはサイクルがあって一つは博士の学生たち、それからポスドクの学生という、いわば2年、3年という学生のサイクルの中で研究をやっていく部分と、研究資金もやはり3年から5年というものの中でもしている部分が多かったという部分がある。
これが徐々に大型化してくるというところで、一方で企業側の産学連携といったときに企業側の期待感、これは大学側のこれまでの責任もあったと思うが、なかなか企業側の期待感が上がってこない。長期の産学連携というものがなかなかやりにくいと、企業側の方でもなかなか認めてもらえない。したがって、大学における最も重要な研究開発の担い手である博士人材やポスドクの安定雇用ができないということが一つの問題としてあったと思う。これを解決していくうえで企業、それから大学の間のマッチングというのがやはり非常にまだまだうまくいってないのかなという感じがしている。ぜひ公的なところで、特に厚労省等には、大学と企業、またバイオベンチャーまたはその日本の製薬企業、外資も含めてもう少しマッチングがうまく機能するような仕組みというものをもう少し工夫していただけるといいかなと考えた。それは、企業と大学の間で非常に情報の非対称性みたいなものがあり、名のある研究者には企業側から集中的に来るけれども、なかなか若手のところまで行きにくいという問題もある。その辺のシーズの前段階になるかもしれないが、研究者と企業とのマッチングをより進めていく必要があると思った。
もう一点は、そうしたなかで、厚労省の事務局のご説明、または三菱総研からのご説明にもあったような様々な公的サービスというものが提供されているが、実際に大学等で研究を進めている側からすると、そうした公的サービスの全体像がなかなか情報として効率的には取得できてないという問題がある。
厚労省等の様々な検討会等に参加していれば情報をよく取得してくる先生がいらっしゃるわけだが、なかなか個別の研究者にまで行き渡っていないという部分がある。厚労省、またはそれを仲介する三菱総研からこのあたりの情報提供をもう少し大学にしていただけるともう少し大規模にできるのではないか。大学としては、いまより共同研究というものを大学組織としての大型化を図って、それに従ってこういう研究支援人材というのを充実しているところだ。この辺につきましては、芦田構成員からもあった人材交流というのは非常に重要で、官にいらっしゃる方々、それから企業、製薬企業等にいらっしゃる方々と大学の間の人材交流そうした人材活用というものをより進めていく。そうしたものが大学、公的機関、そして企業という間の情報の非対称性を解消し、より連携しやすくなるのではないかと考えている。おそらくその後に、ベンチャーキャピタル等の開発資金が来ると思うので、まずはその入口のところでの双方の間での情報の非対称性をできるだけ低めてマッチングをより機能的にできるような体制を作って整えていくということ、そして人材の流動化を図っていくことが非常に重要だと思った。以上です。
遠藤座長:ありがとうございます。ご発言であって質問ではありませんが、事務局あるいは三菱総研さん、マッチング、あるいは公的な支援サービスの情報の共有をできるだけさせるというその辺の問題意識について何かコメントございますか。それでは、川上参考人お願いします。
川上参考人(MEDISO):はい。コメントありがとうございます。いまご指摘いただいた公的サービスの全体像が効率的にわからないといったところ、非常に我々も問題意識を持っている。いままでベンチャー企業を中心に、臨床研究中核病院を持っている大学との連携もしてきたが、今後はやはりそれ以外のところ、工学系や薬学系の大学に我々、MEDISO事務局が訪れて情報提供をすることは、非常に重要だと考えている。実際に、ちょうどこの半年ぐらい、実際に医療系ではない大学からお声がけをいただき、いくつかご紹介をさせていただいているところだ。今後、そういったところもしっかりと実施していきたいと考えている。重要なご指摘、ありがとうございます。
井上構成員:お願いいたします、ありがとうございます。
遠藤座長:事務局、何かありますか。
事務局:はい、ありがとうございます。先ほどの三菱総研からのお話と重複するが、公的サービス、行政からの支援政策等の全体像がわかりにくいというお話ご指摘は以前からやはり様々なところでいただいているところでございますので、私共の方ではMEDISOを通じた情報提供支援等を行っておりますが、それも含めてできるだけわかりやすい情報提供や支援を図っていくように進めていきたいと思う。
井上構成員:ありがとうございます。ぜひ我々もちょっと意外感があったが、今回大学統合もあってかなりそのバイオテクであるとか医療メディカルエンジニアリングというところに関して我々も教員と調査を進めたところ、我々認識している以上に医療系とは連携していなかったというような研究はかなりある。
そういう意味では少し、全日本的にそうしたものに対する個々の研究者の問題意識が非常に高まっている一方で、おそらく中核病院、そして診療機関等に情報が集中しているところがあると思うので、ぜひそうしたものを少し広めていただくことも必要なのではないかなと感じている。よろしくお願いいたします。
遠藤座長:はい、ありがとうございました。それでは小黒構成員、お願いいたします。
小黒構成員:多岐にわたる、非常にたくさんの情報ありがとうございます。先ほど芦田先生がおっしゃられたように、証券市場の問題は私もあると思いますけれども。情報、専門人材、制度の3つにわけて質問させていただく。
一つは、いまの話とも関係するが、国内の色々な理工系の先生方、今回のバイオ関係の創薬も含めて研究されている先生がたくさんいらっしゃると思う。例えば国内のベンチャーファンドみたいな創薬のですね、何かやりたいと思ったときに、海外に似たような研究している先生方がどういう方がいるのか、わかるようなリストが開示されていると、組み合わせがまた変わってくると思う。逆に、海外の創薬のベンチャーファンドから見たときに、実はアメリカではこういうことをやっている人はいなかったけども、日本ではこんなことをやっている先生がいる、実はこれは使えそうだというような話もあると思う。そういう基本的な情報の共有をもう少しやることで、少し環境を変えられるのではないかと、先ほどうかがっていて思った。
芦田先生の資料ですごく衝撃的だったのは、創薬ベンチャーの供給元の人材だ。圧倒的に製薬メーカーだという話があったので、これは内部で最先端の情報に触れて研究している人たちが外にスペックすることでそういう環境が起こっているのだろうと想像する。そうだとすると、日本の創薬ベンチャーがジョイントするときに、人材を外から引っ張ってきてやってもいいと思う。そういうような足掛かりみたいなところをどう作っていくのかというのも結構重要ではないかと思う。
いま言った話のもう少し延長線上としては、日本から見た場合、アメリカや欧州だけでなく、例えば東アジアに人材がいるかもしれない。そういう意味では、東アジアとの連携みたいなものを考えていくということも重要なのではないか。アミカス・セラピューティクスからもお話があったが、こういう場を設けることは非常に賛成だ。患者数の公表とかをやっていくというところも重要だと思う。同じアジア人で見たときに、例えば日本と少し遺伝子が違うという話もあるかもしれないが、ベトナムとかは近いのではないかと思う。希少疾患薬の治験をしようとした場合、東アジアの国々と連携することも当然あると思うので、共通のプラットフォームを作りながら支援していくという方法もあるのかなと思った。
最後に制度の話だが、薬価制度の話は少し置くとしても、最後上市するときに、日本の薬価制度の問題は不透明だという話で、有識者検討会の検討する重要なテーマだと思う。当然コストをかけて開発しているので、先が見通せなければそのキャッシュフローが最終的にどうなるかわからない。ただ、それはそうだが、上市するときも国内だけではなく、海外もあり得ると思う。
