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【中医協薬価専門部会 12月20日 議事要旨 令和6年度薬価制度改革の骨子(案)について】

公開日時 2023/12/21 04:49
中医協薬価専門部会は12月20日、令和6年度薬価制度改革の骨子(案)について事務局から説明を受け、診療・支払各側で議論し、了承した。本誌は診療・支払各側の発言について議事要旨として公開する。

安川部会長:それでは議事に入らせていただきます。本日は「令和6年度薬価制度改革の骨子(案)」について議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

事務局:薬剤管理官でございます。資料「薬―1」をご覧ください。本日は前回お示しした令和6年度薬価制度改革の骨子のたたき台に関する議論を踏まえて骨子案を作成いたしました。たたき台からの変更点は資料の最初に記載していますが、色つき下線部で示しております。例えば「第1基本的考え方」については文章の最後を「することとしてはどうか」という記載を「することとする」とまとめております。

変更点を順番に説明いたしますが、まず「第2具体的内容」の「1.ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消に向けた革新的新薬のイノベーションの適切な評価」については、資料7ページ目までありますが、文章の末尾の変更であり内容は同様でございます。

資料8ページを御覧ください。「2.後発品を中心とした医薬品の安定供給確保のための対応」の「(1)後発品の安定供給が確保できる企業の考え方」つきましては、前回お示したシミュレーション結果や提案いたしました価格帯の取り扱いを踏まえて今後これらの検証が必要ではありますが、当初提案した通りの内容でご了承いただいたと認識しておりますので、内容はたたき台と同様で文章の末尾を変更しております。

資料9ページ目の「(3)価格の下支え制度の充実」の「② 不採算品再算定」については、前回の議論を踏まえ具体的な対応を作成しております。最初の「〇」で急激な原材料の高騰、安定供給問題に対応するため企業から希望のあった品目を対象に特例的に適用することといたします。

また具体的な適用に関しては次の「〇」で、通常の不採算品再査定の要件では類似品の取り扱いがあり、全ての類似品が不採算に該当しないと適用されませんが、今回はこの規定を適用しないことといたします。この取り扱いは前回の令和5年度改定の措置と同様です。

さらに前回のたたき台の議論の際に適切に流通する品目として乖離率に関するご意見もありました。その意見を踏まえまして、今回の令和5年度薬価調査結果において前回の薬価調査におけるその全品目の平均乖離率である7.0%を超えた品目は対象外とすることといたしました。

対象外の品目はありますが、類似品の取り扱いを適用しないことにより通常よりも多くの品目が不採算品再算定の対象になるというものでございます。

3つ目の「〇」で今回このような特例措置ということで行いますが、次回の薬価調査における乖離の状況も確認して流通状況を検証することが必要と考えております。さらにこういった特例的な対応は前回の改定に続いて行っておりますので、不採算品再算定の適用のあり方は、今後の薬価制度における検討課題として今後検討する旨というのも記載しているところでございます。

今回はこういったご説明した理由によりまして不採算品となる品目を広く対象にしていく方針にしておりますが、これらの品目の検証や今後のあり方の検討を含めることで今回の対応案について了承いただければと事務局としては考えているところでございます。

次に「第3 その他」と資料10ページについては内容が同様でございます。以上が骨子案ですが「薬―1」の参考として令和6年度薬価制度改革の概要と具体的な改革事項を列挙した1枚紙を作成しております。資料の説明は以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございました。それではただいま説明に関しまして、ご質問などありましたが、お願いいたします。長島委員お願いします。

長島委員:ありがとうございます。骨子案9ページの「② 不採算品再算定」について2点質問いたします。不採算品再算定の品目については、物価高騰などあるにもかかわらず、安く流通させていた企業側の責任もあることから、乖離率が大きい品目は対象外にすべきと考えております。

しかし、今回事務局から提示された案が今回調査の平均乖離率ではなく、前回調査の数値である(平均乖離率)7%となっているのはどのような理由なのでしょうか。また、不採算品目の対象数も教えてください。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。では事務局から先ほどのご質問について回答をお願いいたします。

事務局:薬剤管理官でございます。不採算品再算定の取り扱いですが先週の薬価専門部会において品目の乖離状況も考慮し、不採算品再算定の適用から除外することが考えられるのでないかという考え方を示したところ、乖離が一定程度あるものについては対象外にすべきという意見を多くいただいたところでございます。

今回の薬価調査における平均乖離率は速報値で6%でございました。前回に比べて1%ほどの低下となっておりますが、対象外とする範囲は、例えば今回の平均乖離率を超えた品目といたしますと薬価調査時点ではこの数値そのものが予測できないというのもありますし、(平均乖離率)6%付近というと平均値あたりなので品目も多く、なかなか線引きが難しいかなと考えております。そこで適正な流通をしていただくことを考えるのであれば、せめて前回の薬価調査の平均乖離率以上の品目であれば、不採算の品目として価格を引き上げるということでもいいのではないかと考えられますので、このような提案をさせていただきました。

また範囲に関しては、先週の議論の際にも委員からご指摘をいただいた数値でもありますので、議論を踏まえた結果の判断ということで考えているところでございます。

もう一つの質問で最終的にどのくらいの対象となるかということですが、こういった範囲にした場合につきましては、不採算の品目としては、約2000品目程度が対象になる見込みでございます。説明は以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございます。長島委員いかがでしょうか?

