製薬協・中山会長 製薬産業はライフサイエンス分野の「水先案内人目指すべき」

公開日時 2018/08/23 03:52
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日本製薬工業協会(製薬協)の中山讓治会長(第一三共代表取締役会長兼CEO)は8月22日、本誌インタビューに応じ、今後の製薬ビジネスの主戦場となるバイオ領域について、「製薬産業が水先案内人のような役割を目指す」と述べ、IT業界など他産業やアカデミアとの協働を前提としてイノベーション創出の突破口を開く考えを示した。中山会長はまた、「製薬産業がライフサイエンス分野のプラットフォームになることが望ましい」と述べ、これを足掛かりに「かなり大きな成長産業を生み出す切り口になる」と期待感を表明した。一方で地域包括ケアの進展に伴う次世代のMRの役割として、治療情報だけでなく、地域の医療システムに貢献するような、いわゆるソリューションビジネスの視点も求められるだろうと見通した。

◎医薬品産業の育成こそライフサイエンス振興 他産業にも光

創薬技術は低分子から高分子、バイオへと大きくシフトしてきている。産業構造もこれまでの自社製品を最大化し、市場を独占するモデルからの転換を求められている。医薬品産業とIT業界、電機業界、革新的技術を有するバイオベンチャーなどと有機的に連携することが必須になる。

中山会長は、「これから医薬品の勝負は半分以上、バイオ領域だ。その世界のドアを開けるのは製薬産業だ」と表明。一方で、「その光を得るほかの産業もたくさんある。明るい未来を創れるのではないか」と述べ、様々な産業がライフサイエンスに参入し、革新的新薬やソリューションを生み出す絵を描いた。「日本でライフサイエンスを振興することは、医薬品産業を幅広い視点で見て、育てていくのと同じこと。製薬産業だけが恩恵を受けるのではなく、ほかの色々な産業が受益して、新しい成長の力をつけていくのだろうと思う」とも述べ、製薬産業が先導してイノベーションを興す絵を描いた。

◎製薬産業の「潜在的な広がり」を国民に発信

そのうえで、「インダストリー(産業)が持っている潜在的な広がりを、国民に発信し、理解してもらいたい。個社の企業の儲けではなく、世の中にどう貢献できるかだ」と述べた。深刻な少子高齢化が到来し、社会保障費、なかでも医療費の伸び抑制に向けた施策が講じられているが、「個別の産業にかかわる問題ではなく、日本社会全体の問題」との考えを表明。「医薬で使われている言葉や概念がスペシフィック(特殊)で、一般的には理解されていない」と述べ、製薬業界から国民へと広くメッセージを発信する決意を示した。

さらに、「日本がライフサイエンスを成長産業に位置付けているのであれば、日本にイノベーティブ(革新的)な技術を持ち込むべき」と主張した。「日本の経済水準を見たら、低リスクは国民自身が負担し、高リスクは医療保険でカバーすることもできるのではないか」との考えを表明。「一番困難な問題を解決するイノベーティブな製品が日本にあることが大事だ」と強調した。

こうしたなかで、製薬産業も「必死になって変化のなかで生き残る時代になった。集合して生き残る時代ではなくなった」と述べ、護送船団方式から脱却する必要性も強調した。中山会長は、「個社のこと」と断ったうえで、「生き残りの軸を決めるのが先決だ。それにプラスとなる選択肢が統合、買収であればそれを選ぶということ」と述べた。

◎「産業を育てるのは優れた市場」 最初に適正な薬価を

産業振興策については、「産業を育てるのは優れた市場だ。そのためには、正しい評価がなされることが重要だ。産業政策の根幹は、薬価で適切な評価がなされること」との見解を表明した。2018年4月に断行された薬価制度抜本改革では、新薬創出等加算の見直しなどがなされたが、「残念ながらイノベーションに対して厳しすぎる。我々が受け入れられる範囲をはるかに超えて切り込みすぎた」との印象を改めて語った。

CAR-T療法など高額薬剤の臨床現場への登場も見込まれる。イノベーションと保険財政とをいかにバランスするかも課題となる。「まだ具体的な答えはないが、最初に適正な価格をつけることがスタートラインだ」との見解を表明。欧米などで広がる成功報酬型については、個社の事例として明言を避けた。

◎19年消費増税 薬価改定は「10月に行うべき」 薬価差依存モデルも見直しを


2019年10月に予定される、消費税率の引上げに伴い、薬価改定も見込まれるが、「19年10月に行うべき。医療機関の負担軽減のために行うのであれば、同じ時期にやるべきだ」と明言した。「根本的に薬価差に依存したシステムがそろそろ限界にきている」との認識を示し、製薬産業だけでなく、医療業界にも発想の転換を求めた。こうした議論の背景に単年度予算があったことも指摘し、少子高齢化と労働人口の減少がクロスする2040年を見据えた政策立案を歓迎する一幕もあった。

◎地域包括ケアシステム時代のMR “MR+α”で地域に貢献を

地域包括ケアシステム時代のMR像については、「医療を知り、広く疾患の知識を持ち、MR+αの仕事ができるひとが、地域の医療システムに貢献し、評価されるということだろう」と述べた。さらに、患者への治療選択肢が医薬品や医療機器だけでなく医療・介護サービス、アプリなどソリューションへと広がるなかで、「サービスとして医療を見たら、それ自体もソリューションだ」との考えを表明。将来的にはMR活動もソリューション的な物へと変化するとの見方を示した。
 

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