災害時の医薬品供給 「計画だけでは動かない」
公開日時 2009/03/12 23:00
国内外の大規模地震などの災害医療の現場で支援をしてきた山形県立救急救命
センターの森野一真診療部長は3月12日、都内で行った講演で、災害時の医薬
品供給について体験を踏まえ「頭でこうしようとか、計画があっても、実際に
動くかどうか検証されていない」と述べ、訓練の重要性を指摘した。
日本製薬工業協会のメディア向けセミナーで話したもの。森野氏によると、07
年7月に起きた新潟県中越沖地震では、現場で破傷風トキソイドが不足。「誰
が、どこに連絡すればよいか不明」で、次に現場に来る医療チームに頼んだと
いう。その上で、計画の実効性を検証する必要性を訴えた。
そのほか、08年5月の中国・四川大地震での国際緊急援助隊が活動を終えて日
本へ帰還する際、日本から持ち込んだ薬剤を持ち帰らず、現地に無償提供した
ところ、薬剤の英語表記がないため何の薬剤が分からないということで廃棄処
分されてしまった体験を語った。森野氏は、「薬品への英語表記の付加と、英
字添付文書の追加を検討してもらいたい」と、業界側に対応を求めた。