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【有識者検討会 4月27日 その1 発言要旨 報告書・骨子(案) 課題と要因】

公開日時 2023/04/28 06:30
厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の12回目の会合が4月27日に開催された。この日は、有識者検討会の報告書骨子(案)が事務局から示され、議論した。発言要旨(その1)では、骨子(案)のうち、「課題と要因」をめぐる議論を行った。本誌は有識者検討会の構成員による議論の発言要旨を公開する。

遠藤座長:まずはこの前半部分について意見を頂戴できればと思います。おそらく後半の方がいろいろと議論も出てくる可能性もあるので、時間的な配分としてそれぞれ1時間ぐらいを考えています。時間配分に合うようなに発言いただければ、大変助かります。それではまず前半部分についていかがでしょうか。はい、小黒構成員どうぞ。

小黒構成員:丁寧に骨子案をまとめていただきましてありがとうございます。まず1点目です。これを(骨子案の)どこに位置づけるかっていうのもあるのですが、日本の医薬品市場が海外から見た場合、魅力が損なわれているというところです。これは、きっちり課題のところに書いていただいた方がいいのかなと思う。どういうことかというと2015年までは、市場全体としては、例えば3.7%ぐらい成長してきたものの、2016年以降は薬価制度の抜本改革などを通じ、薬剤費は基本的に縮小トレンドに入っている。そのようなことをちゃんと書いた方がいいのではないか。その関連で、アメリカ、イギリス、イタリア、フランス、ドイツ、カナダなどの国々の医薬品市場の成長率とGDP成長率、今後の見通しを見ても、日本の医薬品費だけマイナス成長が見込まれるというところをどう考えるのか、というような記述をちゃんと書いた方がいいのではないかと思う。

もう一つ気になったのが、最初のところの供給不安のところですが、「大規模な供給不安が発生した」という記述の前のところに、「小林化工への処分以降、相次ぐ後発医薬品(後発品)企業による不祥事に起因して大規模な供給不安が発生している」というように、限定する感じで書いているが、「例えば」などの文言を入れてはどうか。これ以外にも要因は当然あるのだと思う。例えば原材料価格が高騰だとか、それが原因でコスト割れして生産が難しいという話もあった。あんまり決め打ちするのはどうかと思う。少し表現を変えていただいた方がいいのかなと思った。とりあえずその2点。

遠藤座長:ありがとうございますまず。ご意見等いくつかお聞きして事務局からまとめてご回答いただければと思う。他に何かございますか。はい、坂巻構成員どうぞ。

坂巻構成員:非常に精緻な報告書の骨子案をありがとうございます。私だけかもしれませんが全体の課題というところを拝見して、問題の設定が整理されてないと感じる部分があった。いま小黒構成員からお話がありましたけど、例えば供給不安っていう言い方をしていますが、もちろん薬価引き下げで医薬品が手に入りにくいっていうことも供給不安の一つかもしれませんが、いま起きている(供給不安の)原因について、その対策の方から考えた場合について、もう少し整理した方がいいのではないか。

例えば、いま供給不安って言っているが、実際には出荷停止、限定出荷が大規模で起きているわけだ。この原因を見れば、最初はある企業の品質・製造の不祥事ですね。これが日薬連の基準でも限定出荷、自社原因ところからスタートしている。その後、それは他の(企業の)ところに巻き込まれ事故みたいな形で拡大している。

最初の自社原因の限定出荷が何故起きたのか。それをどう改善するのかという対策と、巻き込まれ事故による他社原因で限定出荷になった原因とは明らかに違う。一番最初は法令違反ですし、GMP違反です。巻き込まれ事故の方は恐らく製造キャパシティの問題です。これは分けて考えた方がいい。

それから、この供給というところで言えば、供給とサプライチェーンのところはかなり密接に関係してきます。これも別れて書かれていますが、これも少し整理した方がいいような気がする。サプライチェーンというのは言うまでもなく医薬品を製造する原材料の確保から工場で作って、それを医療機関に流通させ、患者さんに提供し、それを廃棄するところまで一貫してサプライチェーンと言っている。これを強靭化するのではなくて、むしろ柔軟に運用していくというような方がむしろ議論の流れになっている。

