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IQVIA 国内市場の29年度までの5年平均成長率は2.1% イノベーション評価を軸に緩やかな成長続く

公開日時 2025/06/25 04:52
IQVIAジャパンは6月24日のメディアセミナーで、国内の医療用医薬品市場(ワクチンや検査キット除く)の2025~2029年度の5年間の年平均成長率(CAGR)が2.1%になるとの市場予測を発表した。毎年改定を受けながらも、新薬のイノベーション評価を軸に、緩やかな成長が続くと分析した。24年度までの5年CAGRは1.2%だったため、今後5年間はこれまでより市場成長率が高まるようだ。一方、国別の医療用医薬品市場シェアを見ると、日本は24年にドイツにも抜かれて4位に後退。スペシャリティ医薬品とのカテゴリーでも4位に後退し、直近5年間で50品目が1回以上の市場拡大再算定を受けたことなどが大きく影響した。

◎29年度の国内市場12兆2800億円に 5年間で1兆1990億円増加

日本の医療用医薬品市場(ワクチンや検査キット除く)は29年度に12兆2800億円となり、24年度の11兆810億円から、5年間で計1兆1990億円伸びると予測された。5年CAGRは2.1%となる。

◎特許品と上市見込み新薬で計3.6兆円押し上げ 長期収載品で2.6兆円減少

今後5年間の1兆円以上の市場拡大について、特許品や長期収載品などのセグメント別に市場に与える影響額(=増減額)を見てみると、▽24年度より以前の「既存特許品」はプラス2兆2259億円、▽25~29年度に上市見込みの新薬はプラス1兆3920億円――で、既存特許品と上市見込み新薬で計3.6兆円、市場を押し上げると分析された。25~29年度に上市見込みの後発品は4200億円の市場規模になり、「その他収載品」もプラス964億円が見込まれるとした。

これに対し、「既存LLP(長期収載品)」はマイナス9927億円、25~29年度に特許切れを迎える「新LLP」はマイナス1兆6643億円、「既存後発品」はマイナス2779億円――との市場縮小が見込まれると分析。長期収載品市場は計2.6兆円減少することになる。

同社Thought Leadershipマネジャーの高山莉理子氏は、「市場全体で見ると日本市場は低成長に見えるかもしれないが、中身を見ると、イノベーションによるダイナミクスが期待されるため、決してフラットではない」と説明した。

◎25年度改定 長期品▲10% 基礎的医薬品など「その他収載品」は+3.2% 「メリハリある改定になった」

同社は25年4月の中間年改定の影響分析も公表した。25年4月改定は全体でマイナス2.3%と、これまでの中間年改定と比べて影響が緩和された。しかし、カテゴリー別に見ると、「加算品」や「再算定品」は影響がなかった一方で、「通常特許品」はマイナス3.9%、「長期収載品」はマイナス10.6%となり、いずれも前回23年4月の中間年改定よりも影響幅が大きかった。具体的には、「通常特許品」は1.0ポイント、「長期収載品」は2.9ポイント――それぞれマイナス影響が大きく出た。

なお、「ジェネリック」はマイナス5.1%(23年4月改定はマイナス7.6%)、基礎的医薬品などの「その他収載品」はプラス3.2%(同プラス2.5%)――だった。25年4月改定における最低薬価の引上げや不採算品再算定の適用が背景にあるとみられる。

高山氏は、「もともとイノベーションと安定供給に焦点を当てた改定だったこともあり、セグメントごとに差をつけたメリハリのある改定になった」と振り返った。

◎24年の国別の医療用医薬新市場 日本は4位転落 「毎年改定や市場拡大再算定が影響」

同社はこの日、24年の医療用医薬品市場(ワクチンなど含む)における国別シェアで日本は4.08%となり、世界4位に落ちたことも明らかにした。米国(48.8%)、中国(10.1%)、ドイツ(4.14%)に次ぐ順位となる。日本の24年までの5年CAGRは1.5%にとどまり、グローバル平均の8.0%を大きく下回り、主要10カ国の中でも最も低い水準だった。

同社のThought Leadershipシニアディレクターのアラン・トーマス氏は「毎年の薬価改定や市場拡大再算定の対象拡大が市場シェアの低下にかなり大きな影響を及ぼしている」と解説した。

なお、5年ごとの世界の医療用医薬品市場の国別シェアを見ると、日本は09年時点で10.8%と、米国に次ぐ世界2位だった。その後14年には10%を下回り、19年には5.6%で中国に抜かれて世界3位になった。今後の見通しでは世界4位は維持しつつも、25年に4%を割り込むなどシェア低下が続く見通しだという。

◎スペシャリティ薬の市場規模も4位転落 「5年間で50品目が1回以上の市場拡大再算定」

24年の世界における日本の医療用医薬品市場をセグメント別に見てみると、「ブランド医薬品市場」や、20~24年の5年間に上市された新規有効成分の医薬品(NAS新薬)市場は、米国に次ぐ世界2位の規模をキープ。一方で、スペシャリティ医薬品市場とバイオ医薬品市場はいずれも米国、ドイツ、フランスに次ぐ世界4位に順位を下げた。

トーマス氏はこの要因に市場拡大再算定やドラッグ・ラグ/ロスを挙げ、「スペシャリティ医薬品市場では、過去5年間で50品目が1回以上の市場拡大再算定を受けている。また、ラグ/ロスによって日本ではアクセスできないスペシャリティ医薬品が多いという傾向もマイナスに働いた」と説明した。スペシャリティ医薬品と重複する製品が多いバイオ医薬品市場でも同様の影響が及んだようだ。

ただ、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の米国・ワシントン事務所開設や政府によるドラッグ・ラグ/ロス対策、イノベーションを評価する施策などは評価し、「患者さんへのアクセスを広げるという意味では非常に前向きに捉えられており、今後も継続されることが望まれる」とも話した。
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