サンバイオ・森社長 創業から25年「ついに」アクーゴ発売 米・欧・中国に展開 幅広な適応追加に意欲
公開日時 2026/06/11 04:51

サンバイオの森敬太代表取締役社長は6月10日のメディアセミナーで、再生細胞薬・アクーゴ脳内移植用注(バンデフィテムセル、SB623)の発売までの道のりを振り返り、「創業から25年を経て承認を得て、ついに発売となった。今回は条件及び期限付き承認ではあるが新薬を世に出せたことを非常に嬉しく思っている」と強調した。アクーゴの開発の進め方については、今回の取得効能である外傷性脳損傷(TBI)の他に、脳梗塞、高次機能障害、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷など幅広く適応取得を目指す。さらに米国、欧州、中国といったグローバル市場への展開を視野に入れながら開発を進める方針を明らかにした。
◎「諦めていた患者さんにもう一度、この薬の対象となるとお伝えしたい」
アクーゴは、「外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善」を目的とした再生医療等製品。2024年7月31日に国内で製造販売の条件及び期限付承認を取得し、26年5月20日の薬価収載(1回分:7271万6528円)を経て、5月21日に発売を開始した。森社長は、「TBIを含めて3つの臨床試験に計200人以上の患者さんが参加した。うちTBIは61人が参加した」と報告。直近5年間は日本での承認取得に集中したとし、「当局とも手探りの中で、難しいことが頭で分かっていても新たな課題もたくさん出てきて、それの繰り返しだった」と振り返った。また「受傷した患者さんは6か月を過ぎれば何年たっても使用できる」と述べ、「諦めていた患者さんにもう一度、この薬の対象となるとお伝えしたい」と述べた。
今後の市場導入の見通しについて森社長は、「最適使用推進ガイドラインに参照すると、初期は使用実績のある5つの大学病院(北海道大、東京大、横浜市立大、大阪大、岡山大)になる」と見通し、その後は、「大学病院や基幹病院など20~30施設くらいまで拡大したい」と明かした。第1例目の使用時期については、大学病院等での薬剤採用の手続きが求められるとして、「今年後半になる」と述べた。
◎全ての患者さんに情報を届けるために患者団体との連携は非常に重要
一方で、対象となる外傷性脳損傷の患者(交通事故、転倒、転落、スポーツ時の衝撃、殴打)は、急性期治療を経て地域で生活しているケースが多く、かつ対象患者が広く分散しているため、アクーゴのような新たな治療選択肢の情報が届きにくいという課題がある。森社長は、「患者さんの多くがアクーゴの存在を知らない可能性が高いため、全ての患者さんに情報を届けるために患者団体との連携は非常に重要になる」と強調した。こうした状況を踏まえ同社は、メディアを通じた情報発信に加えて、疾患啓発サイト「TBIナビ」を用いた疾患と治療に関する情報提供活動や細胞治療相談窓口の開設なども進める方針だ。
◎製品供給の安定化・複線化を図るため、ミナリス社とJCRファーマと製造委託契約締結
森社長はまた、今後の開発方針を説明。すでに米FDAと第3相臨床試験のデザインについて合意をとり、準備を進めていると強調した。またTBI以外にも脳梗塞や認知症、パーキンソン病、脊椎損傷などに広げるとし、「脳細胞を再生するということが不可能と言われてきたが、これからはそうではなく患者さんは治療によって日常生活を取り戻せるという社会を作りたい」と意欲を示した。
また、米国、欧州、中国などグローバル市場への展開も視野に入れた。森社長は「生産の複線化も進めている」と述べ、「これは時間もかかることなので前倒しも含めて検討したい」と述べた。なお、同社は、アクーゴの安定製造に加えて、今後の脳梗塞等の適応拡大および米国への市場拡大も見据えた製品供給の安定化・複線化を図るため、ミナリス社とJCRファーマの両社と製造委託契約を締結している。同社としては、中長期的に拡大が見込まれるアクーゴの需要に対し、計画的に供給能力を高めていくことを想定しているとした。