そのときに欧米それから東アジアといった国々との関係で、先に遡上していたりして、資金調達する方法もあると思う。そういうことも国内で何か少し支援するというやり方もあるのかなとちょっと思った。すでに何かそういうことも議論されているのであれば、別に私が申し上げる話もないが。実際何かその辺、どういうふうに見てらっしゃるのかどうか、何か少しコメントいただければと思う。
遠藤座長:どなたに対してですか。
小黒構成員:実際にプレーヤーとしてやってらっしゃる方々と、最初の制度のような全体の情報のプラットフォームについては、厚生労働省が一番かと思う。芦田先生からもぜひ一言いただけれと。
遠藤座長:はい、それではどなたでも結構ですので、ただいまのこの構成員の発言についてお願いします。
富士参考人(リボルナ):製薬企業からの人材というところで、少しコメントさせていただければと思う。国内海外のベンチャー、製薬企業の立場からすると、国内の製薬企業の人材流動性というのは、まだまだ海外に比べて低いものと思っている。海外の製薬企業は1年単位で場所を変えたり、研究を求めていたり、それが研究であったり、ベンチャーの経営だったり、とかなり多くの転職機会を得ているというふうに感じている。
一方で、まだまだ日本の製薬企業は特に研究、企業の研究所出身の研究者は、まだまだ製薬企業のなかにまだまだ数多く存在するのかなと思っている。このあたりがいま、いま非常に転職機会というのも日本国内でも充実している環境にはあると思うので、こういったところが製薬企業の研究者というところまで波及していければ今後のそういった機会がどんどん増えていくのかなと感じた。
小黒構成員:私は、元々京都大学理学部で生物系とかバイオ系をやっていた。友人を見ても、製薬メーカーに入り、辞めた後に外資系に行ったが、どこで研究しているかと言えばアメリカだ、やっぱり。やはりグローバルに見た場合にアメリカが全てだと思わないが、そこがやっぱりホットな研究拠点になっているのかなと思う。そういう意味では、鶏卵だが、最初に芦田先生がおっしゃったように回転させていくときのトリガーは、やはり人材なのではないかと思う。そういう意味では、そこをどう日本に呼び込んできてジョイントしていくのかというところを真剣に考えるということも、重要な国内の優秀な研究者、当然iPS細胞を発見した先生もいらっしゃるので当然いるんだと思いますけども、まずそういうことを考える必要があるのではないか。
遠藤座長:では、事務局から何かありますか。
事務局:はい、ありがとうございます。厚生労働省の研究開発政策課治験推進室の室長補佐でございます。先ほど、アジアとの連携について、お言葉をいただきましたので、現在行っている体制整備についてご案内させていただきたい。
現在、医薬品の研究開発の環境整備としまして、日本を基盤とした国際共同治験が行われるような枠組みの構築を目指している。そのうえで、アジア地域の臨床試験の環境整備を行っている。実際にはタイ、フィリピン、インドネシア等のアジア地域において、現地の人材育成であるようなソフト面、現地の拠点構築などのハード面の2点から整備を行っている。そのような整備は非常に重要と考えておりますので引き続き行って参りたい。
遠藤座長:小黒構成員、よろしいですか。はい、ありがとうございます。重要なご指摘をいただいたと思う。失礼いたしました、芦田構成員をお願いいたします。
芦田構成員:人材についてはもう私も説明したように、非常に重要な要素だと思う。私の発表の中にもあったが、ご指摘のように海外、特にアメリカの人材を活用していくことも必要ではないかと思う。
その方法としては、アメリカの方に“日本に来てくれ”というのは非常にハードルが高いので、一つはアメリカに現地法人を作る。そこで人材を獲得し、できれば資金を獲得していくということで、ある意味アメリカのエコシステムのなかに入り込んでいくということが一つ必要ではないかと思う。
日本の創薬スタートアップのエコシステムを見てみると全てではないが、多くの場合、シーズが日本発だ。日本の方が日本の資金を使って、日本で開発する場合もあるが、やはり日本が中心で最終的には日本の証券市場で上場しようとしているという風に、どれも日本、日本、日本だ。
先ほども申し上げましたが、創薬、医薬品というものについては基本的には製品がグローバルなもので、プレーヤーも顧客も、それから競合もグローバルな企業やグローバルな方々なので、やはりグローバルなエコシステムのなかにどう位置づけていくかという視点が必要だと思う。そういう意味では、日本のなかの閉じたエコシステムではなくて、いかに海外のエコシステムのなかに入り込んでいくか、もしくはリソースを取ってくるかといった視点が必要ではないかと考えている。
遠藤座長:はい、ありがとうございます。ただいまの議論の延長でも結構ですし、あるいは個別のご意見、ご質問でも結構です。では、三村構成員、お願いいたします。
三村構成員:少し論点が変わるかもしれないが、今回非常に丁寧なご説明いただき、大変ありがとうございました。芦田先生のご説明も非常によくわかりました。大変論点が多いということと、それからミッシングリンク、非常に色々なところに負けているものがあり、どのように繋いでいくかということがこれから大変重要であるということを非常によく理解した。ただ、そのためにまず何ができるかということが必要であるということだ。芦田先生が13ページに、何よりも成功事例を中心に作っていくと。それから私も賛成だが、海外開発や海外リソース、運用支援ということで、特に政府機関における治験の援助や国際機関ということをいま、構成する厚労省からご説明をいただいた。それにも少し関係するが、先ほど、アミカス・セラピューティクスから非常に色々な形で具体的なご説明があった。
何をまず強くするのかということもあるが、また私の興味関心といたしまして、やはり患者のデータ、患者会とか、患者の場合への積極的支援として強くしていく必要があるということで、6ページ目にもそういったようなご説明とご提案ございました。PMDAがやっているような患者会や患者支援の仕組み、いまは薬の安全使用というところに基本的には重点があるが、難病の新しい薬の開発につなげていくために、もっと有効活用できないかというご提案だと思う。私もこういうことは大変良いことなのではないかと思う。それともう一つ、リボルナバイオサイエンスからのご提案ということで、私も色々なミッシングリンクの中でやはり第2相から第3相に行くというところが一番大きなネックであり、そして患者のリクルーティングとか専門的な機関の確保と治験体制が別、これが非常に大変であるという話もうかがっている。それに対して、まず何をやっていったらいいのか。PMDAも実は最近いろんな形で事業展開されていて非常によくやっていらっしゃるが、いまのような国際治験を整理していく、やはり人材活用していく組織体制を強化するという形の中で色々ご苦労されているというお話をうかがっている。そういうところをしっかり作っていく必要があると思うが、そういうところについては芦田先生、どのようなご意見をお持ちなのか。あるいは先ほど、アミカス・セラピューティクスやリボルナバイオサイエンスから何か具体的にまずはこれを行っていただきたい、みたいなご提案があるかどうかということについて一つご質問させていただく。
遠藤座長:ありがとうございます。いかがでしょうか。例えば芦田構成員、何かコメントございますか。
芦田構成員:AMEDにしてもPMDAにしても、人的にも予算的にもやはり強化が望ましいと思っている。例えば、だいぶ前にドラッグ・ラグが課題になったときに、ドラッグ・ラグの中身でも審査ラグみたいなものが議論になった。その後、PMDAの体制も強化され、かなりその部分は改善されたという認識でいる。そういったことも含め、体制の強化ということができれば、割と効果は出るのだろうと思っている。
