アボットジャパン・牧野氏、ヒュミラは抗TNF製剤の第一選択薬に
公開日時 2008/06/11 23:00
アボットジャパン開発本部の牧野栄一プロジェクトヘッド(クリニカルサイエ
ンス・プランニンググループ)は、同社とエーザイが6月11日に共催したヒュ
ミラ勉強会で講演。関節リウマチの国内3番目のTNF阻害剤(生物製剤)とし
て近く発売するヒュミラについて、発売後は「抗TNF製剤の中で第一選択薬に
なり得る」と自信を示した。
同剤は既存の抗リウマチ薬(生物製剤を除く)で効果不十分な患者に使用され
る。40mgを2週間に1回皮下注射し、それでも効果不十分な場合は1回80mgま
で増量できる。
牧野氏は生物製剤の第一選択薬になりえる根拠として、先行発売されているレ
ミケードやエンブレルと比べ、MTX併用の制限がない点でレミケードより優れ
ているほか、ヒト型モノクローナル抗体のため重篤な免疫反応のリスクがレミ
ケードより低いと説明。投与方法に関しても、プレフィルドシリンジを採用し、
自己投与も可能なため利便性に優れるほか、先行2剤で十分な効果が得られな
かった患者でも有効性を示すなどの特徴があることなどを挙げた。
国内の臨床試験成績(フェーズ2/3=CHANGE試験)をみると、海外の臨床試験
と同等の結果が得られた。中等度から重度のRA患者352例を対象とした試験で、
ヒュミラ単剤による投与24週目のACR20反応率(臨床的改善を評価する基準)
は20mg(隔週投与)群で28.7%、40mg群で44.0%、80mgで50.6%。ACR50はそ
れぞれ16.1%、24.2%、32.2%、ACR70は10.3%、12.1%、14.9%。ACR20、50、
70は全てプラセボと比較し、有意な改善が認められた。
一方、有害事象で多かったのは、鼻咽頭炎(51.0%)、注射部位紅斑(22.0%)
、発疹(18.8%)、そう痒症(17.3%)、便秘(14.7%)、注射部位反応(12.
3%)だった。重大な副作用としては、敗血症(0.5%)、肺炎(3.4%)など
の重篤な感染症や、結核(0.5%)、重篤なアレルギー反応(頻度不明、海外
のみで発症)などが現れることがあるとしている。
また、抗ヒュミラ抗体の出現頻度をみると、国内では20mg群で40.2%、40mg群
で44.0%、80mg群で26.4%と高い頻度(全て単剤投与)で確認されている。海
外ではMTX併用で出現率を低減するとのデータがあるが、国内臨床試験は単剤
のため、どの程度低減できるか不明。