サプライチェーンの強靱化というところは、あくまで患者さんに渡すところまでの原材料のところと、工場から流通のところで、例えば(工場で)火災が起きたとか、そういったところに対応していくっていうことだろうと思うが、そこは分けて考えておいた方がいいのではないか。これはまず全体的な問題だ。

ちょっと細かい話をしたい。この間、私がずっと申し上げてきたことに、少量多品種という言葉が(骨子案に)沢山でてくる。少量多品種というのは一般的に、一つの会社が多くの種類を小ロットで作っているものを少量多品種と呼んでいる。それがなんで悪いのか。医薬品の場合には遊びがないからだということになるが、(骨子案では)少量多品種自体が悪いっていうふうに読まれるような書き方になっている。

重ねて、事務局にお尋ねしますけども、一つの会社が多品種を製造することは駄目なんですか。イエスかノーかでお答えいただきたい。昨日もいろんな会議や記者会見で、今後は日本でも少量多品種をやめるということが業界誌に出ていて、また明日の業界誌も少量多品種をやめるということを喜んで書くかと思いますが、繰り返しますけど少量多品種は何が問題なのか。例えば、少量多品種問題であるのだったら、製造工程が難しい、あるいは元々売れそうもない、市場規模の小さいジェネリック薬品は今後日本では開発しなくて良いのですかという問題意識につながりますよね。もう1回その少量多品種ってどういうことを言っているのか、何が問題なのかということを説明いただきたいと思う。とりあえず以上でございます。

遠藤座長:ありがとうございます。それでは他の方からのご意見もいただければと思います。香取構成員どうぞ。

香取構成員:骨子案の冒頭に「これまでの構成員の意見を暫定的に整理したもの」と書いてある。これまで出た多岐にわたる意見を、ある程度、柱立てして整理したということだと思う。一定の課題ごとに整理されているということで結構大変だったのではないか。一通りいろんな意見が整理されているところはいいと思うが、ちょっと役人的なこと言うと、「サプライチェーン」のところだけ四角囲いが2つ(サプライチェーンリスク、流通取引の課題)出てくる。大項目、中項目、小項目で言うと、何かここだけ整理がいまいちよくわからない。全体の整理の仕方をもうちょっと考えた方がいい。それが1点目。

それと、いま小黒構成員の発言にもあるが、「課題と要因」とあって、例えば供給不安のところで「〇」が2つ書いてあって、その下に「考えられる要因」と書いてある。表題が課題と要因だからこの供給不安の2つの「〇」は、もしここに小カッコがつくとすると、それは「課題」ってつくのですか? 何が言いたいかというと、整理の仕方として、供給不安というテーマについて、ファクトとしてどういうことが起こっているのかということをまずきっちり書くべきだ。課題があってその背景というかメカニズムみたいのが書いてあって、それを踏まえて、さらに要因っていうか、その問題がこういうことがあるっていう整理の仕方になるのではないか。

その意味で言うと、実はこの課題とは書いていない三角カッコの下の「〇」のところに、ファクトじゃないことも書いてある。例えばドラッグ・ラグのところでは、「指摘があります」と書いてあるが、ファクトは「指摘があります」ではなく、「ドラッグ・ラグがある」ことなのでしょう。それが拡大傾向にあるというのがファクトなので、ファクトはファクトとして書く。患者の意見は意見としてファクトがあったと思うのだが、ちょっとファクトと、ファクトが生まれるメカニズムと、言ってみればそれって「課題と要因」に被るが、全体の整理がちょっといまいちだ。まだ意見を整理した段階なので、これから本文を書く中でそういうことが起こるのだろう。

それから「創薬力の低下」のところも、きっちりファクトとして我々の問題意識を踏まえたファクトが書かれるべきだ。例えばドラッグ・ラグについてもその未承認薬が幾つあるという数字が書いてあるが、この問題は外国で承認されている医薬品が未承認だとか、上市が遅れてるとか、いわばそのファクト自身が問題を内包しているわけだから、その問題意識がはっきりわかるようなファクトの書き方を丁寧にした方がいいのではないか。

