胃潰瘍治療を考える会 ガイドライン出版を問題視
公開日時 2003/12/09 23:00
厚生労働省に設置された研究班で、胃潰瘍治療ガイドライン(GL)を作成した
独協医大病院の寺野彰院長ら7人は12月8日、検討が不十分なままに同GLが冊
子として出版されたことで医療現場に混乱を招いているとし、同省にその問題
点を指摘した「意見書」を提出した。GLの内容が防御因子増強薬をエビデンス
に乏しいとして不当に低く評価したり、臨床実態に即していないなどと強調。
これを基に消化性潰瘍剤の医薬品再評価を実施する動きがあることに対し、GL
にとらわれることなく実施するよう求めた。
寺野氏らで組織した「胃潰瘍治療を考える会」は同日記者会見し、今回出版さ
れたGLは(1)日本人の病態(酸分泌や胃潰瘍の発生部位)が欧米と異なるに
もかかわらずエビデンスの多くを欧米論文に依拠している(2)防御因子製剤
へのバイアスが強すぎる(3)NSAIDS潰瘍の予防に高用量のH2受容体拮抗剤を
推奨するなど、日常診療とかけ離れている―などを訴えた。さらに冊子(じほ
う社刊)の表紙に「日本消化器病学会推薦」と明記されていることについても、
「学会で一度も論議されたことがない」と問題視した。
寺野氏は研究班のメンバーだったが、「報告書の段階ならよかったが、一般に
流布すべき時期ではなかった」と述べている。