ノバルティス Diovan米製造工場閉鎖など再編を加速化
公開日時 2014/01/28 03:50
ノバルティスが、主力品の高血圧症治療薬Diovanの特許切れを受け、将来を見据え、スイス国内外の再編を加速化している。
ノバルティス本社は1月21日、スイス国内で、医薬品事業部の従業員500名の削減を行うことを明らかにした。さらに、翌22日には米法人が、ニューヨーク近郊の工場を閉鎖、525人の合理化を行うことが明らかになった。米「ロイター通信」、米医薬専門誌「Fierce Pharma」など複数媒体が報じた。
ノバルティスは、スイスでは医薬品事業部門で本社の支援機能(管理部門など)を中心に500人を削減するが、代わりに抗がん剤開発および新製品展開やジェネリック医薬品(GE)部門、OTC部門などで増員、合計で削減と同数の人員増を図る。欧州での申請済み新薬のなかには、心不全治療薬serelaxinや乾癬治療薬secukinumabなどが控えている。同社ジェネリック医薬品部門のサンドはグラクソスミスクラインの喘息薬AdvairのGEを発売するなどに新たなリソースを投入する考え。OTC部門では、一部OTC製品の製造を米ネブラスカ州リンカーンの工場からスイスのFriburgの向上に移管している。
同社のThomas Boesch氏(人事担当部長)は、「今回の合理化は従来型の経費削減と人員削減を主な目的としたリストラではない。我々はリソースの最適化に集中している」と話している。
同社では、過去、スイス国内での人員削減を発表した際に、バーゼル市内で反対のデモが起きるなどしたため、人員削減は慎重に行っている。そのため、ノバルティスは、早期退職や定年退職などを主にして、実際の解雇をできる限り少なくさせる方針をとり、スイス国内の雇用数15000人の維持を継続したいとしている。
一方、同社の米法人Novartis Pharmaceuticals Corp(NPC)は、1月22日、米ニューヨーク州Suffernにある、工場を閉鎖、525人を削減すると発表した。同工場では、高血圧症治療薬Diovanの生産を行っていた。
NPCでは、「Diovanの特許切れで、我々のポートフォリオは変化、Suffern工場に求められる将来の需要は著しく減少した」と閉鎖の理由を話した。
同工場の閉鎖は今年第2四半期に開始、全ての作業が完了するのは、2016年-2017年になるという。米国での人員削減は、スイス本社が2012年に発表した米国での2000人の削減を行うと発表したものの一環で、主に販売・営業部門や製造部門が対象となっている。