同じように、AMEDに関しても、AMEDができたのは10年近く前だと思うが、それ以前と比べれば非常に政府の助成、補償というものがわかりやすくなってきたということはあると思う。AMEDの色々な事業についても、先ほどMEDISOや事務局の資料にあったように、近年はベンチャーを直接対象とするような事業が増えてきているということで、AMEDの考え方も良い方に変化してきているのかなと思っている。それで十分かというと、先ほど申し上げましたが、おそらく十分ではなく、より拡充していく必要があると思っている。
遠藤座長:はい、よろしいですか。それから患者会の話に言及をされておりますので、どうでしょうか。アミカスさん、何かコメントございますか。
海老原参考人(アミカス):はい、ありがとうございます。私も製薬会社で長い期間働いているが、患者さんとの関係は、例えばインフォームド・コンセントの文章を見ていただくとか治験の結果を治験に入っていただいた方々にはご説明をする機会があるといった形で近づいてきている。そういった機会は増えていると思うので、各社が色々取り組んでおられると思うが、各社の努力というよりはもう少し治験とはどういうものなのか、などの目線合わせといった場があるといいのではないかと思うことがとても多い。これは、カルチャーの違いもあると思うが、あるファンドから研究資金みたいなものをもらって製薬メーカーで世界各国の患者会の聞き取りをさせていただいたことがあるが、欧米の患者会のアドボカシーでは治験に入るということは自分のためというよりは、自分の子供孫のために自分が治験に入ることでより良い薬を早く出せるということをおっしゃる患者さんもとても多いように感じる。日本の患者さんでそういう人が少ないとは言わないが、その部分での治験というものに対する考え方とか、そういったことをもっといまのような形で考えていただけるような場があればすごく良いのではないかなと感じる。先ほどの資料でも申し上げたように、産官学連携というところでお互いの不安や疑問を適切に議論し合うといったなかで高め合うとか、制度に生かしていくといったような機会もあると日本においての治験がさらに推進することにつながるのではないかと思う次第だ。
遠藤座長:よろしいですか。はい。特定の疾患に関しては患者さん大変強いところもあってがっちりその製薬メーカーというか、特定の医学者との関係が非常に強固なところも多々あるということなので、そのバランスが非常に大きいということですよね。他にございますか。それでは三浦構成員、お願いいたします。
三浦構成員:三浦でございます。詳細なご説明ご提案いただきまして、皆様どうもありがとうございました。芦田先生に、少しご質問させていただきたいが、参考資料のところ少し読ませていただと、創薬スタートアップというだけではなく、日本はベンチャーが弱い、スタートアップ弱いという話がある。先生が書いたように人材、資金、事業という話で事業というところはその政府の政策などがすごくかかわっている感じがある。
少し話がそれて恐縮だが、EVは日本ではもう周回遅れという話がある。その一方でEUでは燃費の規制があり、EVを多く作ると税金が安くなるとか、罰金が減るみたいなことがある。EVを多く作らせるような政府の政策がある。中国もほとんど同じような制度があると聞いている。そういった意味で、中国ではどんどん増える。そう考えると、スタートアップはどんどん増やしていくためには、政策的に何かたくさん新薬を出したらそれだけ税金が減るとか利益が増えるとか、何かそういったシステムみたいなものができてくると、実際人もなかなか集まりにくいとか資金が集まりにくいって言うが、何かそういったシステムみたいなものが政策であると、人が入り込んできやすくなって活性化するかなという感じがした。EVの話からちで少し恐縮だったが、少し思ったもので、そういった何か画期的な割合で税金をどうするか、みたいなことかもしれないが。何かそんな政策が考えられるかどうかということをご意見としていただきたい。
あともう1点だが、イノベーションというとやっぱり産業クラスター、産業集積がすごくあり、やはりシリコンバレーがものすごく入った後ですけれども、世界各国がみんな産業集積地を作るという話になり、もう10年、20年前に北京の中間層とか北京大学、精華大学があるとこで中間層限らず作りまして、本当にもう政界の人材が入ってくるわけですし、もう日米欧の企業が来るとか関連企業がそこに入ってくるみたいな話があった。そういう意味では何かすごく成功するとか、あとバイオバレーっていうのがヨーロッパにあるという話で、ドイツやフランスとかイタリアとかスイスとかですか。やっぱりミュンヘン大学とかありましたし、あとBASFとか製薬企業がたくさんあるので。そう考えると、創薬クラスターみたいななんか日本版バイオバレーみたいなのがあるかどうかみたいなことをちょっと考えまして、MEDISOさんがおっしゃったようにやっぱり情報一元化するのは、なんかみんな色々なことを考えられるという話もある。アミカスさんがおっしゃった患者登録にしても皆使えるとか、リボルナバイオサイエンスさんが言われた、企業との連携がすごい簡単にしやすい、みたいな。なかなか簡単にはいかないかもしれないが、そういった何か、日本版かもしれないが、創薬クラスターみたいなものを簡単にはもちろんいかないかとも思うが、そういった可能性があるかどうかみたいなところをちょっとご意見をいただければと思う。よろしくお願いいたします。
遠藤座長:では芦田先生、何度も申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
芦田構成員:一点目の政策というか規制面だと思うが、確かに自動車産業において排ガス規制みたいなものを使って産業振興するというのは、ヨーロッパではかなり以前からうまく行っているのだろうと思う。医薬品に関してそれをどう考えるかとしたときに、基本的には薬事は三極でハーモナイゼーションをされており、しかもそれぞれのところで情報が活用できるようにしようということなので、そういう面での何か差をつけるということはちょっとないので、(いまの議論からは)むしろ逆行しているかなと思う。一方で先ほども出てきたが、例えばオーファンの指定方法など、そういったところは実は国、地域によって異なっている。先ほどのお話はむしろ日本が劣後しているというお話だったのでそういうところは、改善の余地があるのかな、と聞いていた。
2点目のクラスターについてだが、これはいま、政府それから自治体、民間の色々な業界団体で関東圏(Greater Tokyo Biocommunity)と関西圏(バイオコミュニティ関西(BiocK))でグローバルバイオコミュニティとしてクラスター(として内閣府が認定し)、育成されている。これは創薬に限ったことではなく、それ以外のバイオケミカルなども含め、コミュニティで交流や情報発信をしていこうという試みがすでに始まっている。
三浦構成員:Greater Tokyoとかに、創薬クラスターみたいなところが入り込んでいける感じになっているのか。
芦田構成員:創薬のメディカルもその一部になっている。
三浦構成員:わかりました。ありがとうございます。
遠藤座長:ありがとうございます。よろしいですか、三浦構成員。はい。他にいかがでございましょう。それでは坂巻構成員お願いいたします。
坂巻構成員:坂巻でございます。本日、芦田先生、それから参考人の方から大変勉強になる話をうかがえて、ありがとうございました。今日お話をうかがって少し自分の頭の中を整理してみたが、今日タイトルはベンチャー支援ということになっているが、少し分けて考えると、ベンチャー支援といっても最初のシーズについては、アカデミア、特にアカデミー発のシーズをいかにその後の開発パイプラインに載せていくのかという最初のステージと、それから芦田先生の言葉で言うとアセットであるとか、あるいはその特定のモダリティに、例えばペプチド薬があったらその点はちょっと医薬という、その戻りの基盤技術をいかにその事業化するか。いずれにしても、その事業化のプロセスをいかに強化していくかというところと、それから3番目はあまり議論にならないと思うが、ベンチャー企業をいかに育てていくのか。例えば、色々な参考人さんからのお話は、事前に組んで何か1回成功企業とやってくるのか。おそらくその3点に整理できるだろうと思う。
