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中医協総会 後発医薬品使用体制加算の「役割」めぐり各側対立 支払側は「減算」への制度移行を提案

公開日時 2025/10/20 04:52
中医協総会は10月17日、後発医薬品やバイオ後続品の使用体制、服用薬剤調整支援等の診療報酬上の評価について議論した。後発医薬品使用体制加算については、薬局の後発品調剤割合が9割に達したとして、支払側委員から、「インセンティブとしての役割を終えた」と見直し論が噴出。代替案として地域支援体制加算に後発品調剤割合やカットオフ値を設定し、基準を満たさない場合に「減算」する仕組みへの移行が提案された。一方で診療側は、「医薬品の供給不足が長引く中で、医療機関や薬局の業務量は増えている」として診療報酬上の評価継続を主張した。服用薬剤調整支援については、「単に服用薬剤数の削減を評価するのではなく、服用薬剤調整支援の手法の策定状況を踏まえて検討する」との事務局案に賛同する意見もあった。

厚労省保険局医療課はこの日の総会に、長期収載品の選定療養開始後(24年11月1か月間)の保険薬局の後発品使用割合が9割を超えたと報告。病院の使用割合の平均値は82.0%、診療所は66.5%となる中で後発医薬品提供体制に係る診療報酬上の評価をどのように考えるか論点にあげた。

◎支払側各委員が「廃止」を提案 

支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「長期収載品の選定療養の導入後に後発品の使用割合が大幅に上昇しており、後発医薬品調剤体制加算はインセンティブの役割を終えた」と指摘。鳥潟美夏子委員(全国健康保険協会理事)も、「今後も継続して評価する状況では無くなったのではないか」と追随した。高町委員もまた、「この加算に関しては、そろそろ廃止する時期に来ているのではないか」と強調。支払側委員から相次いで廃止・見直し論が示された。

◎松本委員 地域支援体制加算に後発品調剤割合やカットオフ値を設定、基準満たさない場合“減算” 

一方で松本委員は、後発医薬品調剤体制加算の見直しを前提としながら、「例えば、地域支援体制加算に後発品調剤割合やカットオフ値を設定し、基準を満たさない場合に“減算”するといった仕組みに移行すべき」と提案。さらに、特定薬剤管理指導加算3「ロ」の導入時に議論となった、「後発品に変更しなくても説明をすれば算定できる」という現行のルールを、「変更した場合のみ算定できる“実績評価”に見直すべき」と強調。さらに、「選定療養の対象患者を算定対象から除外して、安定供給問題の対応だけを評価する仕組みにすべき」との考えも提示した。

◎診療側・江澤委員「供給不安で苦労している」 森委員「使用率あがっても業務は変わらない」

これに対し、診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、「医療機関は医薬品の供給不足で非常に苦労している」と強調。「病院、診療所ともに後発品を処方するための負担が以前よりもはるかに増えている」と指摘し、診療報酬上での評価継続を求めた。また、森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「薬局は依然として、先発・後発両方の備蓄・管理と患者への後発医薬品の説明、薬学的な観点も含めた後発品への変更調剤可否の確認、医師への問い合わせ、新規収載される後発医薬品の情報収集・備蓄などを行っており、後発品の使用率が上がったからといって、業務が変わるものではない」と述べ、医薬品の供給不安に伴う業務負担が増加している実情を示しながら、診療報酬上の評価は「不可欠」と訴えた。

◎電子処方箋の普及 自動チェック環境整えば「重複投薬・相互作用等防止加算」見直しも

服用薬剤調整支援について支払側の松本委員は、「処方提案だけではなく、服薬回数を少なくする取り組みや、対人業務として薬剤師による薬物療法への介入を強化し、一剤でも着実な減薬の実績や有害事象の抑制につなげていくために、現行の評価を整理することも考えられる」と強調した。また、電子処方箋が薬局に広く普及し、重複投薬や緊急薬剤の使用が自動でチェックできる環境が整ってきたことを前提とすれば、「重複投薬・相互作用等防止加算を見直すことも必要」との見解を示した。

診療側の森委員は、「ポリファーマシー対策の重要性は増しており、減薬のみならず、患者の生活状況も加味した服用薬剤の調整、処方医との連携、服用薬剤の調整後のモニタリング計画の立案など、質に着目した取り組みの推進が重要」と指摘。「現場の取り組みを進めるためにも必要な評価をお願いしたい」と述べた。また、診療側の太田圭洋委員(日本医療法人協会副会長)は、「診療ガイドラインを標準的に順守して治療しろと言うと、どんどん薬が増える」と指摘。江澤委員も、「多剤対策に加えて、個々の患者さんに応じたきめの細かい処方量の調整をしていることは、まずご理解いただきたい」と強調した。

◎バイオ後続品 療養担当規則等へのバイオ後続品の記載は賛同

バイオ後続品について支払側の松本委員は、「療養担当規則等にバイオ後続品の記載を追加することについて賛同する」と述べた。また事務局が論点に示した「保険医療機関等における体制整備等の診療報酬上の評価」については、「後発使用体制加算の適正化とセットでバイオ後続品への対応を重視するのであれば異論はない」と強調。さらに、「DPCや人工腎臓等に包括されるバイオ後続品の使用率が高いことを踏まえれば、例えば加齢黄斑変性の治療に薬剤包括の技術料を設定するなど、外来についても包括評価を推進すべき」との見解を示した。

診療側の森委員は、「薬局では、大きな在庫リスクを生じることがある」と述べ、「在庫や廃棄のリスクを支える評価もセットで検討する必要がある」と述べた。
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