MEK阻害剤 フェーズ1試験で忍容性を確認
公開日時 2006/11/09 23:00
【チェコ・プラハ=小沼紀子】米Array BioPharma社が開発中の分子標的薬「A
ZD6244」(ARRY-142886)のフェーズ1試験の結果が、11月7日から10日まで
チェコ・プラハで開かれている「第18回EORTC-NCI-AACRシンポジウム」で発表
された。AZD6244はMEK阻害剤という新タイプの低分子抗がん剤で、04年3月に
米FDAからフェーズ1開始の許可を得て、同年6月から試験をスタートした。
現在進行性固形がんを対象にフェーズ2を進めている。
米メイヨークリニック、米コロラド大学ヘルスサイエンスセンター、米フォッ
クスチェイスがんセンターの3施設が共同実施した試験。2つの試験が実施さ
れ、PartAでは最大耐用量を調べた結果(23例が登録)、100mgで忍容性を示し
た。PartBでは34例(メラノーマ、乳がん、結腸直腸がんを含む進行性でメラ
ノーマ40%)が登録され、隔日・28日間サイクルで100、200mgを無作為に投与
した結果、高用量では副作用の発現が多く見られたが、低用量で忍容性を示し
た。
臨床効果を見ると、両試験に参加した57例のうち39例が少なくとも1サイクル
の治療を終了し、2サイクルの治療を終えた19例(49%)がSD(安定)で、9
例(メラノーマ6例、乳がん、非小細胞肺がん、甲状腺髄様がん各々1例)は
5ヵ月以上にわたってSD状態が続いた。うち2例(甲状腺髄様がん、メラノー
マ)では1年後まで治療が続けられた。
一方、副作用の発現率は最も多かったのは下痢で51.6%(全てグレード1)、
吐き気が45.2%(グレード1~3)、末梢浮腫が29.0%(同1~3)、疲労が
25.8%(同1~2)で、グレード4は報告されていない。
MEKは細胞増殖因子が細胞の受容体に結合し、細胞増殖シグナル伝達経路にあ
るリン酸化酵素で、この働きを阻害することでシグナル伝達を遮断し、細胞増
殖抑制作用を示すことが期待されている。