厚労省 サリドマイドの円滑供給で藤本製薬に申し入れ
公開日時 2009/03/03 23:00
多発性骨髄腫治療薬サレドカプセル(一般名:サリドマイド)が薬価収載から
3ヵ月近くたつにもかかわらず、入手できないケースもあるとして患者会が改
善を求めたことを受けて厚生労働省医政局経済課は3月3日、製造販売元の藤
本製薬に対し円滑な供給に関し口頭で申し入れた。
サリドマイドは昨年12月12日付で薬価収載された。藤本製薬は、処方に必要な
る安全管理システム(TERMS)の運用に携わる医療機関の医師らに理解を求め
る説明を約100人の「TERMSモニター」により展開し、2月6日に発売に漕ぎ着
けた。しかし、個人輸入でサリドマイドを使う患者が「約1000人」(日本骨髄
腫患者の会)いるのに対し、TERMSに登録された医療機関数は93、患者数は95
人(2月26日現在=藤本製薬ウェブサイトより)にとどまっている。実際に納
入、処方までつながったケースはもっと少ないとみられる。
日本骨髄腫患者の会は3月2日、薬価が高いことや処方施設が限定されること、
供給に関する情報が十分にいきわたっておらず、薬剤の入手見通しが立たない
との声があることなどを挙げ、舛添要一厚生労働相宛に改善を求める要望書を
提出。省内で関係各課の担当官と1時間余り協議した。
それを受け薬剤の供給については、経済課の河野典厚課長補佐によると、3日
に藤本製薬に対し▽供給をしっかりすること▽供給上の課題を分析する必要が
あるので、その準備をすること--を申し入れた。藤本製薬は、本誌に対し内
容を確認するとして今後の対応などについてはコメントしなかった。
藤本製薬は、サリドマイドによる薬害を再発させないためのTERMSの運用は確
実に着実に行いたいという姿勢にある。TERMSを導入し、運用、患者を登録す
るまでは医療機関内での一定の手続きが必要で、その上で医療機関への納入と
なるため、供給の問題は藤本側の努力だけでは改善できない事情はある。
とはいえ、患者にとってサリドマイドは延命のための最後の綱。ひとりでも多
くの患者が薬剤を入手できるようにと、複雑なTERMSを受け入れてきた日本骨
髄腫患者の会としては「TERMSの運用の難しさを差っ引いても、(供給が)遅
すぎはしないか」(上甲恭子副代表)と、苛立ちを隠さない。