そのうえで、事実認識として、芦田構成員にうかがいたいのだが、まずそのアカデミア発のシーズは基本おそらく少ないだろうと思うが、これは現実として少ないのかどうか。あるいは、その少ない理由として何が原因なのか。実際に、そのアイデアとしていっぱいあるが、開発プロセスまで持っていくところの、いわゆる“死の谷”というところに何か問題があって小さく見えるのかどうか。このところは実際どうなっているのかというところをまずお聞きしたいと思う。
2つ目がそもそも事業化する力についてはどうなのか。これもなんとなく弱いんだろうなっていうのはおうかがいしていて感じていて、それに対するご提案も色々とうかがうことができたと思う。例えばちょっとパーソナルコミュニケーションだが、あるグローバル企業の方が海外のバイオベンチャーと話して、実はもうこれ日本の会社にそのライセンスを渡しているが、いつまでたっても上市できていないということが結構あるという話があった。これが事実かどうかはわからないが、日本のバイオベンチャーもそうだが、パートナーである(内資系の)製薬企業の事業化する力に問題があるのではないか。これは、実際どうなんだろうか、もしそうだとしたらどんなことをその対策として考えなければいけないのか、これが2つ目だ。
3つ目は、資料の11ページ目だが、自社でアセットの創出から臨床開発まで進めている企業がそれほど多いとは言えない。逆に考えると、ベンチャー企業が全てそのアセットの創出から臨床開発の全てやらなければいけないのか。私の関心領域は抗体薬であるとか、免疫治療とかそういったところだが、海外の会議では様々なCROやCDMOが非常に多いと感じている。
例えば日本でもCROというと統計解析やGLPについてのCROは結構出てきているが、例えば抗体薬のCROだったり、そういったものがPOCを作るための委託研究の質が良くなる。ところが、これも印象だが、日本ではそういったCRO、あるいはその製造の方のCDMO、これも非常に弱いと感じている。
芦田先生の資料の中でいうと、2ページの図になると思いますけども。そういったCDMO、CROの育成について、今日あまり論点に入れてないっていうことでしたけども、そこをどういうふうに育成すべきだろうか。
シーズを持っている会社に対してはある意味、その薬価で最終的に何らかのインセンティブになるかもしれませんけども、日本でCMOやそのCROが育っていかないという一つは直接的なインセンティブとして補助金ぐらいしかない。そこについて私、問題意識を持っているが、それについて芦田先生はどう考えるのかということをお聞きしたい。
もう一つはせっかくなので、アミカスの海老原さんにも少し質問したい。2ページ目の「小さな命が呼ぶとき」、実は資金調達まで非常に詳しく書かれていて、ビジネススクールのケースとして読んでも非常に勉強になる本で、私は大学の教材として使っている。ジョン・クラウリーはハーバードビジネススクール出身で、どこかの会社に買収された。今はサノフィになっている。先ほどの3点目の質問とも関係するが、全てベンチャー企業が最終的にベンチャー企業として生き残るのか。最終的にはどこかの会社に買収されてしまうなかで、ベンチャービジネスとして継続することの理由は何なのか、お尋ねしたい。
遠藤座長:ありがとうございました。それではまず、芦田構成員からコメントをお願いしたいと思います。
芦田構成員:はい、ありがとうございます。1点目のご質問ですが、日本のアカデミアでのシーズについてのご質問だったと思う。私自身は一つ一つのシーズというか、アカデミアの研究成果についてはユニークなものや、非常にポテンシャルがあるものが多いと思っている。多いか少ないかといったときに、何と比較するかだが、例えばアメリカと比較した場合には、数の上でもたぶん少ないというのが実状だと思う。アメリカの研究費と日本の研究費、また研究者の人口を比較しても、差があるので、少ないのが現状だと思う。ただ、創薬基盤技術にしても、医薬品のシーズになるような研究というのは非常にポテンシャルのあるものはたくさんあるというふうには見ている。
先ほど、私の発表のなかで、そのうえで何が課題かということを申し上げたが、一つには創薬基盤技術を例えばペプチド技術であったり核酸の技術であったりを、ある先生が開発したときにスタートアップができる、というのも一つの方法だが、アカデミーのなかで臨床をやっていらっしゃる先生との共同研究によって新しいシーズを作っていくというようなことが、まずアカデミアのなかでもできればいいのではないか。そのためには、やはりアカデミアの研究を拡充することで、いわゆるアセットの元になるものがもっと増えてくるのではないかと考えて提案した。
もう一つは、先ほど申し上げたことの繰り返しになるが、アカデミアの研究の成果だけで、医薬品開発の視点、もう少し平たく言うと、例えば製薬企業から見たときに、データパッケージであるとか、知財の範囲であるとかが必ずしも十分ではない。そうするとなかなかちょっとそれを取り上げるのは難しいということが言われているので、そこはやはり、資金であったりそれからノウハウであったりというところをより拡充する必要があるのではないかと思っている。それで先ほどのようなご提案をさせていただいたというところだ。
2点目の製薬企業の事業化する力ということだが、これはかなり個別性が高いのではないかというふうに私は思う。日本の製薬企業は、というふうにちょっと括って議論するのはなかなか難しいかなと思う。日本に本社を持つ製薬のなかで、創薬や臨床開発、海外も含めた事業化、必ずしも自社で本当に開発して販売するというだけではなく、海外の企業と提携をして、事業化を進めていくということも含めて申し上げるが、そういったことがされている企業もある。事業化する力というのは、少し個別性が高いのではと思う。
それから3番目のCRO、CDMOの点だが、ご指摘の通り創薬スタートアップが1から10まで全てやるということではないと思う。研究の段階、開発の段階でCRO、CDMOを使うということは実際行われているし、これは日本だけの話ではないと思う。先ほど事務局からもお話があったが、CDMOについては特に新しいモダリティについては、日本としては体制が整ってないということが指摘されていて、先般のワクチン戦略の中で、CDMOを整備しようということで、いわゆるバイオ医薬品からmRNAまで非常に幅広いが、そういったものに対するCDMOに対して補助金がついたということなので、その問題意識はおそらく政府、業界内で共有されていて一つの方策として今回行われた、という認識でいる。
坂巻構成員:最後のところだが、例えばその抗体薬のCMO、CDMOまでいってないが、いくつか立ち上がっているところがあるが、結局経験がないというところで既存の製薬会社も日本の新しいCMOを使うのであれば、むしろ海外の経験のあるCMOを使ってしまうということで、結局日本のそのCMOがなかなか育成されないという問題を私は感じている。その辺りを具体的にどうしたらいいのか、というところも今後検討していただければと関あげている。
