厚労省研究班 プレパンデミックワクチンは3回の接種が有効
公開日時 2009/04/06 23:00
新型インフルエンザの世界的流行前に投与するプレパンデミックワクチン(沈
降新型インフルエンザワクチンN5H1)に関し厚生労働省研究班(主任研究者:
庵原俊昭・国立病院機構三重病院長)は4月6日、医療関係者や検疫所、空港
警察署などに勤務する職員を対象に行った安全性や免疫原性、交叉免疫性を調
べる臨床試験の結果を公表した。ワクチンの事前接種を2回行い、その後に追
加接種することで、高い抗体価や異なるウイルスの交叉免疫性を示唆するデー
タが得られたとした。
これらの結果について厚労省は、新型インフルエンザ専門会議や厚生科学審議
会・感染症分科会などでの議論を進めつつ、WHOでの議論の状況などを見なが
ら、秋~冬にかけて結論を出したいとしている。
プレパンデミックワクチン(インドネシア株、安徽株)の初回接種時の持続性
や交叉免疫性を調べた試験は200人を対象に実施した。同じ株を2回接種した
場合は中和抗体の上昇が認められ、異なる株を2回接種した場合は交叉免疫性
が不十分だとした。追加接種の安全性や交叉免疫性については、210人を対象
に行い、通常用量接種群と低用量接種群に分けて投与した結果、共に体内で抗
体が作られ、交叉免疫性も示されたとした。
また、インドネシア株と安徽株を併せて5561人に接種し、副反応を調べた試験
も実施。有害事象により入院したのは8人。発熱(37.5度以上)は2.8%、発
赤、腫脹などの局所反応は71.0%、頭痛や倦怠感などの全身反応は34.1%にみ
られた。いずれも1回目の接種より2回目の方が発症率は少なかった。