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高知医療センター

公開日時 2007/10/31 00:00

田中 照夫 薬剤局長

病院data

・病床数 632床
・1日患者数
 初診 94人
 再来 189人
 入院 480人
・院外処方率 88%
・採用品目数
 院内 154品目
 院外 271品目
 うち後発品採用率
  品目ベース 66%
  金額ベース 25%
・平均在院日数 14.2日
・紹介率 53%

16項目評価指標の導入で
薬剤業務の効率化を図る

 

●県と市の統合施設

 旧高知県立中央病院と旧高知市民病院がそれぞれ施設更新の検討をしたなかで、県と市の施設を統合し整備して運営する方が、機能の充実化や医療サービスの向上につながることから、高知県の高度医療を担う基幹施設として整備されたのが高知医療センターだ。県内医療の「最後の砦」とされ、がん、循環器病、地域医療、総合周産期母子医療の5つのセンターを持つなど、医療機能やアメニティ施設が充実した最先端施設として知られている。例えば、1階のエントランスホールにはホテルで使用されるような気品あふれるソファがあり、そこに腰掛けてグランドピアノから流れる自動演奏による心地よいBGMを聞きながらくつろぐことができる。さらに、コンビニエンスストアーやコーヒーショップなどもテナントとして入居し、患者の利便性に配慮している。
 同センターは県と市の施設を兼ねるため、高知県・高知市病院企業団が主体となって運営する。病院施設の運営に関しては民間活力を生かす目的でPFI(Private Finance Initiative)が導入された国内初の施設として、さまざまな面で先進的な取り組みがされている。

 

●見える臨床薬剤師

 薬剤局は統合当初21人でスタート。局長は公募制のなかから高知大学医学部附属病院の副薬剤長を10年経た田中氏が就任し、以来臨床薬剤師の育成に注力している。開院時から薬剤師の増員を図り、現在は26人体制。
 薬剤局が掲げる院内での役割は①服薬指導②医薬品全般にわたるリスクマネジメント③医薬品の適正使用④薬歴管理――などを掲げ、臨床薬剤師としてチーム医療に積極的に加わり、「患者主人公」の病院の実現に取り組んでいる。
 病棟薬剤師は7フロアーに1人配置する。また、救急救命センターにも緊急時に処置に備えて専任薬剤師を常駐させているが、全国的に数少ないケースで注目を集めている。
 「救急救命センター長と話し合いを重ねながら、薬剤師としてどのようにチーム医療に貢献するのかを考えてプランを練ってきました。担当の薬剤師は緊急医療に求められる臨床薬剤業務を臨床現場の視点から考察し、役割を考えていきましたが、何度もセンター長と話し合いを重ねてシステム化を図ってきた経緯があり、とても大変だったかもしれません。こういう経験を通して、徐々に実力をつけてきているのではないかと思います。」
 田中氏は「見える臨床薬剤師」を目指して、就任から薬剤局内の改善を実施してきた。その取り組みの一環が行動の数値化だ。「より信頼され、より親しまれる薬学的ケアを実践するためには、薬剤局内とともに局外からもその行動が可視化できることが望ましい」
 そこで「薬歴管理」「安全性・適正使用」「服薬指導」など病棟の業務についてできる限り数値化するように評価指標を設定している。
 評価指標は①薬剤管理指導算定件数②患者からの相談件数③高リスク医薬品等の薬歴管理件数④持参薬登録件数⑤医薬品インシデント対応件数⑥副作用収集件数⑦プレアボイド件数⑧医薬品情報提供件数⑨TDM件数⑩薬品管理(麻薬・向精神薬・毒薬)件数などの16項目からなる。これらの指標は毎日エクセルを活用した共通フォーマットに登録し、病棟間の1年間のデータを比較検討し、業務改善などにつなげている。
 さらに、電子カルテについても独自の薬剤管理支援システムを付加し、患者の服薬管理に役立てている。同システムはモニター上に患者一覧が表示され、患者が服用する薬剤の用法・用量やその変更をはじめ、薬剤変更などについても瞬時に把握できるようになっている。この情報をベースに病棟薬剤師は患者の薬物管理を実施している。

 

●新規入院に挨拶状

患者のアメニティを重視。最新設備も多く備える
 服薬指導では、新規入院が発生すると病棟薬剤師は挨拶状を持って患者を訪問して、円滑にコミュニケーションを図るように配慮している。挨拶状は定型文章化されたものだが、担当する3人の薬剤師名が記載されている。1薬剤師あたりの1日の平均指導件数は10~20件、全体では月平均1200件ほどで、入院患者の70%をほぼカバーする。
 専門薬剤師は、がん薬物療法認定薬剤師と感染制御専門薬剤師がそれぞれ2人ずつ準備中で、論文を作成している。
 「チーム医療が重視されるなかで、薬剤師は日々医師や看護師などから薬物治療において相談を受けることが多くなってきています。抗菌薬のTDM解析はすべての薬剤師が実践できるようにし、全病棟で対応が可能になっています」

 

●GEは注射薬から着手

 採用品目数は統合前の準備室の段階で1964品目。1年間かけて1707品目まで削減した。開院後も削減を進め、現在は1504品目となった。来年4月に導入予定のDPCを踏まえて、今後の採用品目についても検討していく考え。GEは注射薬から着手する予定で、11~12月にかけて選定を討議し、1月の切り替えを念頭に置く。GEメーカーの選定では納入実績を重視する考え。
 薬事委員会は2ヵ月にごとの開催。委員長は薬局長が務め、委員は医師8人、薬剤師2人、看護師2人、事務職2人の構成だ。新薬でもARBやCa拮抗薬などのように類似薬が多くある薬剤はすぐに採用せずに、発売から6ヵ月ほど経過を見て採用するようにしている。
 MRの訪問規制については、医局が月~金までの16~18時、薬剤局は14~17時。各社週2回程度、訪問者は原則1人と厳しい。またMR活動をするには同施設が発行するICカードを携行する必要があり、同カードはMR活動を許可された製薬企業に実費で発行される。

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