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ヴィアトリス アキュリスを買収、完全子会社化 ナルコレプシー治療薬候補やスピジア点鼻液を取得

公開日時 2025/10/17 04:52
米ヴィアトリスは10月16日、日本のバイオベンチャーのアキュリスファーマを買収し、完全子会社化したと日本法人を通じて発表した。ヴィアトリスは、ナルコレプシーなどを対象に開発中のpitolisantの日本における独占的開発・販売権(以下、独占権)と、経鼻投与型抗けいれん薬・スピジア点鼻液の日本及びアジア太平洋地域の独占権を取得した。現時点ではアキュリスは存続し、早期退職者の募集も行わず、希望する社員は引き続きアキュリスで業務に従事する。買収額は非開示。

◎日本のCNS領域でのプレゼンス強化

アキュリスの代表者には、同日付でヴィアトリス・ジャパンのカントリーマネジャーを務めるソナ・キム氏(ヴィアトリス製薬社長、ヴィアトリス・ヘルスケア社長)が就任した。これまでアキュリス社長を務めた谷垣任優氏はアドバイザーとなり、スピジアとpitolisantに関する業務のヴィアトリスへの移行を支援する役割を担う。

ヴィアトリスグループでは、付加価値をもたらす地域事業開発機会をターゲットとする戦略を展開している。日本のヴィアトリスは特に中枢神経(CNS)領域に強みを持つ。このため、神経・精神疾患にかかわる社会課題解決に取り組むアキュリスを買収・子会社化することが、日本のヴィアトリスのCNS領域の製品及びパイプラインの拡充と、プレゼンスの更なる強化につながると判断した。

◎ヴィアトリス本社・Corinne Le Goff 氏 「事業開発戦略の好例」

ヴィアトリス本社Chief Commercial OfficerのCorinne Le Goff 氏は、アキュリスを買収したことで、「当社は日本における強固な営業基盤と中枢神経領域における長年の専門知識を活用し、より多くの患者さんに革新的な治療を提供できるようになった」とコメント。そして、「pitolisantとスピジアが当社の革新的な製品ポートフォリオに加わることは、最大の影響力を発揮できる領域で成長を目指す当社の取り組みと戦略的に合致している」とし、「世界市場における当社の核となる強みを補完する事業開発戦略の好例となる」と述べた。

◎アキュリス・谷垣元社長 「より多くの患者さんに革新的な治療を届けるための大きな一歩」

アキュリス元代表取締役社長の谷垣氏は、「弊社がここまで成長できたのは、患者さん、ご家族、医療関係者、パートナー企業、そして支えてくださったすべての方々のおかげ」とし、「今回のヴィアトリスによる買収は、私たちの使命をさらに前進させ、より多くの患者さんに革新的な治療を届けるための大きな一歩」とコメントした。

◎pitolisant 25年末までに国内申請 スピジアへのヴィアトリス製薬の関わり方は検討中

pitolisantは、アキュリスがフランスのBioprojet社から日本における独占的開発・商業化の権利を獲得したヒスタミンH3受容体の選択的拮抗薬/逆作動薬。ヴィアトリスは、日本人を対象とした直近の第3相臨床試験の良好な結果などに基づき、2025年末までに、▽成人のナルコレプシー患者における日中の過度の眠気(EDS)またはカタプレキシー(情動脱力発作)の治療薬、▽持続性陽圧呼吸(CPAP)療法による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に伴う日中の過度の眠気の治療薬――として、日本で承認申請する予定だとしている。

スピジア点鼻液(一般名:ジアゼパム)は、アキュリスが米Neurelis社から日本及びオーストラリアや韓国などアジア太平洋地域の特定市場での独占的開発・販売権を取得したもの。日本では、「てんかん重積状態」を効能・効果に今年6月に承認され、国内初の経鼻投与型抗けいれん薬となり、また成人では初の医療機関外で投与可能なレスキュー薬となった。10月22日付で薬価収載される予定。アキュリスが製造販売元として手掛けるが、ヴィアトリス製薬が同剤にどのように関わるか現在検討中だとしている。
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