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【ASH速報】CaVenT DVT治療でカテーテル血栓溶解療法追加で血栓後症候群を有意に低下

公開日時 2011/12/19 06:01

 

急性大腿深部静脈血栓症(DVT)患者に対し、経口抗凝固薬と弾性ストッキングによる標準治療に、カテーテル血栓溶解療法(CDT)を加えることで、24カ月後の血栓後症候群(PTS)の発生率を有意に低下できることが明らかになった。無作為化臨床試験「CaVenT」の結果から示された。

大腿深部静脈血栓症に対するCDT追加療法の臨床転帰を検討した無作為化臨床試験はこれが初めて。6カ月後の血管開通性が増加することも報告された。ノルウェー・オスロー大のTone Enden氏が、米サンディエゴで開催された第53回米国血液学会(ASH)年次学会のレイト・ブレイキング・アブストラクト・セッションで、13日報告した。


急性近位深部静脈血栓症は、抗凝固薬と弾性ストッキングによる標準治療後も、患者の約4分の1にPTSのリスクがあるとされる。CDTはカテーテルを静脈に挿入し、X線画像に従い血栓溶解剤を直接血栓に投与する低侵襲的な治療法である。血栓除去を促進するCDTの併用は静脈不全と閉塞を改善させ、その結果PTSを削減できると期待されているが、一方で医療コストが高いことや、重篤な出血リスクへの懸念がある。


研究グループは、2006~09年にノルウェーの病院20施設で、症状発現から21日未満の急性大腿深部静脈血栓症(DVT)の初発患者209例を登録。①低分子量ヘパリンとワルファリンによる抗凝固薬療法(INR 2.0 – 3.0、6ヶ月)と、弾性ストッキング(圧迫力クラスII、24ヶ月)による標準治療群108例②標準治療にCDT(アルテプラーゼ 0.01 mg/kg/h、最高20 mg/24時間、最高96時間)を追加する被験者群(101例)――の2群に無作為に分け追跡した。追跡では、患者評価と医師評価から構成されるVillaltaスケールと、静脈部の超音波検査、エアープレチスモグラフィーが使用された。


主要評価項目は24カ月後のPTSと、6カ月後の大腿開通性の2項目を設定。最終的に解析対象となったのは、標準治療群が99例、CDT追加群が90例だった。


患者特性は、年齢が標準治療群で50.0歳、CDT追加群が53.3歳、女性はそれぞれ38.4%、35.6%、症候期間それぞれ6.8日、6.4日、左側DVTがそれぞれ61.6%、60.0%など。またリスク要因を3項目以上有する割合は、標準治療群が14.1%、CDT追加群11.1%で、両群とも約3割は、リスク要因が0項目に分類された。


24カ月後の時点で、標準治療群の50.0%とCDT追加群の65.4%が抗凝固薬を使用、それぞれ51.5%と63.3%が弾性ストッキングを着用しており、統計的有意差はないものの、CDT追加群でコンプライアンスが高い傾向が見られた。また、標準治療群18.2%とCDT追加群の11.1%が静脈血栓症を再発した。


CDT追加群での治療期間は平均2.4日間で、100%血栓が溶解したのは47.8%、部分的ではあるものの溶解が成功したと見なされたのは(50~99%の溶解)41.1%であった。



◎大腿開通性が得られた被験者で有意にOTSの発生率低く


解析の結果、24カ月後のPTSは標準治療群が55.6%だったのに対しCDT追加群は41.1%で、CDT追加群で有意に低いことがわかった(p=0.047)。NNT(治療必要例数)は7人。CDT群でのPTSの割合は、血栓溶解が100%成功と部分成功、不成功の被験者の間で差はなかった。


6カ月後の大腿開通性では、標準治療群が47.4%だったのに対しCDT追加群は65.9%で、CDT追加群が有意に高かった(p=0.012)。


また、6ヵ月後に大腿開通性が得られた被験者と、再開通が不十分だった被験者とで、24カ月後のPTSを比較した結果、再開通が不十分な被験者が61.3%だったのに対し、開通した被験者では36.9%で(p=0.001)、PTSの予防には再開通が重要であることが浮き彫りとなった。


一方、副次評価項目の6カ月後のPTSでは両群間に有意差はなかった(標準治療群32.2%、CDT追加群30.3%、p=0.77)。


CDT追加群では、2週間でCDT関連の出血例が20例発生した。そのうち5例が臨床的に重要とされた(3例が大出血)。しかし致死的なものや肺塞栓症、脳出血など、永続的な障害を及ぼすものではなかった。標準治療群では出血はなかった。


Enden氏はこれらの結果から、「CDTが近位DVT患者の長期転帰を向上した」と結論づけた。その上で、「急性大腿DVT患者におけるCDTの利用を検討すべきであり、ガイドライン改定の際にこれらの結果が考慮されるべきである」とした。また、現在米国で進行中のATTRACT試験と同試験の結果が、重度DVT治療におけるエビデンス確立に大きく貢献するだろうとまとめた。

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