海老原参考人(アミカス):先ほどご質問の前に、CROのことについて個人的見解ではあるが、一つの流れとしてはCROに入社され、ある程度経験を積まれて製薬会社に転職するという方が多いやに聞いている。片や、企業製薬企業としても、人材を効率的に使うために減らしているので、CROさんで例えば臨床試験の実施の経験を積んでいるCROさんが多く、製薬会社の方がむしろその経験が少ないといったようなところもあると思う。そこは必ずしもCROさんが育たないということではないとは思っているし、むしろ経験のある領域とかそういったようなところもあると思う。開発に関しましても5年、10年かかるなかで、色々な会社をお手伝いしておられるCROさんの方がむしろ現状に詳しいという方もおられると思うので一概になかなか言えないのではないかと個人的には感じているところがあるので、述べさせていただく。
それから先ほどおっしゃっていただいたサノフィさんの件だが、その前にサノフィが買われたジェンザイムさんのところにあった薬剤のことをおっしゃっておられると思うが、私は聞いているところではようやくお子さんたちのために治験薬が開発できて、治験をしようとした段階で、すぐに会社の経営者が自分の子供さんを治験に組み入れるということに対するコンフリクトのようなことが問題になり、それもあって常務は会社を辞めてお子さんに治験薬を投与するという判断をしたと、私としては聞いておりまして、そこのところはいわゆる開発したからそれを売って次の資金源にということがメーンの売却の理由ではないというふうに聞いている。真実のところはわからないが、そういったことで苦慮したというところも聞いているところだ。
現在の話で言うと、どちらかというと弊社はベンチャー企業だからかもしれないが、あまり売上のことについて厳しく言及されることよりも、むしろいかに効率的に患者さんに医薬品を届けるのか、を重点的に議論する会社でして、いままで何社も製薬会社を経験したなかで、少し珍しいが、あまり儲かるということの議論がない会社なので、そういう意味では会社を育てて売る、というようなことはあまりないのではないかと思っているので、そういう意味で資金繰りをしていくというモデルケースではないような気がしていてお返事するのが難しいと感じている。
坂巻構成員:私の質問の仕方が悪くて申し訳ありません。個別の会社の話ではなく、一般的にベンチャーであることのメリットがないから、ということで質問したつもりだった。
前半のCROに関しても、確かに臨床開発は日本もかなり経験が豊富になってきていて、しかもその臨床試験のその進め方もかなり変わってきている。私が言うまでもないが、そういった臨床試験の新しい流れに関して進化を支えているのもCROの役割だと思う。一方で、その先ほど言ったように非臨床系のCROに関してはまだまだ日本は弱くて、そういう意味ではその技術進歩を支えるというところに私個人が問題意識を持っております。
海老原参考人(アミカス):ありがとうございます。全般的なことをしているわけではないので生意気かもしれないが、そういう意味では、日本からある時期に基礎の研究所がかなり海外に流出したというところで、基礎研究について本当に研究されている方々がなかなか日本で昔ほど育っていないのではないかなという印象はある。昔よりは海外に、アジアや日本向きが進み、アメリカに研究職の方が流れているといったようなことが一つ傾向としてあるのかなと思わないではない。
もう一つ、先ほど申し忘れたが、国際共同治験といったようなことが主流になると、海外の本社で契約したCROさん、その子会社のCROさんが日本で対応するということも出てきている。日本ではまだまだ実績がない海外のCROさんの子会社さんという方たちが対応するということも何回か経験しておりまして、そういうところと日本でしっかり根付いてある程度の経験、実績を積んでいるCROさんがおられるという、そことも少し違う、いくつかのばらつきがあるのではないかなというふうに僭越ですが思うときがある。
遠藤座長:どうもありがとうございました。他にいかがでございましょうか。はい、成川構成員、お願いいたします。
成川構成員:本日は資料の作成、それからご説明ありがとうございました。先ほどベンチャー企業のメリットという議論があり、それについてリボルナバイオサイエンスにお尋ねしたい。御社の場合は武田薬品さんから独立というかスピンアウトした歴史でできた企業という認識をしている。そのときに、どういうメリットを期待して事業戦略を取られたのか。実際に活動してみて、想定通りにいっているか、あるいは何かとても困っている点があるのか、差し支えない範囲でお聞かせいただきたい。
富士参考人(リボルナ):はい、ありがとうございます。私は元々武田薬品で研究を務めていた研究者だったが、当時のポートフォリオから逸れたプロジェクトを進めたいというところで我々カバーして進めている。ですので、一つ大きくメリットがあるというところでは、当時できなかったプロジェクトというのが、ベンチャーになって、我々のプロジェクトができるということだ。また当社はこのプラットフォームを持ってパイプラインを創出するというビジネスモデルを構築しているが、数多く、かなり広範なパイプラインを揃えることができると、幅広く研究開発が進められるというところにメリットを感じている。
もう一つ、意思決定の素早さというところがあげられると思う。バイオベンチャーは、データが出てすぐそこからすぐ次のビジョンに向かえるというところから、大きな製薬会社での意思決定のプロセスから比べると非常に簡素化されていて、そこが一つの大きなバイオベンチャーでいるメリットかなと感じている。
遠藤座長:成川構成員、よろしいですか。ちょっと関連で私からも非常に基礎的な話を聞きたいのだが、国内でベンチャー育成という議論をするときに、海外のベンチャーが日本の非常に重要な薬を作っているのでそれを日本で早く上市するための環境整備をしようということであるならば、一つのベンチャーに対してどういうような政策をするかというのはわかる。いまのお話と少し関係するが、国内ではあまり国内発のベンチャーはそれほど数が多くないし、アカデミアからのスピンオフというケースも必ずしも多くないようにうかがっている。しかも、ファイナンスとか人材にベンチャーにすると非常に不足があるというのであるならば、なぜ武田薬品のなかでやらなかったのですか。意思決定の速さだけはわかったが、つまり大企業が新しい薬を作ることにもっと向けばいい話であって、それをベンチャービジネスという形にすると何かどこがいいのでしょうか、と。アメリカのように研究者からそのままスピンアウトしてというようなことが受け皿としてできる仕組みがあれば、そういうところを対応しようということだが、日本の場合、そこはどう考えたらいいのか。
富士参考人(リボルナ):はい。あくまでベンチャー側ということで回答させていただく。研究開発にかかわる一つのパイプラインでもそうですが、実はたぶんベンチャーで行う方が大企業よりも、ファンドもお金も集めやすい。実はパイプラインごとの資金という意味では、大企業のなかでやっている開発よりも、まだベンチャーでやる方が資金面でも実は多いのではないかと考えている。意思決定のスピードというところと、そこに特化した資金ができるので、その場合、特に我々、プラットフォームを活用してパイプラインを出すということを応援してくださっているVC(ベンチャーキャピタル)さんなど、そこから使えるお金は非常に自由度が高いというところがあげられると考えている。
小黒構成員:ちょっとすみません。横から申し訳ないが、会計上は武田薬品さんと連結になってないのではないか。
富士参考人(リボルナ):なっていない。
小黒構成員:そうするとやはりわかるのは、そちらの要因が大きいのではないか。
遠藤座長:いまの話は要するにファイナンスにしても単独でやった方が明日お金を集めやすい、と。組織のなかにいるよりは製品の開発ということはそういうものなのか、そうであれば、何か先ほど来、ずいぶんベンチャーキャピタルからのお金が不足しているというような議論もあったが、企業のなかにいるよりはまだマシなんだということをただアメリカと比べれば、というそういう理解でよろしいか。
