新型インフルエンザ 海外出張・旅行の禁止、自粛の企業も
公開日時 2009/04/29 23:00
厚生労働省が4月28日に海外での新型インフルエンザの発生を宣言したことで、
医薬品関係企業は対策本部の立ち上げ、情報収集や国内発生時の対応策の確認、
社員とその家族の感染予防策の再周知などの対応に追われた。
28日昼過ぎ時点では、武田薬品工業は、各部署の情報を一括管理し、国内外へ
の指示を行うグローバル対策本部の設置を検討。出張などで海外への渡航者に
は会社内の診療所で注意指導を行うことにしたほか、新型インフルエンザの発
生が確認された地域への出張などは、緊急性のないものは延期を検討すること
になった
アステラス製薬は、リスク管理委員会を27と28の両日、緊急に開催し、発生国
であるメキシコ、カナダ、米国への出張禁止を決めた。その他の地域への渡航
も自粛、テレビ会議に切り替えるなど代替手段の検討を求めることになった。
第一三共は緊急対策本部を28日に立ち上げ、エーザイは対策チームの活動を本
格化させ、両社ともメキシコへの渡航を禁止した。
抗インフルエンザ薬タミフルを扱う中外製薬は、政府からの増産などの指示は
ないとし、国内発生時も当面は政府・自治体の備蓄(3400万人分)により対応
することになるとしている。対策本部の設置や海外出張の扱いについて検討を
進めた。リレンザを扱う英グラクソ・スミスクラインは27日(英国時間)、メ
キシコ政府の要請を受けリレンザ10万人分と季節性インフルエンザワクチン17
万人分を供給。リレンザの増産を検討することを明らかにした。
医薬品卸最大手のメディセオ・パルタックホールディングスは、災害対策本部
を立ち上げ、国内発生時の対応策について確認作業を行った。
日本製薬団体連合会は傘下の団体に対する指示はしていない。日本製薬工業協
会は、28日に別件で臨時に開催した総会で、幹部から会員各社に対し、厚労省
ホームページなどで情報収集を急ぎ、対策を進めるよう呼びかけた。大型連休
中に米ワシントンで開催される国際会議への製薬協担当者の派遣を見合わせる
ことになった。