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新薬8製品が薬価収載 再発又は難治性の多発性骨髄腫治療薬・タービーは即日発売

公開日時 2025/08/15 04:50
新薬8製品が8月14日に薬価収載された。このうちヤンセンファーマの再発又は難治性の多発性骨髄腫に対するGPRC5DとCD3を標的とする二重特異性抗体・タービー皮下注(一般名:トアルクエタマブ)は即日発売した。同剤はピーク時に、投与患者数886人、売上256億円と予想されている。

ピーク時売上が544億円と予想されたMSDの肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬・エアウィン皮下注用(ソタテルセプト)や、ピーク時に404億円と予想された同じくMSDの腎細胞がん及びVHL病関連腫瘍に対する経口HIF-2α阻害剤・ウェリレグ錠(ベルズチファン)の発売日について、MSD広報部門は本誌取材に、「発売準備中につき、現時点では未定」とコメントした。

薬価収載された新薬8製品の発売日(予定、未定含む)は次のとおり。カッコ内は成分名、製造販売元。発売日、及び薬効分類/投与経路順に記載。

【8月14日発売】
タービー皮下注3mg、同皮下注40mg(トアルクエタマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ)
薬効分類429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)
薬価:
3mg1.5mL1瓶 14万6284円
40mg1mL1瓶 187万9962円(1日薬価:13万4283円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数886人、販売金額256億円

ファーストインクラスのGタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD(GPRC5D)/CD3を標的とする二重特異性抗体。初回の導入期後は、週1回もしくは隔週に1回の皮下投与で用いる。承認申請は、第1/2相MonumenTAL-1試験等の結果に基づいており、第2相では、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬、抗CD38抗体製剤を含む3つ以上の治療歴を有する患者が対象となった。

国内で再発/難治性の多発性骨髄腫(MM)に対して承認されている二重特異性抗体には、ファイザーのエルレフィオ皮下注と、ヤンセンファーマのテクベイリ皮下注があり、これらはB細胞成熟抗原(BCMA)とCD3を標的としている。また、国内で承認されている再発/難治性MMに対するCAR-T細胞療法(アベクマ、カービクティ)もBCMAを標的としている。タービーは、CD3とともに、BCMAとは異なる新規のGPRC5Dを標的とする。

【発売準備中/発売日未定/非開示】
ベルスピティ錠2mg(エトラシモド L-アルギニン、ファイザー)
薬効分類239 その他の消化器官用薬(内用薬)
効能・効果:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)
薬価:2mg1錠 4792.80円(1日薬価:4792.80円)
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数8.3千人、販売金額143億円

経口スフィンゴシン 1-リン酸(S1P)受容体調節薬。リンパ球上のS1P受容体に作用することで、末梢リンパ組織内にリンパ球が保持され、循環血中のリンパ球数が減少することにより、自己免疫疾患である潰瘍性大腸炎(UC)に対し治療効果を示すことが期待されている。ベルスピティは、S1P受容体サブタイプ1、4、5に対して選択的に活性を示すよう設計されている。用法・用量は「通常、成人には2mgを1日1回経口投与する」。

国内では、経口S1P受容体調節薬として、ブリストル・マイヤーズスクイブのゼポジアが24年12月に同じ「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)」の効能・効果で承認されている。

リアルダ錠600mg(メサラジン、持田製薬)
薬効分類239 その他の消化器官用薬(内用薬)
効能・効果:潰瘍性大腸炎(重症を除く)
薬価:600mg1錠 96.10円(1日薬価:384.40円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数0.8千人、販売金額1.0億円

5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤)。リアルダ錠600mgは、小児用量が追加されたことに合わせて、従来のリアルダ錠1200mgより小型で、体重に応じて投与量を柔軟に選択できる製剤として開発された。

小児の用法・用量は「通常、体重23kg超の小児には1日1回40mg/kgを食後経口投与するが、2400mgを上限とする。活動期は、通常、体重23kg超の小児には1日1回80mg/kgを食後経口投与するが、4800mgを上限とし、患者の状態により適宜減量する」。

ウェリレグ錠40mg(ベルズチファン、MSD)
薬効分類429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:フォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍、がん化学療法後に増悪した根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、
薬価:40mg1錠 2万1916.80円
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数1.9千人、販売金額404億円

ファーストインクラスの経口低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)阻害剤。用法・用量は、2つの適応共通で「通常、成人には、1日1回120mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。