それと先ほどの少量多品種の話もそうですが、少量多品種がなぜ悪いかっていうのは別に製造の形として別にこれが悪いわけではなく、要は、この形が安定供給につながっていないってことが問題なのだろうと思う。一般論として少量多品種が悪いかといえば、世の中にそういう商品いっぱいあるわけで、医薬品の現状から考えると、後発品の安定供給っていう観点からすると、こういう製造の形、企業行動の形というのが、実は安定供給につながっていないってことが問題なのだということがわかるように書いた方が良い。一般論として議論しているわけではなくて、我々が抱えている問題からどう考えるかってことだ。そんな書き方になる。

ここの整理をある程度しておくと、課題に対する具体的にどういう対策を講じていくかというところの書き方に綺麗につながっていくのではないか。そこは整理をした方がいい。

それと、きょうの有識者検討会に医療科学研究所の「医薬品流通問題研究プロジェクトの報告書」が提出されている。実はこの中であまり議論されてないが、実際の流通過程で卸の取引の実態がどういうものなのかが詳細に書かれている。前回、総価取引と単品総価って何が違うのかについて話したが、あまり確たるお答えいただけなかった。いわゆる総価山買いが単品総価に変わっていく過程で、実は取引の変化があった。その背景にはどういうその制度的な制約があったことによって生まれたのかなど、かなり詳細に書いてある。ここで議論しているものではないが、この報告書に書かれている記述は、卸のヒアリングでもここまでの話は聞けなかったので、場合によってはこの辺を深掘りして議論した上で、報告書取りまとめるということをした方が良い気がした。以上です。

遠藤座長:ありがとうございます。オンラインで芦田構成員がお手を挙げておられます。

芦田構成員:ありがとうございます。気づいた点を2つほど指摘させていただく。3ページに「創薬力の低下」がある。その103行目から「革新的創薬に向けたオープンイノベーションによるエコシステムが未構築」とある。ここではベンチャー企業等と大手製薬企業との協業、オープンイノベーションによるエコシステムの構築と書かれている。後段もそうだが、このエコシステムの法制というのはベンチャー企業と大手製薬企業だけでなく、大学などのアカデミアやCROであるとか、CMO、 CDMOもこのエコシステムを構成する重要なプレイヤーだ。この点はエコシステム、オープンイノベーションと書くのであれば、きっちり書いていただければと思う。これが一点目。

もう一点ですが、「考えられる要因」に追加して欲しい項目がある。創薬エコシステムの課題、特に欧米と日本との違いという点で言うと、エコシステムのプレイヤー間での人材流動性が低いということが挙げられるかと思う。この資料の108行目から「資金」について書かれているが、資金と同様に「人材面」についても考えられる要因として挙げていただければというふうに思う。私からは以上です。

遠藤座長:はい、ありがとうございました。以上4名の方からの意見、質問がありました。事務局から何かコメントがあればいただければと思います。その前に小黒構成員どうぞ。

小黒構成員:すいません、先程の日本の医薬品市場の現状ですが、骨子案の2ページ目のところの「考えられる要因」のところに記載するのが一番いいのではないか。そのときに市場全体もマイナスになっているけれども、同時に2016年度から2020年度の特許品市場もマイナスになっているということはちゃんとはっきり書いていただいた方がいい。

遠藤座長:はい、ご意見として承りました。それも含めてコメントをお願いいたします。

安藤課長:ご指摘ありがとうございます。冒頭申し上げましたように、今回は今まで出された意見を項目立てしてまとめてみたというところです。最終の報告書案に向けて、皆さまのご指摘についてはきちんと踏まえさせていただきたいというふうに考えてございます。

個別に申し上げますと、小黒構成員からの指摘通りだと思います。まだ書き足りてないところがございますので、いただいた意見を踏まえて、日本の医薬品市場の魅力が損なわれている現状について、それから供給不安について細かい指摘については、報告書の段階で手を入れたいと思います。

坂巻構成員からありました1点目の指摘についても、まず供給不安について、問題の設定の仕方で最初の不祥事の問題と、その後の巻き込まれ事故について、そもそもとして背景が違うのではないかという指摘については事実に即してきちんと整理していきたいと思います。あと供給とサプライチェーンの話について、確かに我々も非常に悩んでいるところではありましたが、本日の意見を踏まえて整理がいると思いますので、きちんと整理します。

