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名古屋大学 NAGOYA HEART Study最終調査報告「作為的な改変は認められない」

公開日時 2014/12/22 03:51

ノバルティスファーマの降圧薬・ディオバン(一般名:バルサルタン)の臨床研究不正をめぐり、名古屋大学公正研究委員会は12月19日、同大で実施された臨床研究「NAGOYA HEART Study」の最終報告をまとめ、「作為的な改変等はなかった」と結論付けた。また、元ノバルティス社員の白橋伸雄被告が解析用データに基づき解析を実施していたが、解析結果は正しく、不正は認められなかったとした。ただし、主要評価項目の定義が変更されていたことや、白橋被告の所属にノバルティスと付記されていないことから、論文の訂正を研究責任者である同大循環器内科教授の室原豊明氏に対して勧告した。


最終報告は、名古屋大医学部附属病院以外の17施設、305症例を対象に追加解析を実施した追加解析を踏まえたものとなった。症例は、▽カルテ、研究の登録WEB入力データ、解析用データの3段階で連結が確認できる、▽カルテの閲覧が可能だった––症例で、外部調査期間による調査を行った。なお、中間報告では、名古屋大学医学部附属病院で研究が行われた141症例について検証されている。


調査によると、カルテに比べ、解析用データでバルサルタン群に有利となる判定があったのは2件(心血管系疾患による死亡、対照群(アムロジピン群)での狭心症の増加)、バルサルタン群に不利となる判定だったのは1件(脳卒中)だった。ただし、これらのイベント評価については、症状があったことや、イベント委員会で判定していることから、いずれも解析データでのイベントの位置づけは、妥当と判断した。血圧値、HbA1c値については、カルテと解析用データから作成した推移が概ね一致していたとした。公正研究委員会はこの結果を踏まえ、「作為的な改変等はなかったと結論した」と明記した。ただし、全1150例中29施設、704例についてはデータの照合ができなかった。心不全による入院はディオバン群で有効性が認められていたが、カルテと解析用データ中のイベントは一致していることが確認されたとした。


試験のデータ収集、実施については、「集計と解析も適正になされたことが確認され、データに恣意的な変更が加えられた形跡はなかった」とし、「データ及び主要な結果は信頼できると結論する」とした。

一方で、主要評価項目である心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術、心不全による入院、心臓突然死)のうち、心不全については、試験実施計画書では、「心不全の発症/悪化による入院、悪化による追加治療」とされていたが、とメイン結果を報告した論文では、「心不全の発症/悪化による入院」に変更されていたとした。ただし、イベント収集、解析、論文の結果は一貫して実施計画書に従って実施されていたとしている。



◎白橋被告が解析を実施も「解析結果正しく不正な操作は認められず」


元ノバルティス社員の白橋伸雄被告の関与については、Webデータにアクセスする権利がないことや、入力記録にもアクセスの事実がないことなどから、カルテから解析用データ作成の間の過程において「同氏の関与はなかった」と結論付けた。白橋被告は、解析用データに基づいた解析を実施していたが、「解析結果が正しいことから、同氏による不正な操作はないことが確認された」とした。


研究資金については、2008~10年度にかけて病態内科学講座循環器内科学分野に3000万円の寄付金がなされていた。一方で、関係教員への事情聴取からは、04~10年の6年間、関係医師への謝金などで年間2000万円程度の支出があったとした。また、CRCやデータマネージメントの職員雇用以外に謝金は発生していないほか、会議も学内で実施しており、会議室使用料等も発生していなかったとしている。
 

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