がん学会 中外製薬のエポジンががん化学療法に伴う貧血を改善
公開日時 2006/10/01 23:00
日本癌(がん)学会学術総会では、がん化学療法に伴う貧血改善の適応取得を
目指し、中外製薬が国内で承認申請中の「エポジン」の効果や安全性を調べた
臨床試験の結果が発表された。プラセボ対照二重盲検比較試験で、化学療法施
行中の肺がん患者、リンパ腫患者への投与で、貧血改善、貧血症状の悪化抑制
効果が認められ、有害事象の頻度が低かった。国立がんセンター中央病院・血
液内科の渡辺隆氏が報告した。
試験はエポジンまたはプラセボを週1回、8週間皮下投与し、Hb(ヘモグロビ
ン)濃度変化量やQOL、赤血球輸血率、有害事象の発現頻度をプラセボと比較
したもの。122例が登録され、有効性は117例、安全性は120例で評価した。
Hb濃度変化量はエポジン(E)群1.4g/dl、プラセボ(P)群-0.8g/dlで、E
群で有意な増加が認められた。疲れの指標であるFSSの変化量はE群-0.5、P
群-4.5で、E群で有意な低下抑制を示した。
赤血球輸血率は差がなかったが、投与4週間後以降に輸血を施行またはHb濃度
8g/dl未満になった患者の割合は、E群で16.1%、P群で32.1%で、E群で有
意に低かった。一方、因果関係の否定できない有害事象は、E群27.4%、P群19.
0%で、E群で高血圧、LDH(乳酸脱水素酵素)増加が多く、1例にグレード3
の肝酵素上昇、腹痛が認められた。