東京地裁 国内後発メーカーに勝訴判決
公開日時 2003/02/02 23:00
大洋薬品工業など国内後発品メーカー6社が製造したH2受容体拮抗剤は「ファモチジン」結晶を原薬として使用したことが特許権の侵害に当たるとして、ハンガリー・ゲデオンリヒター社が6社に対し製造差し止めなどを求めた訴訟で東京地裁(飯村敏明裁判長)は1月31日、ゲデオン社の訴えを棄却した。原告が特許を主張する「B型」ファモチジンを100%含まないことがその理由で、被告後発6社の全面勝訴。判決によると、大洋薬品は02年3月、山之内製薬の「ガスター錠」の後発品として「ガスポート錠」を承認申請。他5社も同時期に、同様の申請をした。ゲデオン社はこれら後発品について、同社が86年に特許出願したファモチジンを使用しているとして、02年3月から4月にかけて6社に対し順次、製造・販売の差し止めと破棄を求めていた。判決は、「発明はA型ファモチジンを含まない純粋なB型ファモチジンに関するもので、混合物は含まれない」として、「後発品は純正B型」でないとする被告の主張を採用した。また、被告側は、山之内製薬が85年7月にすでにB型ファモチジン製剤のガスターを販売していることからヨーロッパ特許庁が97年、特許性を否定する中間決定をしたと指摘したが、判決ではこのことには踏み込まなかった。判決について被告側代理人の花岡巌弁護士は、「非侵害の結論は歓迎するが、本件発明はすでにヨーロッパ特許庁でその特許性が否定されており、理論的には不必要だったもののその点についても判断してほしかった」とコメント。一方、原告側代理人の弁護士事務所は、「弁護士は不在」との理由で取材に応じていないが、関係筋の話では控訴の意向という。