塩野義製薬・武田薬品 相次いで米国子会社が医薬品企業を買収
公開日時 2009/05/18 23:00
塩野義製薬と武田薬品は5月18日、相次いで米国子会社による米医薬品企業の
買収を発表した。両社ともに販売製品のラインナップの拡充が目的。
塩野義製薬は米子会社のサイエル社が疼痛領域に特化して展開するビクトリー・
ファーマ社(本社:カリフォルニア州サンディエゴ)を買収することで合意。
買収金額は1億5000万ドル。ビクトリー社は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)
塩酸ナプロキセンの1日1回投与の徐放製剤ナプレランを販売しており、サイ
エル社からみれば疼痛領域を循環、代謝、婦人科、小児科に続く事業ドメイン
とするために買収に踏み切ったとしている。ビクトリー社の売上高は08年で57
00万ドル。従業員は従業員を182人(MRは120人)。
武田薬品は米子会社の武田アメリカ・ホールディングスが子会社を通じ米バイ
オ医薬品企業IDMファーマ社(カリフォルニア州アーバイン)に対し現金によ
る公開買付けを実施することで合意した。5月18日から7営業日以内に公開買
付けを開始する。買付けに必要な資金は7500万ドルと予定しており、買付け価
格は1株あたり2.64ドル。
IDM社は09年3月に欧州27ヵ国で非転移性骨肉腫治療薬メパクトの承認を取得。
アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーでも取得しているという。す
でに承認を取得していることから、収益向上に速やかに貢献し、欧州でのがん
領域への本格進出を加速させるための要素となると同社では期待する。武田薬
品は、欧州の販売網の拡大を進めており、同剤の販売については武田ファーマ
シューティカルズ・ヨーロッパが管轄する子会社が行う。
しかし、米国では07年5月にFDAからデータ不足を指摘され非承認となってい
る。今後の米国での再申請や日本・アジアでの開発の可能性といったメパクト
の開発方針、そのほかIDM社が開発中の抗がん剤4品目については、武田のが
ん戦略を担当するミレニアム社とともに検討を進める方針。