それと少量多品目生産についての考えについて質問がございました。先ほど香取構成員から発言ありましたけれども、確かにいまの書きぶりとしては若干足らないところがあるということについて、まずは謝罪させていただく。その上で、一般論として少量多品目生産自体が問題だという認識は我々持ってなくて、こと医薬品産業において特に後発品の安定供給ということを考えたときに、少量多品目生産という実態が、いわゆる製造工程において非効率な状況を生み出したり、あるいは製造工程自体が複雑になりますので、その管理の段階で様々な課題というものが生じてしまっているということがまさに問題ではないかという認識を持っている。その点もかなり制限的な中でそこまできちんと書かれてございませんけども、報告書本体の中では、しっかりと踏まえさせていただきたいと思います。

それと香取構成員が指摘されたサプライチェーンのところは先ほど申し上げましたように、ちょっと我々の整理のところまで行き届いてないところでございます。頭をもう1回整理してきちんと書きたいと思います。

ファクトについてはご指摘の通りです。最初の1章のところは、特にファクトをきっちり書いて、そのメカニズムとその背景となっている要因について、よりクリアな形で書くべきではないかというのはまさにご指摘の通りです。報告書本体のときに報告させていただきたいと思います。あと卸の取引実態についての参考資料ですが、私も全て読んだ。卸の取引の実態が詳しく書かれているというふうに考えています。この報告書に関わるようなところについては、報告書も参考にさせていただきながらで、最終の報告書に向けて活用させていただきたい。

芦田構成員から創薬エコシステムのところでご意見があった。確かにこの検討会の中でも出された意見ですので、報告書本体でしっかりと受け止めさせていただきたい。とりあえずは以上でございます。

遠藤座長:はい、ありがとうございました。事務局からコメントありましたが、4人の構成員の皆様、何か意見があればどうぞ。坂巻構成員お願いします。

坂巻構成員:要するに、一つの製品にいろんな会社が参入していることが問題だ。そういうことですよね? 無理して多品種少量という言葉を使わないとむしろいいと思う。それが一つ目。

二つ目のところで、例えばその製造工程で複雑なものでという話ありましたけども、ある会合で発言したのですが、FDAの「Office of Generic Drugs」という組織があり、むしろそういうものを積極的に開発するためのサポートをしている。日本のジェネリック産業政策において、例えば製造が困難な点眼剤やシクロスポリンだとか、そういうものもちゃんと日本のジェネリック産業が製造して薬事承認できることをサポートすることが大切だ。アメリカが良いか分からないが、海外のジェネリック産業支援の議論と全く逆転したような気がする。そこの誤解のないようにしてほしい。産業支援の観点からも、考え方を整理していただければと思う。

遠藤座長:ありがとうございます。新たなご提案ですが、何か事務局ございますか。

安藤課長:言葉も含めてですね、報告書の段階でしっかり整理させていただきます。

遠藤座長:よろしくお願いいたします。城審議官どうぞ。

城審議官:はい。ご指摘の通りだとは思います。多分製品ごとに市場規模というか、そのニーズというか、需要量があって、それに対しての規模というのがある。だから少量がいいのか悪いのかというのは、何が少量かって話もあって多分定義がそもそもできてないのだろうなと思っています。

多品目の生産を効率的にという話もおっしゃる通りですし、多分ここで問題なのは余裕もなく品質に影響が出るような製造の仕方をしてしまっていた現状がどうもあったということ。であれば、そこが問題ということかなとも思っていたのですが、ちょっとこの辺りの整理の仕方を少量多品目ということで一律に語られていたところがあるわけですけど、そこをどういうふうに整理するか、ご意見あればいただきたいですし、実際に考えてみて相談をさせていただきたいと思います。

遠藤座長:ありがとうございます。菅原構成員がオンラインから手を挙げておられます。

菅原構成員:ありがとうございます。最初に2点質問があります。文章を読んでわかりにくいというか日本語としてどうなのだろうというところがあったので指摘する。まず後発医薬品の安定供給のところで、17行目、18行目だと思うが、「後発品使用促進を実施する中で、一部の企業に見られた品質管理と安定供給に向けた体制強化と政府の対応の遅れなども一因」という文章を読んで日本語として正確な文意が伝わりにくいと思った。私の解釈ではおそらく品質管理の不備や安定供給体制強化に向けた政府の対応の遅れなどが原因とかっていう意味だと思うが、この書きぶりを正確にした方がいいのではないか。これが一点目だ。

