塩野義製薬 中計目標大幅減額で釈明
公開日時 2007/04/05 23:00
塩野義製薬の塩野元三社長は4月5日のアナリスト説明会で、4日に発表した
第2次中期経営計画(05~09年度)の最終年度の業績目標の修正理由を説明。
売上高を350億円、営業利益を180億円減額した背景として、抗生物質市場の成
長鈍化や新製品へのディテール集中による既存品への影響、さらに導入予定品
の交渉が不調に終わったことなどが大きく響いたことを明らかにした。
売上の減額分350億円の内訳は、医療用医薬品が375億円減、それ以外が25億円
増。このうち医療用医薬品の内訳は▽既存品抗生物質(111億円減)▽既存品
その他(175億円減)▽新製品(48億円増、クレストール、フェニバックス、
アベロックスなど)▽導入予定品(137億円減)――。
抗生物質の減額理由として、フロモックスは想定以上のセフェム内服薬市場の
縮小、フルマリンは想定以上のDPC拡大による低薬価品/GE品への処方シフト
および投与日数の減少、バンコマイシン注はリネゾリドのMRSAへの適応拡大―
―の影響を挙げた。また、フロモックス、フルマリンは新製品へのディテール
集中の影響を受ける。
抗生物質以外では、持続性がん疼痛治療剤オキシコンチンは「経口投与を基本」
とするWHO原則の浸透不足により1患者あたりの平均投与量の増加が伸び悩ん
でいること、抗ヒスタミン剤クラリチンは競合状況が想定以上に厳しく、目標
シェアを下方修正せざるを得なかったことなどを挙げた。
一方、営業利益の減額分180億円の内訳は▽売上減(224億円減)▽原価率の変
動(6億円増、販売構成比の変化および一層の原価低減努力)▽販売費一般管
理費の減少(38億円増、売上連動的な販売費用の減少および定常的な費用・間
接部門費の一層の削減)――。
コスト面では、研究開発が順調に進捗しており、研究開発費は当初の500億円
から変更していない。MR数は1400人から1500人に増員するが、全社連結従業員
数は現状の5000人弱から約100人の削減を計画。国内販売体制強化のために戦
略的な販売費を拡大する一方、全社にわたり定常的な費用・間接部門費は削減
する方針を打ち出した。
将来の飛躍に向けて、パイプライン強化のためのインライセンス、海外展開の
ための体制整備、製造・研究開発を中心とした設備投資、創薬シーズ探索強化
に09年度までの3年間で600億円超の投資を行う計画も示した。