小黒構成員:いまちょっと私があまり言うのもあれだと思うので、ちょっと補足していただきたいが、武田薬品は上場しているので、リスクとの関係で、会計上は別の方がいいということじゃないかと推測するが、それは間違っているか。
富士参考人(リボルナ):私はいま、武田薬品側の人間ではないのでそこを答える立場ではないが、そういった面も当然あったのかなというふうには推察している。
遠藤座長:失礼しました。武田薬品のケースを出したことでかえってその個別の課題になってしまったかもしれないが、もっとシンプルな話で、大企業のなかで新薬を開発するという選択肢よりも、独立して小規模な形でベンチャービジネスをした方が良い薬が作れるんだというような流れの中で育成しようとしているわけですよね。それはなぜか、という単純なことを聞いただけだ。いま一つは、意思決定の速さと、それから実はお金も集まりやすいというお話だった、お金が集まりやすいというのは、武田薬品との関係があるからということか。
小黒構成員:私が最初、芦田構成員にお金が集まりやすいということに対し、私が質問して返してもらった答えは、株価への影響だと思う。武田薬品の株価に対する影響だと思う。
遠藤座長:はいはい、ありがとうございました。芦田構成員、何かこの議論にコメントいただけますか
芦田構成員:製薬企業も数多くの創薬プロジェクトを持たれていて、それが常に一定ではなく、戦略の変更やポートフォリオの組み替えが行われている。私の理解が正しければ、いくつかいままで研究をしてきたが、重点領域から少し漏れてしまうようなプロジェクトというのもやはり出てくるわけだ。大手企業の戦略の変更でそういったことが起きてくるということは、常に起こり得ることだと思う。そういう状態になったときに、例えばプロジェクトをやっていた研究者の方々にとってみれば、ずっと企業のなかで非重点領域ということで、予算の制約のなかで研究を続けるのか、それとも外に出るのか。外に出ると、今度は元の会社の戦略とは全く関係が切れるわけなので、プロジェクト自身、もしくは研究者自身をきちっと評価されるのであれば、そこに資金をつける投資家がいるということになると思う。いまのリボルナバイオサイエンスさんの例で言えば、武田薬品さんのなかの大きな事業の組み換えがあって、そのなかでベンチャーを作っていこうというプログラムがなされ、その時はリボルナバイオサイエンスだけではなく、かなりの数のスタートアップができてきている。そこに、資金を付けるベンチャーキャピタルがいたということだと思う。
遠藤座長:そうすると、日本の新薬創出の基盤を固めていくというときにはやはり、ベンチャーを育成していくというと、企業の戦略から外れたが、社会的ニーズのあるものを別な仕組みで開発していくことを推進するんだということが根拠になるということですかね。
芦田構成員:そうですね。欧米を見ていると、例えば創薬スタートアップは非常に数が多いが、先ほど私の発表ではアカデミア発をかなり中心にお話したが、必ずしも薬の起源がアカデミアということになっているわけではない。企業発のシーズによって立ち上がっている創薬スタートアップの非常に数が多い。投資家からすると、シーズなりアセットをちゃんと専門性を持って評価し、実際にそれを研究開発する、経営陣がいるかどうかだ。研究や経営者の能力など、実行可能性を評価したうえでお金をつけるかどうかの判断をしている。
そのときにアメリカの場合であれば、専門性を持った評価をする人がいるし、大きなお金のプールがあるということでエコシステムのサイクルが回っているということだろうと思う。
遠藤座長:ありがとうございます。その場合、例えば企業のなかで途中まで研究開発をし、その物を別な会社で製品化をすることになる。この問題は、アメリカの公的なファイナンスでやった場合の議論と重なるわけだが、民間企業の場合はどういう判断になるのか。研究開発だけは元の会社でやって8分通りできたものベンチャービジネスで製品化したというときの問題というのはどういう関係で扱われるのか。芦田構成員コメントがあればお願いします。
芦田構成員:ケースバイケースかもしれないが、あるシーズのアセットを外だしにして、スピンアウトして会社を作りました。そこで資金を集めて開発を進め、例えば上市したというケースになった場合、ある種のマイルストーンとロイヤリティが元の会社に入るような仕組みで外だしをしているケースが多いだろうと思う。
富士参考人(リボルナ):遠藤座長や芦田先生のご説明に相違はないと思っている。パターンがあると思うが、当時武田薬品から出てきたのは、リボルナバイオサイエンスなど数多くのバイオベンチャーが出た。これは武田薬品に何とかしたプログラムではなくて、海外でいうと、例えばメルクなども同じように一部の事業アセットをベンチャーに持たせ、そこから研究開発を進め、さらには違う会社にライセンスをしていくというものもある。
もう一つは社内の議論にもあるが、例えばCMO事業部などをスピンアウトさせて出ていく、そういったケースもある。そういった場合は、権利関係のところではなく、プラットフォームとして事業を行う。大きく2つのパターンに分かれる。
遠藤座長:ありがとうございます。なぜベンチベンチャーキャピタルベンチャービジネスを育成しなければいけないか、という根本的なところの理解が深まりましたので、ありがとうございます。他に何か、ご質問ございますか。菅原構成員、どうぞ。
菅原構成員:各報告者の方々から詳細な説明いただきまして大変有益な時間がありましてありがとうございます。いくつか質問とコメントをさせていただきたい。
まず、全体として自分のなかで整理したときに、結局新しいイノベーション、良い薬を出していくために、ベンチャーの役割を考えているわけだが、経済学の枠組みで新しいイノベーションを起こすための基本的な4条件というのが整理されていて、一つはデマンドプル、要するに需要があって、たぶんこの場合でいうと希少疾患みたいな患者さんがいて、この人たちをどうしても救いたいから、という形でデマンドがプルされることによって新しいイノベーションが起こるということだ。
もう一つは、テクノロジープッシュという形で、これは最初の芦田構成員が我が国においては技術導出、ライセンシングみたいなものは結構、実働案件の契約があるという話なのである意味、テクノロジーで既存の技術があってこれを他に何か使えるもの新しいものがないかという形での創薬の仕方がある。
もう一つ大事なのは、技術機会と我々言うのだが、新たなモダリティの開発もそうだと思うが、どれだけ新しい領域に新しい開発の余地があるかというとこが大事で、これについてはおそらく全世界的にまだまだ色々なモダリティがあるのだろうと思う。
最後に、技術の占有可能性という言葉を我々は使うが、イノベーションを起こしたときにどれだけイノベーターに対してお礼ができるか、それが返せるかという、そこがやっぱり大事で、特許制度の話も出たが、どれだけリスクを取って不確実性と戦ったなかで最後にリターンを返してあげられるか。この制度設計が大事だという大体4つで整理ができると思う。
今回、色々なお話をうかがったが、その4つのなかでそれぞれ考えるべき課題がある。それがうまく繋がってない、あるいは繋がっているが不十分なために、全体の我が国におけるベンチャーの成長環境があまりうまく回ってないというような、たぶんそういう整理なんだろうと思った。
そのなかで、いくつか私も聞きたいことがあったのだが、やはりいくつか回っていく中で、先ほども井上構成員がおっしゃっていたがシーズを最初に作るところのアカデミアの役割ということだ。井上構成員がご発言していたが、私も一応大学の中にいて、アカデミアのなかで企業と一緒に仕事をしていくということを考えたときに、アカデミアが生み出したシーズに対する貢献をどう返すか、あるいはその先生方にどれだけの時間を費やしていただくか、あるいは臨床開発の中で非常に臨床環境、特に治験環境が日本ではよろしくないので膨大な時間と労力をかけてお医者さん方にお願いをしているという現状があると思う。そこに対するルール作りというか、そういう環境ができてないので、アカデミアから出してもらうところもそうだが、共同研究を促していくためのルール作りというのは、最初のスタートポイントで、我が国の大学側も含めて問題ではないかと思った。
