万有製薬・ティムニー社長 営業・マーケティング部門の生産性向上へ
公開日時 2008/05/29 23:00
万有製薬のマーク・ティムニー社長は5月28日、就任後初となる記者会見で、
昨年申請した子宮頸がんワクチンのガーダシルやDPP4阻害剤(糖尿病治療薬)
のジャヌビアなどの新製品を控えており、「大きなチャンスが待ち受けている」
と中長期的な成長に期待を示した。特約店との連携やコ・プロモーション、戦
略的アライアンスの提携などでセールス&マーケティング部門の生産性を高め、
業界をリードする製品化モデルの確立を目指す方針で、「08~09年に大きなチ
ャンスを発揮できる」とした。
会見では07年度の売上高が1941億円で前期比0.6%増と横ばいだったと発表。
気管支喘息治療薬シングレア、骨粗しょう症治療薬フォサマック、男性型脱毛
症用薬プロペシアなどの新製品が貢献したものの、ARBニューロタンは競合激
化で減少した。
製品別売上でみると、プロペシアは約70%増、フォサマック36%増、シングレ
ア20%増となった一方で、降圧剤レニベース、スタチン系リポバスなど特許切
れ製品は減少した。06年12月に発売したARBと利尿剤の配合剤プレミネントに
ついては「目標としている施設の90%以上で口座を開設。開業医でも良好な口
座開設が進んでいる」と順調な展開を強調した。
中長期の戦略として、今後注力するワクチン事業ではガーダシルを申請中。
「日本のワクチン市場は未開拓分野。政府と手を取り合って、予防のためだけ
でなく、医療費抑制に貢献できることを提案したい。特にがん領域でのニーズ
を満たしていきたい」と意欲を示した。公費助成の対象になるかが注目されて
いるが、「可能性としては色々なオプションがある。公費助成で治療ができれ
ばよいと思う」と話すにとどまった。
一方、欧米製薬企業の研究拠点が日本市場から相次いで撤退しているが、同社
は引き続き基礎研究に投資していく考えを強調した。グローバル開発候補品の
うち糖尿病領域の40%、がん領域の50%がつくば研究所のもので、「日本の科
学に貢献できればと思う」とした。
国際共同治験のプロジェクト数も増加しており、高橋希人・副社長兼研究開発
本部長は現在5件が進行中であることを明らかにした。開発中の品目は、▽MK
-0822(骨粗しょう症、フェーズ3)▽MK-0633(慢性閉塞性肺疾患、フェーズ
2)▽MK-0633(成人気管支喘息、フェーズ2)▽MK-0457(オーロラキナーゼ
阻害薬、フェーズ2)▽MK-2461(抗がん剤、フェーズ1、日韓共同試験)。
今後は、原則、米メルク本社でフェーズ1入りした品目は全て日本も組み込ま
れて開発を進める方針だ。