それから27行目から28行目のところの「相対的に価格乖離が増大」というふうに書かれているが、その価格乖離というものが全体的な薬価と実勢価の乖離が大きくなっているのか、それとも取引上の仕切価と納入価って話もあったと思う。このあたりの正確性を期した方がいいのではないか。細かい点ですけど2点です。

それから、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの問題について54行目以降の「考えられる要因」で指摘している。これまでの議論の中で、例えば承認申請等で規制当局の開発段階から、きちっとした日本の伴走型窓口を作って伴走型支援が奏功しているというような話があった一方で、日本語でしか承認申請書類を受け付けられないといった、外資の小さなベンチャーからすると非常になかなか難しいというような指摘があったと思う。こういった行政上の国際対応の不備だとか、未整備の指摘も、今後の課題のなかに一部振られているが、これは「考えられる要因」の中に、きちっと書いた方がいいのではないかというのが私の意見だ。以上です。

遠藤座長:はい、ありがとうございます。それでは成川構成員、三村構成員、三浦構成員の順番でお願いします。

成川構成員:骨子案3ページ目の78行目に「日本における臨床試験の高コスト構造」というのがある。かつて日本の臨床試験は高いと言われていたのですが、最近もそうなのかで若干疑問を持っている。アメリカの方がよほど高いと言う外資系大手企業の方もいらっしゃる。そのあたり何か情報のソースがあったら記載した方がいいかなと思う。ただ、手をかければかけるほどコストもあがりますので、効率化策を考えるのはいずれにしても重要だと思っているので、臨床試験におけるDX、デジタルトランスフォーメーションの推進とか、あと情報プラットフォームの整備とかも含めて、効率化を図り、結果的にはコストが相対的に下がっていくということは目指すべきだというふうに思っている。全体として反対意見ではないが、そんなことを少し付記させていただきます。

遠藤座長:ありがとうございました。それでは三村構成員お願いいたします。

三村構成員:2点指摘させて頂く。1番目の供給不安の問題ですが、この問題は、なぜこの混乱が収束しにくいのかしないのかということだと思う。坂巻構成員の指摘とも関係するが、ここにある話は供給体制が未整備であるということだと思う。それに対しては一つの解決策として、例えば一元化とか基本的情報共有という言葉が入ってくるときに当然、川上から川下まで一貫させていくということだ。サプライチェーンというのは問題解決のために使う言葉である。何かそのことが混在しないように使い分けていただければいいのではないかと思う。

それからもう一点、先ほど香取構成員から医療科学研究所の報告書についてご指摘をいただいた。特に流通取引の問題についてはずいぶん深く検討してきたものでございますので、ぜひ報告書の中に生かしていただければありがたいと思います。それと関係してということですが、155行目の「調整幅」のところ。ここの文書の中に、今の取引問題の混乱がなかなか解決しないことのヒントがでてくるような感じがする。ただ、文章の意味合いが少し曖昧でありましたら、もう少しここのところを少し正確にしていただければいいのではないかと思う。

「調整幅の流通実態との乖離」という文書で始まっているが、カテゴリーチェンジがある中でということでありますけれども、供給特性の異なる医薬品が従来の一律の価格交渉の中で行われてきたこと、またそれぞれの流通コストさえ明らかにされないままで取引きが行われてきたことが基本的にこの背景にある、というふうに書いていただくだけで、今の医薬品の流通取引で問題点はここで基本的に出てくる。そして、これまで一律に設定された調整幅が、その流通と実態と合わなくなってきていると、それが現状であるというふうに整理いただくだけでも流通取引の問題が明確に見えてくるという感じがする。以上でございます。

遠藤座長:はい、ありがとうございます。それでは、三浦構成員お願いいたします。

三浦構成員:小黒構成員の発言にあったように日本の魅力度低下について、魅力度が下がると創薬力が下がるというように、要因間の関係みたいなものを分かるようにして頂くとすごく読みやすいと思う。