がん細胞においてフォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)蛋白質の機能が喪失している状態において、ベルズチファンは、HIF-2αとHIF-1βのヘテロ二量体形成を選択的に阻害する。その結果、血管新生・増殖および腫瘍代謝に関連する低酸素下で誘導される遺伝子の転写を阻害することで抗腫瘍効果を示す。VHL病は、VHL遺伝子変異によって腫瘍が引き起こされる難治性の希少疾患で、国内推定患者数は600~1000人。

腎細胞がん(RCC)は腎臓がんの約9割を占める。19年には約2万1000人が新たに腎臓がん(腎盂がん除く)と診断された。RCCでの承認申請は、PD-1またはPD-L1阻害剤とVEGFR-TKIを逐次または同時に用いた治療後に進行した患者を対象とした第3相LITESPARK-005試験に基づく。主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)で、対照薬のmTOR阻害剤・アフィニトールに統計学的有意差を示した。

なお、国内では、RCCの1次治療として、キイトルーダやオプジーボ、バベンチオの併用療法などが承認されている。ウェリレグは2次治療以降での使用が想定されている。

アネレム静注用20mg(レミマゾラムベシル酸塩、ムンディファーマ)
薬効分類111 全身麻酔剤(注射薬)
効能・効果:全身麻酔の導入及び維持、消化器内視鏡診療時の鎮静
薬価:20mg1瓶 1540円
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数272万人、販売金額44億円

短時間作用型のベンゾジアゼピン系麻酔・鎮静薬。新効能であり、ベンゾジアゼピン系薬剤では国内初の適応となる「消化器内視鏡診療時の鎮静」の用法・用量は、「通常、成人には、3mgを、15秒以上かけて静脈内投与する。効果が不十分な場合は、少なくとも2分以上の間隔を空けて、1mgずつ15秒以上かけて静脈内投与する。なお、患者の年齢、体重等を考慮し、適切な鎮静深度が得られるよう、投与量を適宜減量する」。

アネレムの50mg製剤は20年1月に「全身麻酔の導入及び維持」の効能・効果で承認された。その後、23年9月に、50mg製剤に「消化器内視鏡診療時の鎮静」の新効能を追加すること、さらに追加剤形の20mg製剤について、「全身麻酔の導入及び維持」及び「消化器内視鏡診療時の鎮静」の効能・効果で承認申請された。

エアウィン皮下注用45mg、同60mg(ソタテルセプト(遺伝子組換え)、MSD)
薬効分類219 その他の循環器官用薬(注射薬)
効能・効果:肺動脈性肺高血圧症
薬価:
45mg1瓶 108万2630円
60mg1瓶 144万1677円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数2.8千人、販売金額544億円

肺動脈性肺高血圧症(PAH)の根本原因を標的とするアクチビンシグナル伝達阻害薬。PAHの本態である肺血管リモデリングを標的とし、主にアクチビンAと結合し細胞増殖を促進するアクチビンシグナル伝達を阻害することで、シグナル伝達のバランスを改善し、肺血管平滑筋細胞の増殖を抑制し血行動態を改善する。

用法・用量は「通常、成人には初回に0.3mg/kgを投与し、2回目以降は0.7mg/kgに増量し、3週間ごとに皮下投与する」。

ポムビリティ点滴静注用105mg(シパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、アミカス・セラピューティクス)
薬効分類:395 酵素製剤(注射薬)
効能・効果:遅発型ポンペ病に対するミグルスタットとの併用療法
薬価:105mg1瓶 20万4251円(1日薬価:13万8946円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数30人、販売金額16億円

オプフォルダカプセル65mg(ミグルスタット、アミカス・セラピューティクス)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:遅発型ポンペ病に対するシパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)との併用療法」
薬価:65mg1カプセル 6038.20円(1日薬価:1725.20円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数30人、販売金額0.19億円

遅発型ポンペ病に対し、細胞への酵素の取り込みを向上させた酵素補充療法薬・ポムビリティと酵素安定化剤・オプフォルダを併用する。

ポンペ病(糖原病II型)は、リソソーム中のグリコーゲン分解酵素である酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の遺伝子変異によって生じる常染色体劣性遺伝性疾患。病型は、臨床所見や発症年齢により乳児型、遅発型(小児型、成人型)に分類される。遅発型では近位筋筋力低下、呼吸筋筋力低下、高CK血症、翼状肩甲などが認められる。

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