もう一つは、MEDISOの事業は非常に有益、かつ大事な事業だと思うが、三菱総研さんが委託されているということで、これは永続的な事業なのか。それとも、ある一定期間のなかでまた何か公開があって変わってしまうものなのか。基盤となるすごく大事な事業だと思うが、いま国の事業としてたぶん、三菱総研に委託をしているという形になっていると思うが、どの位の期間、あるいは事業としての永続性がきちんと担保されているのかどうか、が少し気になった。また、サポーターで入っていらっしゃる70人の方々が非常勤でおそらくサポートされていると思うが、この方々が元々どういう属性で、どういうサポートをされているのかというところも少し気になっている。ある意味では当然、守秘義務とか色々あると思うが、これがきちっと永続的にサポーターとして機能できるような体制作りになっているのか。少し外形標準的な話で申し訳ないが、そこを確認したい。
それから、海老原様のお話のなかで、私も本当にそうだなと思ったのは先ほども言ったが、治験環境が悪いなか、それからやはり情報収集に大変なご苦労されているということで、データ基盤の整備だとかリアルワールドデータの利活用だとか、この辺りやはりもう少し、国がきちっとやるべき仕事だと思うし、そういう認識だと私自身も思っている。
また19枚目のスライドにあったが、前回か前々回のところで議論があったが、新薬創出等加算の企業要件のあり方などに関しては、必ずしもベンチャー企業、創薬のメリットに十分なっていないということでここに関してはきょう話を聞いて改めて見直しが必要ではないかと思った。
それからお話のなかで、アメリカ・ヨーロッパにおける承認申請の環境と比べて日本の承認申請がどうなのかという話があった。私自身の認識では、総じて全然遜色ない、むしろよくやっている部分も承認申請のプロセスについてあると思うが、その一方できょうのお話のなかで資料にもあったと思うが、申請資料を英語で作った資料は受け付けられないということがあって、かれこれ20年前からこういう話はある。承認申請そのもののプロセスが特に煩雑で欧米に比べて何か難しいわけではないが、やはりそこは難しいという話なのか、手続き上のランゲージエリアというか、そこを解決してくれば、もっとスムーズにいくという話なのか。難しさというのが、日本と欧米の承認環境のなかでのネックというのが、本質的にはその部分だけであると考えていいのかどうかを質問させていただきたい。
リボルナの富士様のご発表に関しては、実は私も遠藤先生と同じことをお聞きしようと思っていて、あえて武田薬品から出てベンチャーでやるメリットは何なのかというところはすごく関心があったが、よくわかった。基本的にここで生まれたものっていうのは元々アセットだとか、要するに使っている資産だとかというのも、あるいは資金面でも武田薬品からたぶん援助を受けていらっしゃるという考え方だと思うので、出てきたものに関しては全て武田薬品さんにお渡しするということは…。(違うとの回答)そういうことも全然そうではないんですか、わかりました。そこは自由だが、コントラクトになっているとのことですね。大変よくわかりました、ありがとうございます。
最後に、事務局からのご説明のなかで、海外からの申請や対応ということをやはり本気で受け入れる側としてはたぶん考えないといけない段階になっていると思う。これから日本の人口減が進むなかで、特に希少疾患の治験に関しての環境は悪くなる一方だと思う。先ほど事務局からの説明にもあった、東アジアの共同治験体制を進めているというお話、大変心強い話があったが、それを進めていただくと同時に、海外データとの共用利用なども考えていかないと希少疾患の治験を日本だけでやっていくということも当然難しい。グローバルでも当然共有されている問題だと思うが、日本で薬が出てこなくなってしまうので、このあたりをきちんと対応していく必要があるのではないか。これは、個人的な意見だ。
遠藤座長:質問をどなたか、というのが補足できなくなってしまったのだが、実は堀構成員がそのもっと前に手を挙げておられたようなので、まず堀構成員にご発言をお願いし、もしご質問があれば一緒に答えていただくという形で。堀先生、どうも失礼しました。
堀構成員:きょうは包括的なご説明、ありがとうございました。イノベーションを生み出していくという話、先ほども他の構成員の先生からもあったが、医療分野に限らず、他の分野でも非常に重要なことだと思う。同様に、他の分野でも全体的に低調でベンチャー投資額も少ないし、海外のVCからの投資も少ない。そもそも若い学生がベンチャー企業に就職したいのか、あるいは退職してベンチャーで挑戦したいのか、というところも日本のいまの現状だとなかなか医療以外の分野でも難しいところがあると思う。
ましてや医療においては、さらにハードルが高いということを今日つくづく感じました。ただ、先ほどお話のあったMEDISOの話のなかで医療機器の方が医薬品よりも相談件数が多いというお話があったので、ひょっとしたら工学系の方がそういう起業家教育というか、ベンチャースピリットではないが、そういう製品の開発から製造業者までの流れについて何かノウハウがあったりするのかな、とちょっと思った。医学部や薬学部等ではそういうことが行われているのかどうか、ということを少し感じた。
それからバイオベンチャー、スタートアップが困難な構造というのは基本的に今日の皆さんのお話に共通していたと思うが、専門人材が少ない、投資資金が少ない、またグローバル化の対応がなかなかできていないというのが共通事項で、成功事例を増やしていかなければいけないとういうのはまさにその通りだと思う。一社だけではできないことだと思うので、薬事承認もそうだが、臨床試験の環境改善や資金調達のマッチング、グローバルなバイオコミュニティの構築は、非常に重要だと思う。MEDISOの活動とかも非常に興味深くうかがっていた。
事務局のオンライン治験というのは非常に面白いと思いましたし、菅原先生、芦田構成員がおっしゃられたようにアミカスさんの臨床試験の話であるとか、書類の申請における英語の資料を見込めるかどうかということも今後の課題ではないかと思う。
それから、外資系では国際共同治験で日本人の感性にマッチしないというお話も興味深くうかがった。12月の検討会でもあった、企業要件の見直しも本日のお話をうかがって本当に必要だと思った。
三菱総研に質問だが、取り組みとしてまだ新しい、まだ始まったところ、ということもあると思うが、先ほど医薬品よりも医療機器の相談が多いという話だったが、それはどういう理由なのか、分析されているのか。それから公的機関のベンチャー支援は意外とあるというお話だったと思うが、公的機関の支援というのは私自身、基盤整備や環境整備のためにとても重要だと思う。成功事例が増えていかないと、公的支援も段々少なくなってくるというか、支援の有効性を評価するということも、これから重要になってくると思う。どれくらいの時間軸で、公的機関のベンチャー支援の有効性というのは見ていくべきなのか。事務局に聞くべきなのかもしれないが、事務局から提出された資料5の7ページに示された方向性は、まさにその通りだと思う。企業とアカデミアが、ある一定の基金と民間資金をうまく混ぜて、複数年度でやっていくというのはとても重要な試みだと思っている。