同じ観点で考えると流通の方だが、大規模交渉力のあるチェーンの問題と、総価取引の問題の二つがある。私は総価取引の方が大きな問題と考えている。代行交渉力は他の業界でも普通にあることで、それ以降、総価取引をやることによって最終的にはジェネリックの人たちがすごく困って、その結果、やっぱりビジネスとして成り立たないので、どんどん新規の薬価収載をやらざるを得ない。その結果多品目になってしまう、というふうな話がありますので、それがまた供給不安にもつながっていきそうな感じがあり、総価取引と供給不安について、何か要因間の関係なんかも何か書いていただくとわかりやすいなという感じがした。以上です。

遠藤座長:ありがとうございます。堀構成員が手を挙げておられます。

堀構成員:ありがとうございます。私の方から報告書の全体的な流れについて意見を言わせていただきたい。骨子の内容はこれでいいと思うが、「課題と要因」の前のところに、ファクトを書くところもあるが、この事実があってファクトに対してどういうアジェンダがあるのかというところに、おそらくこの検討会としての問題意識があると思うので、その「課題と要因」の前のところに、全体としてのこの検討会の問題意識をまとめて書くのがいいのではないかと思う。

それから供給不安という言葉についても、このタイトルの中だと後発医薬品の供給不安だということがタイトルだけでは分からないので、そのまま目次の構成を考えるときにそこを少し検討した方がいいのではないかと思う。それから、例えばこの供給不安のところの「不安の要因」と書いてあるところにも要因が複数書いてあって、さらにその後に考えられる要因というふうになっている。他の先生方も、整理をした方がいいという話がありましたが、そこのところの整理をした方がいいのではないかなというふうに思います。

それから、供給不安、ドラッグ・ロス、ドラッグ・ラグ、創薬力強化そしてサプライチェーンの強靱化というところ。先ほど香取構成員も発言したようにサプライチェーンのところだけちょっと書きぶりが他のところ少し違うなっていうところがある。もう1回整理をした方がいいかなって思う。あと、日本市場の魅力のところの記載はあった方がいいと思うのですが、書き方としてドラッグ・ロスにどう影響を与えているのかというところで、もう少し書き方を工夫した方がいいのではないかと思う。以上です。

遠藤座長:はい、ありがとうございました。では川原構成員どうぞ。

川原構成員:ありがとうございます。4ページのサプライチェーンの課題についてお話をさせていただきたい。前回の検討会の報告でもありましたが、日本薬局方について米国薬局方とか、欧州薬局方と一部規格が異なっているものがあり安定供給に支障をきたした事例があったという報告がありました。それに対して日米欧の薬局方の国際調和により一層推進していく必要があるという説明がございました。

これについても安定供給のために重要な課題だと思うので、この報告書に記載がございませんでしたので検討していただきたいと思う。以上でございます。

遠藤座長:ありがとうございます。報告書の構成についての指摘、アドバイスだと思いますけれども、事務局からコメントできるものについてお願いしたい。

安藤課長:様々なご指摘ありがとうございました。先ほどと重なりますけども、ご指摘を踏まえて、今回は骨子ということもあり、やや分析が薄いところですとか、それからのストーリー性を考えたときに必ずしも読む方にとってわかりやすい構造になっていないといった点ですとか、我々も報告書本体に向けて考えるべきことがあるというふうに思っています。本日の指摘を踏まえて、その辺についても綺麗に整理させていただければと思います。それと追加の話であった薬局法についても、それも確かにこの検討会でご議論いただいて、安定供給の観点からも重要な論点であるっていう認識しておりますので、報告書本体にしっかり描かせて頂きたいと思います。

成川構成員からご質問のあった臨床試験の高コスト構造について、それについてお答えます。

事務局:事務局でございます。成川構成員からご指摘いただきました臨床試験のコストに関するご指摘でございますが、持ち帰りで検討させていただきます。一つ観点としては、その臨床試験に係るコストのうち項目ごとの単価で見たときの高さと同じ書式を米国や日本で行う場合の総額など、見方によって少し捉え方ですね違う部分もあるのかなというふうに認識しております。その辺りも含めてですね、ご指摘を踏まえて改めて確認の上、報告書の方にはそれを踏まえて記載させていただきと思います。ありがとうございます。

遠藤座長:ご発言された先生方で何かコメントございますか。よろしいでしょうか。はい、ありがとうございました。それでは前半部分については大体ご意見を賜ったということでよろしいですね。(議事要旨その2に続く)

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