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糖尿病患者支援団体・日本IDDM ふるさと納税活用し佐賀大などに研究費助成 

公開日時 2019/07/03 03:53
1型糖尿病の患者や家族を支援する認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク(本部:佐賀県佐賀市)では、同疾患をめぐる研究に対し2005年度以降、合わせて3億円余りの研究助成を行っている。助成金の原資として大きな割合を占めているのは、ふるさと納税だ。使途としてNPOの支援を選択できる佐賀県の制度を活用している。大学をめぐっては、運営費交付金の減額で、多くの研究者が研究資金の獲得に苦しんでいる。こうしたなか、患者団体が自ら研究資金を集め、疾患に役立つ研究に助成するという手法は、新たな研究のあり方として注目を集めそうだ。

6月17日、佐賀大学で研究助成金の贈呈式が行われた。助成対象は、糖尿病をめぐる2件の研究。▽糖尿病発症の原因ウイルスを特定して、ワクチン開発の研究を進める肝臓・糖尿病・内分泌内科の永淵正法特任教授らに1000万円、▽災害時に糖尿病患者を支援するアプリを開発している高度救命救急センターの坂本雄一郎教授らに320万円がそれぞれ助成された。(写真提供:佐賀大学)

実は同ネットワークでは、こうした研究助成を2005年以降、切れ目なく行っている。対象となった研究は合わせて61件、総額は3億500万円に上る。このうちふるさと納税で集めたのは約2億円。寄付額の約95%が、指定したNPOに交付される佐賀県の制度を活用してきた。

同ネットワークの岩永幸三事務局長は、「ふるさと納税でNPOに寄付できる自治体はめずらしい。佐賀大学の研究は専門家の評価も高いことから、佐賀県に本部を置くNPOとして応援したいと思った」と話す。これに対し永淵特任教授は、「こうした動きがあることは驚きで、ありがたく思っている。研究に大きな責任が生じたと感じている」と話している。

同ネットワークでは、佐賀大学に対し、今回助成した分を含め計3件、3420万円の助成を行ってきた。だが、地元大学だからと無条件に助成を行っているわけではない。対象となる研究は、公募をかけたうえで、審査会で決めている。委員を務めるのは、研究者や専門医、それに患者家族で、最終的な決定は患者家族が行っているという。このため、これまで助成を行ってきた対象者は、徳島大学や京都府立大学、国立がん研究センターなど全国各地の研究者だ。

◎大学等の研究機関 資金獲得方策が近年多岐に

研究者側からみても、患者支援団体から研究費が助成されることは、大きな意味を持つ。助成を受けた永淵特任教授は、「大学に対する運営費交付金が減額され、多くの研究者が研究資金として自腹を切るなど苦しんでいる」と打ち明ける。

こうした問題を背景に、近年では、大学の研究者が基金を設立して寄付を募ったり、クラウドファンディングを活用して、研究資金や研究拠点の建設費用を集めたりといった事例が相次いでいる。

内閣府の科学技術イノベーションの基盤的な力に関するワーキンググループの資料でも、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授が、趣味のマラソンを通じてオンライン寄付を呼び掛けた事例などを紹介。「大学等自らが研究資金の獲得にクラウドファンディングを活用する事例も現れており、国としても大学等によるこのような外部資金獲得に向けた取組みを促進する方策を検討すべき」と指摘している。さらには、「研究内容がアウトリーチされることで理解が促進し、存在感が向上することで、研究者を目指す若年層を拡大する効果」も期待できるとして、意義を強調している。



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