ヒト・モノ・カネ両方を好循環でエコシステムとして展開するのにも、一定の予算措置も国家戦略として重要だと思う。同時に企業なので、企業独自の自助努力も重要だと思っているので、契約に関するビジネスモデルを考えるときには公費で依存することによって成立するビジネスモデルでは持続可能ではないと思う。国としてはどこにより重点的に投資をしていく方がいいのか、例えばどのようにバイオベンチャーを育成するのか、というところで、むしろ大企業でも優遇していくという視点もあるだろうし、あるいは基礎的な研究で日本が得意としている世界をリードできるような競争優位な分野にフォーカスしていくという、視点もあると思う。あるいはバイオ開発人材を積極に育てていくのか。その辺のメリハリではないが、ビジネスモデルの健全化にとってどこに公的な支援を重点的に投資していくのが重要なのかという点についてご意見をうかがえればと思う。
遠藤座長:はい、ありがとうございました。それでは菅原構成員と堀構成員からご質問、ご意見をうかがったので、ご対応のご発言がある方、ぜひお手を挙げていただきたいと思う。はい。それでは川上参考人、どうぞ。
川上参考人(MEDISO):はい、ご質問ありがとうございます。ではまず菅原構成員からのご質問の一つ目、事業のことだが、MEDISO1年度の事業を毎年更新、更新というか再度入札されているというところだ。現在我々としても決まっているのは3月末までで、また次年度は入札がかかるというようなところかと思っている。ベンチャー支援にはかなり長い時間も必要なので、年度の切れ目のところで少し縁が切れてしまうというのは非常に勿体ないところではあるかな、というところは個人的な意見として述べさせていただく。
サポーターの方々の経験、どんな方々がいらっしゃるかというところだが、最も多いのは製薬企業のOBでいま薬事コンサルを個人でされている、もしくは小さなコンサルを立ち上げている方というのが非常に多いというところだ。その他にはベンチャーキャピタリストや弁理士、弁護士などだ。弁理士、弁護士も、もともと企業にいらっしゃる方もいらっしゃる。当局、PMDAで審査をしていたOBもいらっしゃるという形で、元々ベンチャー界隈にいたというよりも、製薬企業周り、もしくは規制当局周りにいた方が多いというのが現状だ。
続いて堀構成員からのご質問、一つ目の医療機器の方が医薬品よりも多いことの分析だが、実は機器が多いだけではなく、最近増えている。最近、少し中身を見てみたが、増えているのは医療機器のSaMD(プログラム医療機器)だ。スピード感を持って開発できるというのもあるが、学生のうちに構想してやってみたいというような非常に若い方からの相談というのも、そういった医療機器プログラムで増えているというのが現状だ。創薬ベンチャーでは起源や開発スピードが違うというところも影響しているのかなと考えている。
最後に公的機関のベンチャー支援に関する評価のところについてはおそらく厚生労働省さんにお答えいただく方がよろしいかと思うので、私からの発言は以上とさせていただく。
遠藤座長:ありがとうございます。それでは、海老原参考人、お願いいたします。
海老原参考人(アミカス):ありがとうございました。ランゲージ・バリアと一言で申しましても色々あると思うが、少し論点を変えさせていただきたい。まず、日本の薬事法というか、規制そのものに対しての理解というのがまず低いというのが正直ある。なぜならば、日本語で書いてあって、いわゆる英語で解説しているものというのが基本的にはないので、各ベンチャーのみならず、外資系の子会社ですと、まずそこを英語にしてわかってもらうということそこがとても大変だと思う。それでも各企業がやると、なぜそんなことが求められるのか、とか、FDAとどうしてそんなに違うんだというところは、企業がいくら説明しても理解してもらえず、でもルールはルール、では片付かなくて納得がいかない部分が結局残ってしまったりするところがある。できればその規制、薬機法なり、開発の簡略化したチャートといったようなものは英語にしていただいたうえで、当局が直接海外の本社と説明をするような場をもっと持っていただくことで、ランゲージ・バリアというものが下がるのかなと思っている。それによって、日本の規制というか開発に着手することに対して、どちらかというと日本は面倒くさい国というか、大変な手続きがあるのではないかという考えを持たれることも結構ある。先ほど、芦田先生がおっしゃったように、ドラッグ・ラグはだいぶ解消したが、開発着手ラグというのはいまだに残っていると思う。
14ページでも書かせていただいたが、海外でオーファンとして開発されたもののうち、半数くらいが日本でまだ未承認であることからも、審査期間、そのものは非常に改善し、むしろFDAより短いということもあるが、そもそも開発に着手してもらうタイミングにラグがあると、そこにもひとつ、ランゲージ・バリアがあるのかなと思っている。
申請にあたってはおっしゃっていただいたように、これは厚生労働省とかPMDAの誤解を買うと困るが、海外のデータなり、海外の薬局方というようなものをもう少し活用していただけるようなところがあると、それだけでスピード感もあるし、翻訳の手間やコストといった部分でもバリアが下がると思っているところだ。規制の複雑さ等々、それに対する不明瞭というか、そういったところで弊社の植村がプロジェクトマネジメントを長いことやっておりますし、外部の開発ベンチャーさんのコンサルをしているという立場から少し意見を述べさせていただけたらと思う。
遠藤座長:はい。では参考人、お願いいたします。
植村昭夫参考人(アミカス):ありがとうございます。あまり追加することないが、どうしたら日本を選んでもらえるか。一時ドラッグ・ラグは会社主体に言われていましたが、最近またドラッグ・ラグと言われているのは、やはり先ほどいろいろ申しましたけども、その日本の規制はICHでそっくりになっているにもかかわらず、非常に細かい規制を乗り越えるのに時間がかかるので面倒くさい、というイメージがすごく出てしまう。その入り口のところは日本語があるので、日本語がよくわからないところに入っていくと、細かいところが出てきて、最後には薬価の難しい問題で、最終的な結果がこうなってしまったという経験があるから特にベンチャーは日本を経験する件数ではないかなというふうに思っている。
最近、創薬ベンチャーとお話する機会があり、アメリカの次にどこに行くかというと、面白いことに、シンガポールやマレーシアという。日本には明らかに大きなマーケットがあるはずなので、通常ビジネス的に考えると欧米の次は日本じゃないかと私も自然に考えているが、日本はすごく難しくて厳しい国ではないかというイメージを彼らは持っている。色々な機会に説明をさせていただいて、選んでいただくように協力させていただきたいと私は思っている。
遠藤座長:ありがとうございます。他にございますか。事務局、お願いいたします。
事務局:はい、恐れ入ります。先ほど堀構成員からご質問いただいた、ベンチャー支援に当たりまして分野等の重点化ができないのか考えられるのかというご指摘につきましては、例えば昨年末にまとめられました「スタートアップ育成5か年計画」のなかでも特定の創薬ベンチャーのなかでも特定の分野に重点的に、というような記載等はされていないところだが、政策で見ると本日資料のなかでご紹介させていただいたように、バイオや再生医療、細胞治療等の新しいモダリティに対する支援を中心に今実施をしているところだ。日本の得意分野というよりかは、現在資料の方でもご指摘をさせていただきました人材や設備等を含めて日本で不足している部分のさらに強化を図っていく、促進を図っていくという観点だが、現状としてはそれらの分野に対する取り組みを中心に重点化をして強化をしているところだ。
遠藤座長:ありがとうございます。他に何かコメントございますか。それでは予定していた時間も若干過ぎておりますのでこれをもちまして本日の検討会を終了したいと思います。本日は本当に貴重なご意見を頂戴いたしまして、ありがとうございました。今後の我々の議論に大変役に立ちました。私自身も不勉強な部分も多々ありますので、大変勉強になりました。どうもありがとうございます。改めてお礼申し上げたいと思います。