セオリアファーマ・杉本社長 耳鼻咽喉科領域に特化した「ENTスペシャリティカンパニー」の実現目指す
公開日時 2025/07/04 04:52

セオリアファーマの杉本徹也代表取締役社長は本誌インタビューに応じ、耳鼻咽喉科領域に特化した「ENTスペシャリティカンパニー」を目指すと強調した。あえて“ファーマ”に限定せず、耳鼻咽喉科領域の診断、検査、治療、予防の各段階をカバーするパイオニア企業として、医薬品のみならず、検査、試薬、医療機器を含むトータルソリューションの提供を実現したい考え。2025年度事業計画では、耳鼻科関係の学会・医会の要望を受けて同社が開発した抗菌点耳薬・コムレクス耳科用液1.5%の市場浸透に注力する。また、26年1月を目途に味覚障害の医療用診断薬の保険適用を目指すなど、製品ラインナップの充実にも努める考えだ。
◎耳鼻咽喉科の関係学会や医会との意見交換の機会増大 現場のアンメットニーズ実現へ
セオリアファーマの創業は2010年10月、耳鼻咽喉科領域の専門企業として今年で15年目を迎える。杉本社長は、「耳鼻科領域は他の診療科に比べて現場で使える医薬品が少なく、点耳薬や点鼻薬の種類も少ないことから、その掘り起こしを行うスペシャリティファーマとしてスタートを切った」と、当時を振り返った。その後、同社の市場ポテンシャルの高まりと並行して耳鼻咽喉科の関係学会や医会との意見交換の機会が増大。現場のアンメットニーズを実現するためには、「検査、診断、治療、予防をカバーする“ENT(Ear=耳、Nose=鼻、Throat=喉)プラットフォーム”を構築しようとなった」と強調し、「我々自身もファーマにこだわらず、“ENTスペシャリティカンパニー”として事業を進めることになった」と明かしてくれた。
◎市場サイズは約1000億円規模 「大手が入るにはマーケットが小さい。我々は十分なサイズ」
耳鼻咽喉科領域の市場サイズは約1000億円規模という。杉本社長は、「大手が入るにはマーケットが小さい。それぞれの疾患ごとの市場も小さい。逆に、我々のような規模の会社だと、その市場で戦っていくには十分なサイズだと思う。加えて、どちらかというとブルーオーシャン的なところがある」と分析。その点で、「関係学会や医会との連携もあまり競合せず、きっちり密にできるというのが我々にとっての強みだと感じている」と語ってくれた。
◎2025年度はコムレクス耳科用液1.5%に注力
杉本社長が語るように、同社の製品は、学会・医会の求めるアンメットニーズを全面に打ち出して開発、改良、上市された製品が目に付く。注力品のコムレクス耳科用液1.5%もその一つだ。「実は、点耳の抗菌剤は27年間一切新しいものが出ていない。我々は現場のニーズもあり、新しい点耳の抗菌薬と局所剤が欲しいという要望も強かったことでコムレクスを新薬というカテゴリーで開発して一昨年に承認を得た」と杉本社長は語る。まさに2025年度の事業計画では、この薬剤の市場浸透がファーストプライオリティに掲げられている。
このほかにも、味覚障害の医療用診断薬についても、「コロナによって味覚・嗅覚異常で病院に通っても原因がわからない。ちゃんと診断さえできると患者さんは安心できるのに、それを診断するものが昔はあったのに、今は無くなっている。しっかりと保険償還できるような形で患者に届けたい」など、学会・医会からの要望を踏まえて規制当局との話し合いに臨み、その後、製品改良を経て26年1月ごろの承認取得を目指していると明かしてくれた。
◎成岡浩二営業本部本部長「もう少しMR体制も高めていきたい」

一方、成岡浩二営業本部本部長は本誌インタビューに対し、同社の営業体制について語った。現在のMR総数は28人。成岡本部長は、同じスペシャリティファーマのマルホ、参天製薬、千寿製薬ほどのMR数は求めないとしながらも、「28人ではちょっと少ないと思っている。もう少し新薬が揃ってきた時には、もう少しMR体制も高めていきたい」と語った。
◎「タケダのグループ会社ということで、医薬品卸も非常に協力的にやって頂けている」
MRは全国4つのリージョンに分けて配置されており、フラットな組織を基本とする。一方で流通は武田薬品の販路を使っており、タケダグループ会社の強みを活かして特約店との流通政策を行っている。成岡本部長は、「グループ会社ということで、卸側も非常に協力的にやって頂けている」と指摘。「セオリアのMRの訪問先は、大学病院や医会の理事の先生方、さらに市場性の大きい施設とし、それ以外の開業医・クリニックは特約店のMSに協力して頂いている」と述べた。今後の課題としては、大学関連施設への訪問が十分でないとし、すでにMRがカバーしている大学や医会のネットワークを活用した“Dr. to Dr.”の活動にも注力したいと強調した。