厚労省・鈴木医務技監 遠隔診療活用した生活習慣病の管理など18年度診療報酬改定の焦点に

公開日時 2017/09/04 03:52
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厚生労働省の鈴木康裕医務技監は本誌取材に対し、「実質上、2018年度改定は25年に向けて大きな分水嶺になる。生活習慣病の管理、入院医療の評価などが焦点となる」と述べた。超高齢社会の到来に向けて、医療・介護提供体制の構築が求められる中で、24年にも診療報酬・介護報酬の同時改定があるものの、18年度改定は事実上今後の方向性を決定づける。焦点の一つとなる、生活習慣病の管理について鈴木医務技監は、透析への進行抑制や心筋梗塞・脳梗塞の発症抑制が重要との考えを示した。在宅医療の中で、24時間血圧値や血糖値などを把握し、医師が診断する遠隔診療の可能性を指摘。さらに、保健師や管理栄養士を活用したチーム医療を行うことで、効率化が進むと指摘した。また、糖尿病の疾患管理でHbA1c値を指標とした結果(アウトカム)ベースの評価について検討に値するとの考えも示した。


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団塊の世代が75歳以上になる超高齢社会が到来する2025年。しかし、その後は医療現場でも、人口減少の影響が色濃く出ることになる。生産年齢人口の急速な減少に伴って引き起こされる高齢化となる。鈴木医務技監は、「我々が直面する課題は、2025年から40年までの医療・介護ニーズの増加と、その後訪れるニーズの減少という両面に対応することだ。両面に対応できなければ、実際のニーズと医療提供体制がミスマッチを起こしてしまう。それを避けるためのルール、環境作りが一番重要だと考えている」との考えを示した。

こうした中で、診療報酬・介護報酬は、「うまく地域医療の提供体制が変わっていくのをサポートする役割だ。地域医療を振り回すのではなく、変化を下支えする診療報酬でなければならない」と説明。将来起きる生産年齢の急速な減少による人材不足の影響が医療界に及ぶことが予測される中にあって、「医師・看護師など人材をいかに確保していくか。合理的な医療提供体制を構築し、人材を配置することが必要だ」と述べた。

現在は、看護配置7対1に代表されるような急性期病床が過剰な状況にあるが、地域医療構想の策定を通じ、「医療機関の経営者には、データ推計に基づいた将来の姿を見てもらう中で、最終的には理解をしていただけると思っている。それを支える診療報酬・介護報酬でなければならない」と述べた。

医師の負担軽減のための手段のひとつとして、人工知能(AI)や遠隔診療の可能性を示唆し、「画像や通信技術が進歩する中で、使う、使わない、といった神学論争ではなく、むしろ人工知能(AI)を含めた最新技術をどう医療に組み込むかを検討すべきだ」と説明。新型インフルエンザのように、患者が在宅で治療を完結できることにメリットがあるケースもあるとし、「良い遠隔診療、AIの使い方は医療の生産性を向上させる」との考えを示した。


◎HbA1c値などアウトカムに着目した評価も視野



特に、遠隔診療を活用する領域として、生活習慣病をあげた。糖尿病を例にとり、在宅での24時間血圧値や血糖値などの検査値をもとに医師が診断し、保健師や管理栄養士などが生活指導を行うなど、チーム医療を実践することの必要性を強調。これにより、「より効率的で結果(アウトカム)が示せる医療になる。そういう医療を目指す必要があるし、結果に着目した評価を行うことは検討に値する」との考えを示した。

現在の診療報酬は、行為に応じた支払いがなされているが、「一定期間の血圧や血糖値の管理について支払うという結果管理の点数ができれば、その枠内で医師が民間企業や保健師・栄養士を使って管理するという方法も可能になる」との考えを示した。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの疾患は、透析への進展や心筋梗塞・脳梗塞の発症抑制など、重症化や進展を防ぐことが重要であるとし、「早期に介入すれば、重症化や透析への進展などを抑制することもできる。患者にとっても医療費にとっても良いことだ。そういうサイクルを実現できるような評価であることが必要だ」と述べた。


◎高額薬剤問題で「長期収載品と後発医薬品のバランスを考える必要がある」


そのほか、抗がん剤・オプジーボに端を発した高額薬剤問題についても言及。「革新的新薬は評価する一方で、そうではない品目と分別することが必要になる。費用対効果評価を用いて、価値を判断し、それに応じた値付けを行うことが重要だ」と述べた。一方で、「革新的新薬にどう報いるかを考えなければ、新薬が創出されなくなってしまうと考えている」との考えを表明した。国内は、長期収載品比率が高い現状にあることから、「長期収載品と後発医薬品とのバランスを考える必要がある。ただ、急激にシフトすると、長期収載品比率の高い製薬企業の経営に影響する可能性が高い。長期収載品ビジネスモデルからの脱却というメッセージを伝えつつ、ある程度スピードに配慮した改革の断行が必要だ」と述べた。

 

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