大正製薬の不眠症薬・ボルズィ錠など新薬5製品を審議へ 7月31日の第一部会で
公開日時 2025/07/25 04:50
厚生労働省は7月31日に薬事審議会・医薬品第一部会を開き、大正製薬の不眠症に対するオレキシン受容体拮抗薬・ボルズィ錠(一般名:ボルノレキサント水和物)など新薬5製品の承認の可否を審議する。このほかの審議予定品目には、帝人ファーマの副甲状腺機能低下症治療薬・ヨビパス皮下注(パロペグテリパラチド)が含まれる。
報告予定品目は2製品。日本イーライリリーの早期アルツハイマー病治療薬・ケサンラについて副作用のアミロイド関連画像異常(ARIA)発現の低減を目指した用法・用量変更などが報告される予定。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ドプテレット錠20mg(アバトロンボパグマレイン酸塩、Swedish Orphan Biovitrum Japan):「持続性及び慢性免疫性血小板減少症」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬。現在の適応は「待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善」であり、今回承認されると、免疫性血小板減少症(ITP)への適応拡大となる。
ITPは、後天性に血小板に対する自己抗体ができることで免疫的な機序によって血小板数が減少し、出血が起こりやすくなる疾患であり、日本においては、年間10万人あたり2.16人が新規に発症すると推計されているという。国内で、慢性ITPの適応を持つTPO受容体作動薬には、レボレード錠、ロミプレート皮下注がある。
▽ボルズィ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg(ボルノレキサント水和物、大正製薬):「不眠症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
オレキシン受容体(OX1およびOX2受容体)拮抗薬。承認されると、不眠症に対するオレキシン受容体拮抗薬としては、ベルソムラ錠、デエビゴ錠、クービビック錠に続く4剤目となる。
大正製薬の承認申請時のプレスリリースによると、不眠症治療薬の課題の1つである「投与翌日の持ち越し効果」の懸念が少ない不眠症治療薬となり得る可能性があるという。
▽セタネオ点眼液0.002%(セペタプロスト、参天製薬):「緑内障、高眼圧症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
FP受容体作動作用に加え、EP3受容体作動作用を有する新規メカニズムのプロスタグランジン系治療薬。既存のFP受容体作動薬を上回る眼圧下降作用を期待して開発された。
▽①マグミット錠100mg、②同錠200mg、③同錠250mg、④同錠330mg、⑤同錠500mg、⑥同細粒83%(酸化マグネシウム、マグミット製薬):「便秘症」を対象疾患とする①新用量・剤形追加に係る医薬品、②~⑥新用量医薬品。
小児用量を追加するもの。100mg錠は新剤形。
▽ヨビパス皮下注168 µgペン、同皮下注294 µgペン、同皮下注420µgペン(パロペグテリパラチド、帝人ファーマ):「副甲状腺機能低下症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
副甲状腺ホルモン(PTH)の徐放性プロドラッグ。対象疾患とする副甲状腺機能低下症は、体内のカルシウムとリン酸のバランスを調整するPTHの不足によって引き起こされる内分泌疾患。
承認されると、1日1回皮下投与することで、24 時間にわたり血中PTH濃度を生理学的範囲に維持できる国内初の薬剤になるといい、根本的な治療薬として期待されている。
デンマークのアセンディス・ファーマ社からの導入品であり、海外では、欧州で23年11月、米国で24年8月に承認されている。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽コセルゴカプセル10mg、同カプセル25mg(セルメチニブ硫酸塩、アレクシオンファーマ):「神経線維腫症1 型における叢状神経線維腫」を対象疾患とする新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
MEK1/2阻害薬。現在、小児に対して承認されており、今回、成人の用量を追加するもの。
▽ケサンラ点滴静注液350mg(ドナネマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」を対象疾患とする新用量医薬品。
抗N3pGアミロイドβ抗体。用法・用量について漸増の方法を変えるもの。副作用のアミロイド関連画像異常(ARIA)の発現を低減させることを目的としている。