長島委員:了解いたしました。骨子案を了承いたします。

安川部会長:他にご質問は。森委員お願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございます。事務局におかれましては骨子案の取りまとめいただきありがとうございました。内容については異論ございません。

今回の対応において、革新的新薬を日本に迅速に導入した場合の評価、新薬創出等加算の企業指標の見直し、後発品の安定供給が確保できる企業の評価などが導入され、関係業界からはドラッグ・ラグ/ロスの解消や医薬品の安定供給確保に向けた活動を力強く後押しし、現状改善するきっかけとなりうるという受け止めが示されました。非常に重要な意思表明があったと受け止めております。

この部会でも発言がございましたが、企業としてしっかりと取り組んで、今回の薬価上の対応によって、企業活動にどのような影響があったのかなど業界として示していくべきと考えますし、今回の対応が、ドラッグ・ラグ/ロスの解消、医薬品の安定供給にどう結びついたのか、業界の協力のもとで検証していく必要があると考えます。医薬品卸も含め関係する業界におかれましては引き続きご協力をお願いできればと思います。

また、これまでも発言していますが、薬価だけでなく薬事、流通、産業、業界に関する対応も必要ですので、関係業界におかれましてはこれらへの対応とともに、関係する検討会などへの協力をお願いできればと思います。

業界として安定供給確保に向けたビジョンを早期に示すことを再三お願いしています。これは、後発薬のみでなく、先発医薬品も含めた医薬品供給全体の問題でもありますので、関係団体が協力し合いなるべく早くお示しいただけるようにお願いします。担当部署においてもフォローお願いしたいと思います。私からは以上です。

安川部会長:ありがとうございました。他にご意見ありますでしょうか?松本委員お願いいたします。

松本委員:ありがとうございます。ただいま示されました令和6年度薬価制度改革の骨子案につきまして異論はございません。今回の改革が本当に新薬のイノベーションあるいは後発品の安定供給、ひいては国民皆保険の持続可能性に繋がりますよう、しっかり推進をしていただきたいというふうに思います。

前回の部会では収載後の外国平均価格調整により薬価が引き上げられた場合に、患者の理解を得るための努力を企業にお願いいたしました。また薬価収載後の引き上げルールや新薬創出等加算の見直しが企業の開発戦略を含めてどのように影響したのか早急に検証していただき、中医協に報告することもお願いしております。

これまで申し上げてきました指摘や要望につきまして、各企業、業界団体におかれましては、しっかり対応していただきたいと改めてお願いしたいと思います。

特に新薬創出等加算につきましては、特許期間中の薬価の維持と累積額控除のタイミングをセットで議論することが前提ということをこの場で確認していただきたいと思います。

また後発品の企業指標につきましては、試行的な導入ということで理解いたしました。問題が生じた場合は速やかに対応することを条件として、お示しいただいた内容で進めることに異論はございません。また、不採算品再算定の特例につきましては、前回の指摘が反映されたものというふうに受け止めております。

最後に、今回の改革につきましては、全般的に充実の方向で対応することとなりますので、令和7年度改定に向けて、先ほど申し上げました新薬創出等加算の控除時期をはじめ医療保険財政の持続可能性を強くし意識した議論を早期に開始できるよう事務局に改めて準備をお願いしたいと思います。私からは以上でございます。

安川部会長:はいありがとうございます。では鳥潟委員お願いいたします。

鳥潟委員:ありがとうございます。今回お示しいただいた骨子につきましては前回の議論を踏まえ、不採算品再算定にて前回の令和4年度薬価調査における全品目の平均乖離率である7%を超えた乖離率の品目は対象外とするという旨を盛り込んでいただいたことについては評価させていただきます。

一方で、23年度薬価改定で臨時・特例的に全品目を対象に不採算品再算定を実施したところ、製薬企業側が仕切価率を低下させた品目も一定程度あったことから、資料9ページにある通り、今回の改定において不採算品再算定を適用される品目については、次回の薬価調査における乖離状況を確認し、流通状況を検証するということの徹底をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。以上になります。

安川部会長:はい、ありがとうございます。他にご質問、ご意見等はございますでしょうか?事務局から追加はございますか。

事務局:薬剤管理官でございます。先程いただいた意見につきましてですが、今回は様々な改定内容もございます。新薬の観点もそうですし、安定供給の観点もそれぞれ検証が必要というようなことは従来から繰り返し述べておりますし、今回の骨子の方に盛り込んでおりますので着実にお示しできるようにしたいと思います。

もちろん業界との協力が大前提になりますので、当然このぐらいの改革を行ったわけですから、業界もきっと前向きに協力していただけるというふうに認識しております。そういったことを出しながら議論を進めるかについては、しっかりと考えていきたいと思っているところでございます。以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。他にご質問、ご意見等ありますでしょうか。専門委員の方から何か追加でご意見ありましたら…。よろしいでしょうか? はい。ありがとうございます。それでは本案を総会に報告したいと思いますが、よろしいでしょうか?

各側:了承。

安川部会長:はい、ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。

本件につきましてはここまでにさせていただきたいと思います。本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

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